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2.始まりの街 4

 数十分かけて見つけたアクセサリー制作に関連するスキルは十数にのぼり、どれから取得するべきかを悩んでいるうちに連続ログイン制限時間のアラームがなって一度ログアウトをすることになった。

 ログアウトしたら側で様子を見ていたらしい主治医が「どうだった?」と聞いてきたが、「まずやりたいことを探すのでログイン時間いっぱいいっぱい使った」と答えたら爆笑された。

 そのあと、主治医にひとまず記憶にあったきらきらを求めてアクセサリーを作ることを思いついたけど、関連スキルがいっぱいあってどれからとればいいかわからなくて、考えてたら取得できなかったことを伝えれば、主治医は「それなら『基礎スキル』を検索して、それに出るアクセサリー関連のスキルからとったらどうかな」と助言をくれた。

 この主治医、とんでもない精神科の権威で忙しいくせにゲームをしている時間は確保しているらしく、オートラヴィーダに詳しかった。スキルの絞り込み方法と、ゲーム内でのWEB検索機能の使い方を教えてくれ、実際にアクセサリーを作るときにイメージを保管するのにネットサーフィンもいいよとおすすめをしてくれた。

 本当にできるんだかできないんだかわからない主治医だ。一時間ほどオートラヴィーダとアクセサリー制作に関する助言をくれた主治医は、次の患者のところに行くために病室を出ていった。

 その後ろ姿を見送ってから、もう一度VRHMD(ブイアールデバイス)を装着しなおしてオートラヴィーダにログインした。やっぱりログインするときのこのエレベーターみたいなぞわっとする浮遊感は慣れないな……と思いながら、アバターの「カナカ」の目をあけると、検索をするために最後にいた壁際に直立に立っていた。

「えっと、まずはスキルを、取得する」

 とりあえずログアウトする前と同じように壁を背にして座り込み、もう一度スキル一覧を開き、主治医の助言通りにスキルの絞り込みをする。

「分類が、基礎、になるスキル……ぅわ、これだけでもこんなにあるのか」

 スクロールバーは大分大きくなったものの、それでもずらっと何十も並ぶスキル名に、自由度が高いって逆に不自由なんじゃ? と疑問がわく。

 その絞り込んでも多いスキルの中から、アクセサリーとつくスキルを探せば、「アクセサリー制作」と「アクセサリー鑑定」という二つのスキルを絞り込めた。で、この二つを「取得」を押すと「3/30」「本当に取得するか」とポップアップが出た。

 ……? この数字はなんだろうと思って、そういえばアバターを作ったときのウサギが「スキル獲得ポイントを使用して取得可能」と言っていたことを思い出す。なるほど、この30が今持ってるスキル獲得ポイントで、3の方が取得するのに必要なポイントなんだろう。

 納得できたし、思ったより自分がその「スキル獲得ポイント」というのを持ってるんだなと思って、この「スキル獲得ポイント」はどうやって手に入れるものなのか後で確認しようと思った。

 一つ目の「アクセサリー制作」は3ポイントでよかったが、もう一つの「アクセサリー鑑定」の方はポイントが5ポイント必要だった。なるほど、取得したいスキルによっても必要なポイント数が違うんだ。それなら、ポイントの入手方法によっては使い方を考えないといけないだろうなと思って、HELPを開く。

 「スキル獲得ポイント」、表示は「SP」で、名前の通り使用することでスキルを「獲得」できる。取得じゃないの? と思うけど、一部行動だけでは得ることができないスキルも取得ができるので「獲得ポイント」らしい。

 この「SP」を入手する方法は、「スキルレベルが特定レベルに達した際に1ポイント」、「スキルレベルがMAXになったときに2ポイント」、「累計接続時間(現実時間)で24時間経過毎に1ポイント」、「イベントやクエストなどの報酬で規定ポイント」……。

 え、「SP」って手に入れるの簡単なのかそうじゃないのかいまいちわかんないな。えっと、連続ログイン時間制限が3時間でしょ、限界まで毎回ログインして、8回ログインすると1ポイントって長時間ログインする人じゃないともらえなくない?

 イベントとかクエストってのはよくわからないけど、スキルレベルの方は、スキルに相当する行動をすればレベルが上がるんだっけ。レベルって、単語は知ってるけどここではどういう意味だろう。

 「スキルレベル」スキル名称に相当する行動を行うごとに特定の経験値を獲得、その経験値を累積することによって上昇する。行動内容によって獲得可能な経験値は異なり、レベルの数値によって必要累積経験値数が異なる。レベルは基本上昇するのみだが、規約違反などの際に罰則として低下させられたり、特定クエストでは規定地として特定レベルで固定して行われることもある。対外的には当該スキルの習熟度/熟練度(どれだけスキル名称に相当する行動を行ってきたか)の目安となる。

 ふんふん、目安かあ。数値で表されるのはわかりやすいな。自分が今どれだけできるのか、わかるってことだもんな。それはとても画期的。

 とりあえず、スキルを取得したらスキルのレベルを上げてSPを貯めて、別のスキルを取得するっていうのを繰り返せばいいのかな。累計接続時間は、今後もこのゲームで遊んでたら勝手に達成されるけど、狙って接続するのは苦痛になりそうだから、長くやってたらおまけがついた程度かな。最後のイベントやクエストってのはよくわからないけど、なんか報酬が出るようなことをやったら、SPがもらえるってことでいいんだろう、たぶん。

 ……イベントもクエストも、今はいいや。必要になったら調べよう。

 で、実際にアクセサリーを作るにはどうすればいいんだ……? HELP、HELP……。

 「制作(生産)」、特定の素材アイテムと生産設備、道具を使用することによって別のアイテムを作ること、制作したいものによって必要な素材アイテムや設備、道具は異なる。

 まあそうか。何もないところからいきなり物を作るなんてできないよな。

「アクセサリーを作るなら、何が必要なんだろう」

 HELPをそのまま探すと、生産に必要なものについての一覧が出てきた。アクセサリーは……、木材(伐採)、植物系(採取)、粘土(採取)、砂(採取)、貴金属(採掘)、宝石/鉱石(採掘)が素材になる……あれ、なんかめっちゃいろいろ使う? 前半はよくわかんないけど、貴金属と宝石/鉱石は何となくわかる。木材とか植物って……? 粘土と砂もよくわかんないけど、なんかにいるんだろうな……。

 道具はアクセサリー制作キット(初級)~(上級)までのいずれかと、作業テーブルが最低限必須で、それ以外にも使う素材なんかによって必要な設備が増える、と。まあ、それはそうか。火を使うのに防火設備とか、火を扱う準備がされてないのに火をつかないもんな。これには納得。この制作キットってどこで入手できるんだろ。

 HELPと地図くん。もう一度出番だぞ。

以下現時点のステータス


PC名:カナカ

身体状況:五体満足/所持金:10,000

拠点:なし

所属:なし

未使用SP:22P

取得済みスキル:歩行Lv5/視線察知Lv6/格闘技術Lv2/蹴術Lv1/アクセサリー制作Lv1/アクセサリー鑑定Lv1

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