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夜明け前に見た新緑のゆらぎ

夜。

風もまばらな

清涼水の澄みわたる公園に

ひとり

空き缶が荒々しく蹴られた



打撃の瞬間に走る

悲鳴は痛ましいものだ



こだまする彼の悲鳴が

三つ目の太陽に照らされた

枯れ木に

鋭く反射する



夜明け前の公園

空き缶の悲鳴を

エンドラインとして

帰宅してゆく少年たち



こころよい静寂は

まだ訪れない



仕事を終えたばかりの

ドライバー


拘束具を解き

粗野な笑い声が

太陽の向こう側に反響する



ざらり、ざらり

と足をする

見えない2人の訪問者が現れる



彼らは

枯れ木の前を通過し

後方に



闇に消えた

かと思うと

裏のベンチに座っているのか

声をひそめた

話し声



彼らは歩き回る



蒲公英に

あらゆる方角から

彼らの声と

少し威嚇するような

地面を強く擦る

音が浸透していく



スリーの

向こう側から

笑い声



ハーフの後ろ側から

なんらかの金属音



上空から

カラスが空間の色を

三度、四度変えた



ザッ!

後方から聞こえる

明らかな威嚇



後方から横手に周り

ざらり、ざらり、と歩く



時々小走りとなり

時々さえずる



不協和音が

ざらり、ざらり

と鳴る



再び

まるいかたまりの前を

緩やかに通り過ぎる



新たな人間2人には

一瞥をくれたが



まだら石には

それどころではない

事情がある



美しかった

三つ目の太陽が

照らし出す新緑の桜葉



風がない



三つ目の下に

まるいかたまりが座り

その空間に群がるようにして

不協和音が混じり合う



朝の仕事をはじめた

ライダーの古くて鈍い

えずきの残響



早起きなレモンの

苦そうなしわぶき



苦楽のうち

池月を癒やす太陽

刹那を十に分け

四番目のみに起こる

明鏡止水を

揺さぶる不協和音



この間を行き来する


氷が住むグラスの

背後に嘲笑が

三つ目の

背後から嘲笑が



いけない……!



枯れ木から生えた蒲公英は

抜刀の準備に入る



常に

携帯していた木刀に手をかける



それだけで充分なのだ



それだけで切っ先は

ドライバーに

それだけで切っ先は

黒いカップルに



確かな閃光を放つ



ターゲットはとらえた



三番目の訪問者へ

準備は出来ている



さあ、抜刀の時

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