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その十五 「疑問」

 教え子二人が巫女として舞をしている間、越智はひとつおかしい事に気が付いた。前回の巫女大祭の時の巫女は二人居たはずなのに、今居るのは妙子ひとりということだ。もう一人はどこに消えたのか?


 この祭りに関する情報は散逸しているので、断片的にしかわからなかったが、選ばれる巫女は二人なのに一人確実に消えていることだ。どうも一人がなんかの生贄になるというのか? すると詩織と弥生のどちらか消えるということか?


 二人の身が危ない! と思ったとき妙子の言葉を思い出した。この祭りは最後かもしれないと! もしかすると二人は無事に帰してくれるのか、それとも二人とも・・・それにしても妙子と一緒に巫女に選ばれた女性はどうなったというのか?


 その答えを後に喜多が知っていた事がわかったが、なんて恐ろしい事だと! そう後悔したが後の祭りだった。その様子を見ている参列者の大半が知らなかった事であったが。


 二人の巫女舞は物凄く華麗であったが、長時間続くにつれ参列者の中には食事に行くもの、用を足しに行くものも出だした。そうも、最初から長時間に及ぶ事を知らされているかのようだった。それにしても詩織と弥生の体力は大丈夫か?


 そのころ自分達の身体が何かにのっとられていることに二人は気付いていた。その乗っ取ったなにかが自分達を操っているのだと。そう思っていると目の前に祭られている祠の中から何かが動き出そうとしているのが見えた。


 その何かが祠の扉を開けると、二人の巫女と同じように踊り始めた。それは何らかの金属で出来た女性像だった。その女性像はまるで観音像のようであったが、西洋のビーナス像のようにも見えた。金属の像の中には誰かがいるというのだろうか? その金属像は人間と思えない華麗な動きをしていたが、その中に誰がいるというのか? もしかしてロボット? それとも・・・


 舞台で起きている事がなにかが判らなくなった越智はずっと黙ったままの大輔の顔をみると、物凄く汗をかいているじゃないか!


 「三島君、どうしたんだ?」


 「先生、僕には何故かわからないですが、これから起きる恐ろしい事が頭の中にイメージとして浮かんできました。本当なら二人と一緒に僕達逃げ出さないかもしれないですが、もう手遅れのようです。もしかすると先生も僕も、そしてこの場に居る人たちはもう元の世界に帰れないかもしれません!」


 大輔の恐ろしい形相とその話の内容に対し、越智は何が起きるのいうのかが、恐ろしくなってきた。でも帰れないというのはどういうことか?

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