その七 「巫女装束」
妙子は不思議な女性だった。アラフォーならぬアラファイ(このような言い方はないけど)なのに美しく若いからだ。よく美容食品のコマーシャルにこの人何歳でしょうか? といって登場するような人だった。越智は調査ノートに貼っていた昭和60年付けの愛媛日日新聞の記事の写真と見比べていても同じ人だと判った。
一行は祠の脇にある社務所に案内された。この社務所は平屋だったうえ周囲が大きな木に囲まれていて遠くから見えなかった。ここで一行は男女に分かれた。そのうち詩織と弥生の女性二人は風呂場がある離れに案内された。
「お二人さんのお洋服ですが洗濯しておきますわ。帰られる時にはいいようにしておきますので、此処を上がったら私が用意する服に着替えてください。それと、この風呂ですが美人の湯といわれる源泉かけ流しの温泉ですのでゆっくりとお入りください」
妙子はそういって案内したが、二人は入って驚いた。露天風呂だったからだ。
「道後温泉にあったら絶対観光客が押し寄せそうな露天風呂だね。それに貸し切りだね」
「こんなところに入ってもいいのかな? なんかありそうだわ」
二人は感動と不安を口にしたが、このような山奥で温泉に入るとは思っていなかった。あまりの気持ちよさに他に同行者がいるのも忘れたように長湯をしてしまった。
小一時間後、二人は風呂を出たが、妙子が差し出した着替えに驚いた。白襦袢と着物白衣、そして緋袴だった。それは巫女装束だった。
「本当にこれに着替えてもいいのですか? 」二人は同じことを言っていた。女の子なら一度は憧れる巫女さんの格好になれるのだから。
「二人さんにはこれから手伝ってもらうことがありますので、これに着替えてください。あなたたちにとって、これからいい事が起きますから宜しくお願いします」
詩織と弥生が巫女装束に着替えると一体何をやってほしいというのだろうか?




