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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
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好き、って言ってるじゃん!【短編】

作者: 千燕(せんえん)
掲載日:2026/08/11

【注意】

・BL作品です。

・男子高校生同士の恋愛描写があります。

・キス表現があります。

・作中に飛び降りをほのめかす場面があります。

【お願い】

・無断転載・無断使用・AI学習への利用はご遠慮ください。

6月の始め、少しずつ暑さがます頃合いのこと


今日も推しは輝いている。


そう思いながら、推輝 斗愛(すいこう とあ)は電車の中で揺られつつ

スマホの待ち受けをまぶしそうに見る。

もし推しと付き合えたらーなんて、叶いもしない未来を考え、自分の愚かさに苦しんでいた。


 教室に着き、自分の机の横にリュックを下ろす。水筒を取り出し喉を潤したところで、

隣の席に人影が作られる。


「おはよう、斗愛くん」


その声だけで、胸が高まる。


「おはよう、優兎。」


何気なく返しつつ、毎度のことながら心臓が爆発しそうになる。

そう、皆が思うとおり、僕の推しというのはー 

隣の席の人、風間 優兎(かざま ゆうと)のことだ。

優兎は中学の時にモデル業を始め、今では若い年代に人気のモデルだ。

可愛らしい顔立ちなので、メイクなどの美容に関した広告として、雑誌などに入ったりする。

そして意外と身長が高い…羨ましい。

僕が推し始めたのは高校入ってすぐのこと。




 ―高校が始まってすぐのこと、僕は化学実験室までの道のりで迷子になっていた

「大丈夫?」

そう声をかけられ、振り返ると…控えめに言って天使がいた。


 一目惚れだった。


鼓動が早くなり、急激に体が熱くなった。

すっと通った鼻筋、黒く大きな瞳、艶のある癖のない小麦色に染まる髪。

見れば見るほど引き込まれていく―そんな感覚だった。

ふと質問されていたことを思い出し、慌てて

「か、化学実験室に行きたいんだけど…道がわからなくて」

そう答えると、彼は八重歯を見せて微笑み、

「じゃあ俺と行こ?」

そう言った。僕はそれに頷き一緒に歩きだした。―



 思えばあの時の自分、表情に出さなかったの偉いな。

後々になって自画自賛していると、


「…へぇ、俺をおいて考え事?何を考えてたの?」


不機嫌そうに頬を膨らませた優兎に言われる。地味に距離が近い。

そんな彼を見て微笑ましく頬をほころばしつつ話す。

「君との初めての出会いを思い出してたんだよ」

彼の頭に残る寝癖を撫でて取りつつそう言う。ほんと、朝弱いな。

彼はパチクリとまぶたを開けたり閉じたりした後、視線をそらし、頬を赤らめ、

「…そっか」

そっけなく返された。

可愛い…可愛すぎる…! 破壊力が半端なさすぎる…!

