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その二十三「閉じ込められていたもうひとりの少女」

 越智はこんな恐ろしい祭りがつい三十年前にも行われていたことに驚愕していた。しかも、あの時は地元紙の新聞記者もいたというのにだ。残念な事に記事には記者の名前がなかったが、もし時間があれば聞いておくべきだったと思った。


 三十年前の祭りは、最初の日に妙子が閉じ込められ次の日に妙子に代わって妹の裕子が閉じ込められたというのが、行われたらしい。しかし、なぜそんな面倒くさい事をするのだろうか? 最初に閉じ込められた女がそのまま閉じ込められたらいいだけなのに。


 その時、ある考えが思い浮かんだ。本命よりも先に誰かを閉じ込める事で、勇気を確かめているのではないかと。それを確かめる事は今の時点では出来なかった。

 それにしても、明日の祭りで教え子二人は解放されるかが気がかりだった。その場合、誰が閉じ込められるというのだろうか?


 普通に考えればいままで閉じ込められていた和子と裕子ということになるけど・・・そうだ裕子の話を聞いていなかった! 越智は先ほどまでいた部屋に戻っていた。そこには暴飲暴食をする和子とそれをなだめる昭二、そして裕子に付ききりになっている妙子がいた。


 「叔父さん、いやようあんな金属像の中に戻るのは! それに六十年も経っているんかしらんけど、なによその携帯って! 電話といったらもっと大きいでしょうに! 恐ろしいよ、ここ本当に日本なの?」

 

 そう和子は泣きながらご飯をまだ食べていた。最初の時には朽ちかけた襤褸切れのようだったのがウソみたいに丸々となっていた。


 「和子ちゃん、いいかげんにしなさいよ。こんな光景を見たらビルマで散華したお父さんにもうしわけないんだよ。そのあたりでやめんさいや!」

 

 昭二はそういって和子の顔を拭っていた。その横にいる妙子と裕子の姉妹よりも平凡な少女と言った雰囲気だった。


 その姉妹であるが、年齢差が生じていないような綺麗な顔だった。しかもよく見ると同じ顔だった。


 「妙子さん、すいません。もしかすると裕子さんと一卵性の双子じゃないのですか?」


 「そうです越智さん、わたし達は同じ日に生まれた姉妹です。ご存知のように一卵性双生児ですから同じ遺伝子をもっています。だから本当は三十年前に全てを終わらせたかったのですが・・・」


 「それに妙子さん。あなた四十八歳といわれていましたが、本当は三十年前から歳を取らなくなったのではないですか?」


 「ええそうよ。そうなったのも金属像に閉じ込められたからでしょうけど、今までおきたことが無い事態です。もしかすると、わたしの身体には空媛尊の力が宿っているのかもしれません」


 「すいません。裕子さんにお聞きしたいのですが、あの金属像の中ではどうなっているのですか? ミイラになったのは何故か理由があるのではないのですか?」

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