英雄に惹かれた者
ご指摘などがあれば遠慮なくしてください
とある世界のとあるごく平凡な酒場で私はとある青年、英雄と酒を飲み交わし、そして語り合っていた。
「なんてことはない、あれは小さな、小さな戦いだった
けど、俺の心の中にはデッカク残っている・・・そういう戦いだった」
白いオールバックに右手の薬指に指輪を填めている青年がグラスを片手に笑みを浮かべながら語り始める。
大切そうにそして楽しそうに話を続けていく、しかし話を聞いていると時々表情が一瞬だけ辛そうになるがすぐにまた笑顔に戻る。
私は何故かどうしてもいてもたってもられないほど気になり、辛そうな顔になる理由をつっこんで聞いてみると
「あぁ・・・これを思い出すと何時も思うんだよ・・俺がもっと有能で気遣いも出来る奴なら・・・ああいう結末にはならなかったんじゃねえかってよ・・ホント、後悔先に立たずだったな」
暗く沈んだ表情でそう答えてくれた。
おそらくその時、私はばつの悪そうな、かける言葉が見つからなかった時の顔をしていただろう。
そんな私の表情を見てすぐに、彼は笑みを浮かべながら私と自分のグラスに透明な液体を瓶から注ぐ。
「まぁ、気にすんなって、それよりか先を話すぜ?」
そう片目を瞑りながら軽い口調で言って再び話を再開した。
彼の何処が気遣いの出来ない男なのだろうか・・・
そんな事を思いつつもそのまま彼の話に耳を傾け、そして相づちを打つ。
そして瓶が十数本、いや数十本空いたぐらいであろうか
「っとまぁ、こんな感じだな・・長い昔話に付き合ってくれてありがとよ」
その言葉と共にグラスの中身を一気飲み、それからグラスをテーブルに置いた。
そして椅子から立ち上がり、私にあの笑顔と共に
「俺さ、これから仕事が入ってるから今日はここまでなんだよ、また機会があれば会おうぜ」
との言葉をかけ、そのまま酒場のマスターに視線を向けて
「ツケで頼むわ、こいつの分も宜しく」
と言って、そのまま酒場を軽やかな足取りで出ていった。
後には空になった酒瓶と少し頬が赤くなっている私が残された。
因みに、これらの酒瓶は殆ど彼が飲み干している、どれだけ酒に強いのだろうか気になるが、それを確かめようとした際には確かめる前に財布がパンクしてしまいそうだから恐ろしい。
そして、その場に残された私はある思いに駆られていた。
あの英雄が聞かせてくれた話を誰かに伝えたいと
悲しく、しかし思いやりに溢れていた話を伝えなくてはならないと
その衝動に従い、私は少しふらつきながらも酒場を出て家に直行、紙にその話を唸りつつも書き始めたのである。
それの題名は[とある小さな戦争]
これを寝る間も惜しみ、必死に書き終えた後に私はその場につっぷして寝てしまい、紙を駄目にしてしまったのは秘密である。
こんなドジをやりつつも再び死ぬ気で少しずつ書き、やっと終えた私が次に思った事は
さて、これを誰かに伝えていこう、少しずつで良いから
あの英雄の戦いを知っていってくれれば私は満足なのだから。
また沸き上がる思いに従って行動したのである。
事実、この後の人生はこの話を広めることに力を注いだ、どれだけ広まったかは知らないが少なくとも私の身近な人物達には広まっている。
私は満足だ、我が人生に一遍の悔いなしっと何処かで見たことあるがきっとこういう事であろう。
そして私はもう眠ろうと思う、あの話を聞いて、酒場で動き始めてからずっと私は動き続けた、だから休憩をとるのだ。
またあの英雄と会える日が来るのかもしれない、その時の為に備えて。
こう考えながら、私はベットの上で目をゆっくりと閉じた。
どうだったでしょうか、少しでも楽しめたのなら幸いです




