その二十二「卒倒した和子」
「叔父さん、どいういことなのよ。わたしって六十年も眠っていたの? それとも・・・」和子は泣き叫んでいた。さっきまで骨と皮の干からびたミイラだったのに、いつの間にかうら若き少女に戻っていたので、本当に急速な回復振りだった。
「本当に何も思えていないの君?」越智はさっきまでのミイラだったとは思えない和子に色々と聞きたかった。
「叔父さん、おかあちゃんは今どうしてる?」
「和子ちゃん、残念だけど十年前にお父ちゃんのところに逝ってしまったよ」
「本当にどうなっているのよ! お母ちゃんはお父ちゃんを戦争で亡くして苦労してわたしを育ててくれたんのに、親孝行を満足に出来んかったじゃないの!」
そういうと和子は大粒の涙を流していた。
「小松さん。あなたはこの祭りに参加するのは三回目だという事ですが、毎回誰か一人があの金属像に閉じ込められていたわけですか? 閉じ込められて出てきた人はこうやって甦るのですか?」
「ああそうだ。もう隠し事出来んから話たるわ。ああやって巫女役の少女を毎回一人ずつ人身御供するのが、この祭りの目的さ。三十年から六十年の間、ああやって金属像に封印してしまうのさ。
その役割は二人の巫女のうち一人がになうのだけど、今回のように初日に二人とも封印されるのは初めてだ。いままでなら、初日に封印された巫女は次の日には解放され、もうひとりが人身御供の巫女選ばれるのだが・・・」
「そういうことは、明日は今日と同じ事をやるわけですか?」
「いいや。像から解放された巫女と一緒になって踊るわけだ。だから和子ちゃんもあしたは裕子さんと一緒におどるのさ!」
そういわれ、もう一人の巫女を見ると、そこには妙子と瓜二つの裕子の姿があった。彼女は清楚で美しかったが、彼女もまたミイラから復活した女だった。
「それにしても順番が変わっていますわ。本当は和子さんが最初に出てきて詩織さんと入れ替わって、次の日に裕子と弥生さんが入れ替わった後で、詩織さんが裕子さんと入れ替わって裕子と弥生さんが三十年閉じ込められる・・・そう思ったのですが、初日で入れ替わったので」
そういって妙子が入ってきた。
「それじゃあ妙子さん、和子さんは三十年前にも一度祭りの最中に一回解放されたわけですか? じゃあ和子さん、記憶があるのじゃないですが?」
越智に聞かれ和子は少し頭を振りながらしていたら、思い出したようだった。
「なんとなく覚えている。なんかよく判らない力で動かされていたんだよね。さっきもそうだけど。なんか夢のような気分だったけど・・・」そういった後で和子は大変な事を思い出したようだった。
「そうだ! わたしの身体って空媛尊様と同化していたんだわ! 同化している間、私の身体を養分にしていたんだ。いま、このように元に戻っているけど、わたし最後に閉じ込められて・・・内臓にされていたんだわ・・・恐ろしい地獄だったんだ!」
そういうと和子は卒倒してしまったが、その顔は恐怖に満ち満ちていた。