心のなかで悶えながら話題も考え、

「そういや、今月の雑誌もすごく良かったよ〜

特に三枚目の瞳の力強さと、服の裾から覗く指の揃い方が美しかった」

なんて推しを褒めていると、横から

「優兎君!ちょっと、良い?」

最近優兎と喋ってる女子―結那(ゆいな)ちゃんに話しかけられた。

おい、僕が今喋っていただろう?なんて思いつつ、彼女に優兎と喋る権利を渡す。

すると、優兎は営業スマイルで「いいよ」と言い、

僕に目配せをした後、結那ちゃんと教室を離れた。

そういや、優兎は僕にああいう笑顔をしないな。あいつの営業スマイル、硬い感じがあるんだよな。

自然に笑ったときとか、柔らかくて本当に比喩ではなくお花が笑っているようだ。



 …すると、突然知らないクラスの女子に名前を呼ばれた。

結那ちゃんの友達らしい。話を聞いてみると

屋上で優兎が結那ちゃんに告白され、

断ったら屋上から落ちて死ぬと言われているらしい。

…は?そんなの許さないが?絶対優兎に罪悪感とか、後悔をそういうので感じてほしくない。

そう思ったのと同時に体が屋上へ走り出した。階段をいくつも駆け上り、足が重くなっていく感覚がある。

いつも運動してなかったツケが回ってきたと脳内は呑気に考える。

息を切らして屋上に着き、「優兎ッ!」優兎の顔を見た途端に叫んだ。

困惑した顔に希望が宿ったような、喜んでる顔のような、とにかく微笑まれた。

そのままへろへろで優兎のところまで歩いた。


 屋上は冷たい風が通り、とても夏とは思えないほど涼しい。

…が、目の前では最悪な出来事が起きている。

「お前...!お前のせいで!」

そう言われ、何の話かわからなかったが思わず

「そんな言い方よくないと思うが?」

息切らし優兎の肩を借りながら言う。続けて、

「まぁ、たしかにアンタは最近優兎と喋っていい感じになってたし、

僕自身君たちが付き合ってもお似合いだとと思ってた。

だけど…アンタは、そんなやり方で優兎と付き合いてぇの?」

彼女は僕たちから顔をそらした。なので一度優兎を見た、が――


「え?」


声が漏れた。だって推しが泣いてるんだもん。

僕が、助けを求めるように結那ちゃんの方を見たけど、お前が悪いと言わんばかりにこちらを蔑む顔で見られた。

いや、なんで?とりあえずハンカチを取り出して優兎の顔を拭こうとする。

「なんで泣いてるん?きれいな顔に真珠流れてるじゃん…」

黒く濡れた瞳から再び大粒の涙がこぼれる。

「…なんか、やっぱ無理だわ。」

彼女は独り言のように喋った。

「……はぁ?!この可愛い顔になんてこと言うの?!」

僕は切れてしまった。冷めたってなんだよ!こんなかわいい子になんてこと言うの!

自分の中のおかんが出てきた。

「そっか、その調子じゃ気づいてないんだね、優兎君も大変だね。

まぁ、とりあえず頑張ってね」

微笑んでそう言い、僕達の近くを通るとき、

「あぁ、そうそう。私、全くと言っていいほど優兎くんのこと、興味ないから。協力してあげただけ」

そう言い残し、彼女は去っていった。

え?いや、泣いてる優兎をどうするんですか?僕に丸投げ?協力って何?

あと、気づくって何を?僕がいるから良いってなんですか?


 困惑していると体が包まれる。優兎ってほんとデカいな…

そう思いながら彼の背中に腕を回し、広い背中を撫でる。

「なんで泣いてるのかマジで見当がつかないけど、保健室行く?」

「…………行く、けど…」

けど?けどってなんだ

「言いたいことがある。」

体から温かさが消える。

「俺さ、ずっと言いたいことあったんだ。」

うん、何を言いたいんだろう。首を傾げながら聞く。

これで告白だったら―とか考え劣等感を抱く。

「斗愛のことが、好きなんだ。」

顔を上げると、優兎は頬を赤らめている。

好き、と言われるのは、これで三(・)度(・)目(・)

いや、これは友情だ。冷静を取り戻せ、と自分に言い聞かせ

「うん、僕も優兎が好きだよ〜」

軽く。そう、軽く、おちゃらけた感じでなんとか声を絞り出した。

心臓が痛いほど跳ねる。顔を上げると、不満そうに微笑んだ表情で優兎が僕を見る

「ま(・)た(・)友情?」

そう言われ、え?と声が漏れた。

「3回目。」

その返事に答えるより先に、

優兎が僕のネクタイを引っ張った。すると勢い良く視界が揺れた。

驚いていると―


 唇に柔らかい感触が走る。

思わず優兎を突き飛ばす。何してんだよッ!

軽く睨みながら優兎を見ていると、

「好き、って言ってるじゃん!」


 朝学習の鐘がなる。そんなこと気にも留められない

僕は、どうすれば良いのか、もう認めるしかないのか。

…薄々気づいていたと言ってもいい。優兎が僕を恋愛で好きだってこと。でも、まさかなと片付けてた。

「……。」

しばらく沈黙が走る。…それを突き破ったのは優兎の方だった。

「…ごめん、迷惑だよね。嘘、これは友情だよ。」

悲しそうな、いや実際に悲しい顔。そんな顔をさせたくない。でも、良(・)い(・)の(・)か(・)。

「いいよ、むしろごめんね。」

声が漏れてたようだ。しかも「良いのか。」の部分だけ。

最悪すぎる!血の気が引いていく。

自分を避けここから去ろうとする優兎の腕を掴む。

「ごめん!僕、最低だわ!友情なんて言わんで…」

彼の後頭部を見ながら

「…一目惚れだった、よ。」

顔が熱い。爆発しそうだ。


 振り返り、「……ほんと?」

そう聞いてくる彼の宝石のように輝く瞳から涙がこぼれかけているのを見て、

「………うん。」

そう答えると、僕の両手を掴んで八重歯を見せて安心したように優兎が笑った。心の中でふつふつと温かさが増す。


気づけば僕も笑っていた。



――ああ、今日も推しは輝いている。



沢山の作品の中からお選びくださりありがとうございます!

最後まで読んでいただけるととても嬉しいです!

こちらの作品、優兎ver.と結那ちゃんver.とその友達ver.を出そうと思ってます!

ぜひ、見てくださると嬉しいです(^^)

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