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その十七 「巫女の木乃伊」

 「あのミイラって、あなたの妹さんですか? あのミイラって生きているのじゃないですか、妙子さん」越智は何が起きているのかが見当付かなくなっていた。


 「裕子は厳密に言うと人間ではありません。ひいていえばこの祠に祭られている者達と一緒の存在です。でも、ようやく金属像から出ることが出来ました。この祭りが最期を迎えれば、もしかすると元の妹に戻れるかもしれないですが、もし失敗すればあなたの教え子さんのいづれかが閉じ込められますし、妹もそのまま死んでしまうと思います。この祭りの正体はあの金属像への人身御供です」


 「それじゃあ、うちの二人のうち帰れなくなるというのですか?」


 「いいえ、成功すれば大丈夫です。こんな悲劇は終わりにしたいのです。そのためあたしは三十年間、この祭りを終わらせる事ばかり考えてきました」


 「そんな祭りならやめてしまえばいいじゃないですか? 何故それを考えなかったのですか?」


 「いいえ、出来ないのです。この祭りはあの祠の地下にいて祭られている者達を鎮めるものなのです。もし、やらないとこの四国いえ日本が人が住めない土地になるかもしれないのです」


 「それじゃあ、もしかすると超古代文明のなにかというのですか? あの金属像は」


 「ええ、そう思っていただくのが適当だと思います。あの像は生贄を閉じ込める装置です。ああやって生娘の生体エネルギーを吸い取っていくものです・・」


 妙子の目の涙の量が増え始めたとき、金属像の中から出されたミイラが動き始めた。そのミイラは元は若い女性だった痕跡があったが、皮膚は乾燥し干からびてしまい、その表面の割れ目からは変色した筋肉組織や白い骨が見えていた。さっきまで激しい剣舞をしていたと思えない状態だった。


 すると舞台にいる詩織は自分が着ている巫女装束を脱ぎはじめた。その様子に参列者からはどよめきが起きたが、誰も止めようとするものはいなかった。そう、何が起きるのかを見ていたからだ。詩織が白衣を脱いだ時、首から下は爬虫類のような皮膚になっていた。


 「あれってなんですか、一体?」


 「ええ、あれは金属像に取り込まれても大丈夫なように作り出したものです。前回使われたものを分析して、ああすれば完全に取り込められないと思われるので摩り替えました」妙子はそういったが、彼女の正体は一体なんだというのか、越智はよくわからなかった。そして詩織は巫女の木乃伊になった裕子の身体にいままで着ていた自分の巫女装束を着せ始めた。

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