その二十四「金属像のなかは」
「あの金属像は空媛尊の化身といわれているのです。ただ、どうして若い女性を定期的に閉じ込める必要があるのかは、わからないです。ただ、そこの喜多先生は仮説を立てておられています」
妙子は喜多に話をふった。そういえば喜多は今回の事態を防ごうとしていない。教え子二人があの金属像に閉じ込められた越智は、問いださねばならなかった。
「喜多先生、なんですかその仮説は? はやくうちの学生を解放されるようにしてくださいよ」
「わかっておる。たぶん大丈夫だ。だから大船に乗った気でいてくれ」
「はあ・・・信用できないですよ。なんだってあんな奇妙な金属像の話をしてくれなかったじゃないですか」
「それはすまないなあ。でも、明日になれば君らは有名人さ」
「それって、どんな意味ですか」
そういったやり取りが続いたけど、喜多はのらりくらり話をそらすだけで、結局肝心な事を教えてくれそうも無かったので、ようやく食事が終わった和子に聞いてみる事にした。
「和子さん。あの金属像の中に閉じ込められていた時の事を教えてくれませんか? もしかすると何か力になれるかもしれないですから」
「そうねえ、あの金属像はなんだろうね? でも、閉じ込められてから、そんなに時間が経っていたようには思えないよ。わたしからすれば昨日のようにおもうよ閉じ込められたのは。でも気持ちはよかったわよ。だから意識を取り戻した時にわたしの身体を見たら干物みたいになっていて、驚いたわね」
和子はたらふく食べることが出来て満足といった表情をしながら語っていた。それにしても、あの金属像はなんだろうか。吸血鬼のように若い女性の血肉を摂取するのかもしれないけど、食事をしたら戻るなんてどうしてだろうか?
「それはですね、あの空媛尊は生き物の命を奪う事はしないということです。それもこれも金属像に魂が篭っているわけでして、いわば金属像は電池の容器で、その中に入る娘は電池の内容物というわけです。でも内容物も疲弊するので定期的に交換するのが。この巫女大祭の儀式というわけです」
妙子はそういってくれたが、そこで疑問が生じた。それなら何故この祭りが終わるというのだろうか?
「でも、あのお二人さんが閉じ込められた金属像ですが役割を終えるときが来たようです。それは明日になればわかることですから」




