悪癖
「ロケット飛ばしてみてぇな」
どうやら友人のサトルは、昨日やっていた特番の宇宙の神秘をみたようで、確かにロケットにかける情熱が随所にあり、ロケット作成時の物語はなかなか面白かったが、すぐにテレビの影響をうけるのはどうだろう。
そう考えたところで、とっさに右手を抓っしまう。
すこしジンとした痛みがあるが、とりあえず友人との会話をつづける
「いや、ロケット飛ばしてお前何するの?」
「ロマンを感じたい」
うずうずと、動き出した悪い癖が体中を這い回って口からでてしまう。
「ロマンだけで動こうとするなよ」
「いや、夢がないとロケット飛ばせないだろ」
「ロケットは夢じゃなくて、金という現実で飛ばしているんだよ」
サトルはかわいそうな目でこっちをみていた、いや逆だからかわいそうなのはお前のほうだから。
「お前昨日の特番みてなかったのかよ」
「見てたよ」
「じゃあなんでロケットが金でとぶなんて事いえるんだよ」
「ロケットは燃料がないと飛ばないし、ロケット作るのだって莫大な金がいるだから金で飛ぶんだよ」
宇宙開発というものだって、金のために開発するようなものだ、莫大な費用を莫大な市場をめざしてやっていく、つまりはロケットを飛ばすのだってその金のためだ。
決してロマンではなく、金というとても現実がロケットを飛ばすのだ。
「ロマンと言うのは夢物語にすぎん、結局は金がなければロマンは追えんのが現実だ」
サトルも何も本気で言っているわけではないだろうが、僕の悪い癖は話している最中、特に夢とかロマンとかそういうのを相手に水を差したくなって否定的にな意見をいって相手をしまう、とても悪い癖だ。
「お前は何も分かってはいない」
「なんでだよ?」
「ロマンや夢を金のためだというのは余りにも寂しい人間だ」
やれやれとサトルは、クビをふりおもむろに指をさされる。
「いいか、宝くじだって夢を買っているし、徳川埋蔵金だって、海賊船のサルベージも夢とロマンでやっている」
「いや明らな金目当てだろうよ、せめて別のロマン言えよ」
サトルは少し考えて、また口を開いた。
「そう思うのが寂しい人間だというのだ」
「いや別に寂しくはない」
「夢やロマンにはそれは金が必要だ、それなりに必要だ追い求めるのがでかければでかいほど、ただそれをお前は現実みろよとか、金がかかるからと情熱に水をさして、やる気をそいで夢を諦めさせようとする。」
いや、まぁそれをお前は楽しんでいるのだろうがという目で見られて、どこか居心地がわるい。
確かに悪い癖と逃げ道をつくって、水を差すことを楽しんでいたのかもしれない。
「だが覚えていて欲しい、そんな奴らにも負けず何かを成し遂げる人たちはロマンや夢と言う情熱をもって夢を追いかけているのだと、そんな人たちがいたからこそロケットは飛んだし、技術も進歩していったのだと」
「あぁまぁそうだな、なんか悪かったよ」
「そして、スカートめくりというロマンは、お金では買えないしかえれないロマンだということを」
どうやら友人は、割といい話を台無しにする悪癖があるようだ。