その十四 「始まり」
三十年ぶりの祭りは始った。だが詳細な記録がなく、すべては前回巫女を務めた妙子が知っているが、一切の事を知っているのは皆無だった。それは前回祭りに参加したものが何故かいなかったのだ!
まつりはます、巫女二人が入場してくるところから始った。詩織と弥生の二人にしてみれば朝にはこんなことになるとは少しも思っていなかった。憧れの巫女装束に袖を通したらいきなり祭りに参加しろといわれたが、なぜ・・・
こういった祭りは何ヶ月も前から準備されているはずなのになぜなの? ふたりはそう思っていたが、全ては妙子の要望で巫女になる処女を喜多が選んだためだ。こんな成り行きで巫女にされたようにしたのは、もし全てを知った上で巫女になった場合、おそらく耐え切れない事態が起きるためであった。
人の気配がしないのに、どこからか音楽が流れ始めた。会場になっている演舞場は小さく、観客も百人にも満たないところだった。それでも祭りの踊りも出来ないのに! と思っている二人の意に反して勝手に体が動き始め、そして華麗な舞を舞い始めた。それには二人は不思議であった。これってまさか私たちの方が人形のように操られているのではないの?
二人の舞が激しさを増し、二人の肢体は汗を流し身体のいたるところが悲鳴を上げるほど疲労しても舞は続けられた。しかも音楽の演奏者は見えなかったし、音楽を流している人も設備も判らなかった。二人の身体は巫女として過酷な舞を強要され疲労困憊であったが、何故か観客のボルテージは上がる一方だった。
その時、妙子が前に出てきた。彼女はいきなり祭りの開催を宣言した。
「みなさん、おひさしぶりです。前回巫女を勤めさせていただいた松前妙子です。今回がこの祭は最後になるかもしれません。その場合今踊っている巫女さんの任務が成功すればが条件です。最後の祭りに相応しい展開になるために応援をお願いします」
一休み中の二人はその時、何の話なんだと思ったが、息が切れそうで辛く口にすることが出来なかった。しかし、その間も祭りは進行していた。二人の巫女装束下の皮膚がトンデモないことになっていたのだ。それが二人を操り舞らせていたものの正体だった!
その様子はわからなかったが、身体に変化が起きているのはわかっていた。しかし巫女装束を脱いで確かめる方法はなかった。少ないとはいえ人前だからだ。そうこうしている間も身体は物凄く暑くなり続けていた。これから何が始るというのだろうか?




