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OTRA VIDA  作者: 杜松沼 有瀬


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6.幻獣と加工と調剤と変人 10

 ふと気が付いたら壁から生えた石はなくなってて、中央にあった存在感のある岩もなくなってた。部屋の中央では、最中(モナカ)さんと生姜(ジンジャー)さんが地面に散らばった石とか石屑をザラザラと袋に詰め込んでた。

「僕も入れる?」

「あ、もしそっち終わってるから手伝ってほしいかな。想像以上に山になっちゃっててね」

 生姜さんにそう言われたので、僕が部屋の中央に足を向けると、ニニがなぜか僕の肩から滑り降りて行って、二人が袋詰めしてるところに走っていった。石屑の山の中に潜っていったから、多分また何かを探してるんだと思う。

 石屑の山は大きく5つくらいできていて、ニニはそのうちの一つに潜っていったから、ニニの邪魔にならないように別の山をてっぺんから袋に流し入れていく。

 僕が壁から生えた石を崩した時は、結構小さな、砂粒から小石くらいの大きさのかけらが多かったんだけど、この石屑の山はもう少し大きいのが多いような気がする。大きいのがいいのか、小さいのがいいのかよくわかんないけど、袋詰めはしやすいかもしれない。

 粒が大きい分嵩張るのか、一つの山が一袋でおさまらなくて二袋目に流し入れてると、ずぼっとニニが山の中からニニの頭より大きな塊をもって出てきた。

「キュッ、キューイッ」

「わ、なんか大きいの持ってきたね」

 ずいっと僕の方に大きな塊を精いっぱい差し出してくるから、ニニが塊の重さで転ばないうちにと手を指し伸ばして受け取ると、その塊は見た目から想像する重さよりは軽かった。

 色もほかの石より少し白っぽい、かも? とりあえず、ニニが持ってきたってことは石屑とはまた別なんだろうなぁ。とりあえず、最中さんが崩したとこだし、最中さんに渡そうかな。

 そう思って最中さんを見たけど、最中さんはまた何か言ったみたいで、こめかみを辺りを生姜さんにぐりぐりとされていた。忙しそうですね。後にしよ。

 とりあえず、他の石屑と混ざっちゃわないように、ニニから受け取った石はかばんに別枠で入れておく。これだけ山があれば、大き目の石とかも見逃しても不思議じゃないし、ほかにもあったら避けておこ。

 途中までだった山を袋に流し終えて、次にニニが潜ってた山を流し入れる。石屑が詰まった袋がそれから両手の数で足りないくらいになって、ようやく石屑の山がなくなった。真ん中の石、大きかったもんねぇ。

「やー、カナカくんも助かったよ。結構いいものがいくつも採れたから、この採掘ポイント復活したらまた来ようか」

 ふーっと額をぬぐうようなしぐさをしながら最中さんが言う。そういえば、花とかもそうだけど、むしったら全部なくなるんじゃなくて、数日でまたとれるようになるんだっけ。

 ツルハシで石叩くのは結構疲れるけど、綺麗な石とかがまた採れるなら来てもいいかもしれない。

「それで? 必要なものは採れたのか? ほかの採掘ポイントに行くなら、スキルでの採掘に切り替えないと昼に間に合わなくなるぞ」

 生姜さんが手首の辺りをみながらそういうのに、もしかしてアクセサリーで時計とかってあるのかなって思う。もし作れるなら、懐中時計がちょっとだけ欲しい。道場の先生がそういうの好きで、大会の引率でついてくるときによく使ってた懐中時計が、キラキラしてて格好良かったんだよね。

「あー、そっか。こうやって採掘したら時間がかかるんだ。う~ん、時間効率を取るべきか、採集効率を取るべきか……」

「そこは状況によるんじゃないか?」

 生姜さんと最中さんが何か話し合ってるのを見ながら、僕はニニをつついて話が終わるのを待つ。ニニのぷっくりとしたほっぺに指先をくっつけると、むにっと指先が沈む。ニニも僕と遊んでくれるつもりなのか、ほっぺをぷぅっと膨らませたり、しぼめたりして僕の指を埋めたり押し返したりしてきた。

 かーばんくるって本当に頭がいい種類なんだろうなぁ。そのうち僕らと同じ言語もしゃべりそうだよね。こんなに頭いいとさ。

「カナカくん。時間も時間だから一旦拠点に帰ろう。それで、石屑の選別をしたうえで、素材が不足してるならほかの採掘ポイントにも行こう」

 生姜さんの言葉にうなずいて、ニニをつまんで肩にのせる。ニニも移動するのはわかってるのか、僕の首にぎゅっとしがみついてきた。そんな僕らの様子に、生姜さんはなんでか苦笑した。

「カナカくん。もう拠点に戻るだけだからこっちに来て」

「え?」

「最中、カナカくんを支えてあげろよ」

「おっけおっけ」

 支えるって何が? ニニはしがみついてた手を緩めてるから、何か知ってるのかも。

 最中さんが僕の腕をつかむ。それとは逆の手で最中さんが生姜さんをつかんで、生姜さんが大きな杖を取り出す。その杖は、なんだか不思議な形をしてて、生姜さんの背丈と同じくらいの長さがある。その杖の大半は木製っぽかったけど、先端は宝石っぽいキラキラとした石が四つに分かれてて、それぞれがくねくねとねじ曲がって編み上げられたみたいになってる。

 この場所に来る道中で持ってたのとも違うその杖を、生姜さんがトンっと地面に軽く叩きつける。そうしたら、杖の先端がついたところから、地面に緑混じりの白い光が生まれて、そこを中心に模様が広がっていく。

 その模様は、僕ら三人と一匹を包むくらいに広がっていって、広がり切ったと思ったら、一際強く発光する。あまりの眩しさに目の奥がチカチカとした。

 反射でギュっと目をつむるのが早いか、それまで感じなかった風が体全体をなでていく。周辺も眩しいくらいに明るくなっていて、目の奥に焼き付いた残像と合わせてすごく眩しくてたまらない。

「うーん、やっぱ洞窟から飛ぶと眩しくて目に痛いな」

 生姜さんのぼやく声が聞こえる。飛ぶって何だろう。軽く目元を揉んで、残像が薄くなるのを待って目を開けると、僕はさっき最中さんと生姜さんと一緒に出てきた拠点の目の前に立っていた。

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