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OTRA VIDA  作者: 杜松沼 有瀬


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5.プレイヤーとの交流 16

 スポーン地点から歩いて十分ほど。周囲の木々は相変わらず似たような木々ばっかりだけど、拓けたそこには、拠点に向かう途中にむしっていたアルフトラウムとベルヒガングが共生するようにあたり一面に繁っていた。

 この場所にあるのを全部むしったら、イベント期間中は再度採取に来なくても足りそうなくらいに大量に生えてる。

「おぉ、なかなか壮観だねぇ」

「カナカさん、ここにピンを刺しておきましょう。マップピンはイベント終了後も引継ぎされますから、イベント後に採取に来る時にも便利ですよ」

「そうなの、わかった」

 確かにこの二つは別のものを作りたいときにも使えるかもしれない。カチュさんにいわれるままにさっき教わった通りにピンを刺す。少し考えて、ピンは共有ピンにしておいた。マークは選ぶのが面倒くさくて、同じ桜のマークを押す。それから、注釈のところにアルフトラウムとベルヒガングの名前を入れた。

 そこそこの広さがある花畑の、一番密集してるところまで近づいて、その傍に座り込む。案外かが見続けると腰が痛いということは、東門から出たとこでむしってる時に気づいたから、いっぱいむしるときはべったりと座り込むことにしてる。

 いつもと同じように座ってから、放り出した足先が記憶と違っていることに気づいて、そういえば違う服に着替えてたんだって気づいた。……あれ、これって服汚れないかな。やっちゃった? あとで洗濯とかできるのか聞かなきゃ。

 密集してるとこだけあって、むしってもむしってもむしれるものがいっぱいある。花の形を崩したり、花びらをちぎったりだけしないように気を付けながら無心でむしり続ける。

 一本むしってかばんに入れて、一本むしってかばんに入れて。昨日から思ってたけど、入れても入れてもなかなか満杯にならないこのかばんは最高かもしれない。ウェストポーチはこの勢いでむしってたらすぐにパンパンになって、一回工房に戻らなきゃいけなかったから、何往復したことか。

 最初はなんてやべぇもんを作るんだと思ったけど、アメリーさんに相談して、作るって決めて作ってよかった。イベントが終わって帰ったら、似たようなの作らなきゃいけないのには疲労感があるけど、巾着を作るのは意外と面白かったし、属性とかの違いを探すのも楽しそう。

 むしって、むしって、かなり密集していたのにほとんどむしり尽くしちゃったので、ちょっと場所を移動してまたむしる。どんどんと増えて行く花にホクホクした気分だ。時々、アルフトラウムとベルヒガングじゃない花や草もあるけど、面倒くさいから一緒に無条件でむしってる。鑑定してないから、使い道があるかは拠点に戻ってから確認しよ。

「カナカさんっ」

 次の場所に移動しようと腰を上げたところで、カチュさんから鋭い声で名前を呼ばれる。どうしたのかと思って声が聞こえた方向をむこうとして、こちらに走ってくる見覚えのない、ガラの悪い男が見えた。その手には、鋭い刃渡りが短めのナイフが握られている。

 嫌な目でこちらを見ていることから、害意をもって向かってきているらしいのはわかった。でも、この男は人間と戦うことに慣れてないみたいで、脇はがら空きで腕は大振り、もう全身隙だらけで。

 ナイフを握ったまま突き出された腕を、一歩横に動いて避けて、その腕の手首を本来曲がる方とは逆向きに折り、向かってくる勢いを使ってそのまま前腕を握ってその下に体を滑り込ませ、肩に載せて投げ飛ばす。

 いわゆる柔道の背負い投げに近いけど、相手の体に気を使わない点が違う。投げ飛ばし終わった後、普通は握った腕を話すんだけど、そのまま相手の肩に足をかけて腕を勢いよく引っ張って、肩を脱臼させる。

「ぎゃあああああああっ」

 投げ飛ばした男から悲痛な声が上がる。痛みに悶えている様子を少しだけ眺めて、もうこちらに害意を向けられないだろうと判断して、でもとどめ刺すかと肘関節も逆向きに折ってから腕を離す。

 刃物向けてきてたから、過剰防衛気味にやっちゃったけど大丈夫かな。腕一本をめちゃくちゃにしてからそこが気になって、ちらっとカササギさんがいそうな方向を見ると、カササギさんも見たことがないガラの悪い男(今しがたつぶした奴と似たような格好してる)と戦っていて、カチュさんも杖で向かってきた男を殴り飛ばしていた。

 なんでいきなりこんなことになってんの? 疑問は沸いたけど、カササギさんとカチュさんの間を通り抜けてこっちに向かってくる奴がいるので、自分に向かって敵意や害意を向けて向かってくる男は、全員同じように片腕の関節を逆折にして肩を外して動けなくしてやった。

 ……それにしても、人に害意を向けてくる割には、動きは隙だらけだし、関節逆折や肩を外された程度で比叡を上げて動けなくなるなんて、痛みに大勢がなさすぎじゃない? あと、肩は外しただけなんだから、はめればいいのに。

「カナくん、その考え方やめなさいね~、お前よりその辺に転がってる痛みで動けないやつのが一般に近い感覚だからねぇ」

「……そうなの? 肩くらい自分ではめられない?」

「一般的に脱臼したのを自分ではめるのは推奨されてないよ」

「……そっか」

 そんな難しいことでもないのに不思議だなぁと思ってれば、いつの間にかカササギさんがこっちに近寄ってきてて、頭を小突かれた。

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