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OTRA VIDA  作者: 杜松沼 有瀬


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4.変わることと考えること 2

 最初に感じた動きづらさはあんまり感じなくなった気がしたのをいいことに、アメリーさんのお店にさっさと向かう。拠点とアメリーさんのお店の距離がちょっと離れてるのは少しだけ不便だなぁと思いながら足を進める。歩けてることに、ゲームの中なら歩けるんだなぁと少しの感動があるけど、それはそれだ。

 少しの時間をかけてアメリーさんのお店にたどり着くと、アメリーさんが相変わらずにんまり顔で「いらっしゃい」と奥に手招いてくれた。招かれるままに一度入った奥の部屋に足を運んで、促されるがままに部屋の真ん中のテーブルの椅子に腰かける。向かいに腰掛けたアメリーさんは、にんまり顔で前回同様飲み物を出してくれた。

 その飲み物に手を付ける前に、ウェストポーチに突っ込んできたものを取り出す。最初に上の方に大量にある薬草やアクセサリー職人の文章がなかった植物をテーブルの上において行く。広げていくと意外と入ってたなぁ……と思う程度にこんもりとしていて、アメリーさんが若干苦笑しているように見えた。

「ふむ、薬草にファブル草、ヴォルクスマーチェン花、エラザフルンにミサス花、と……。全部東の門の先にある植物だね」

「うん。まずは「初心者のマクラメアミュレット」をちゃんと作れるようになりたかったから、そのために必要なものを採取に行ったから」

「なるほどね。……うむ、この辺りはあれだね、たぶん最初の方に摘んだものだろうね。若干の雑さが見える。で、こっちの辺りはだいぶ慣れてきたころに摘んだ。品質がだいぶ違うねぇ」

 アメリーさんにそう言われて、自分でもよく見た。ら、確かに言われたとおりだった。アメリーさんが最初に指したところにあった薬草は、根元部分が乱雑に摘まれたのがよくわかるぼそぼそさで、ものによっては葉っぱの下半分がなかったりする。逆に、後に指された辺りにある薬草は、どれも均一な強さで摘まれたのがよくわかる程度には根元がきれいだった。

 自分でも自覚してない部分だったんだけど、もしかしていっぱいむしってたから、その間にむしり慣れたんだろうか。本当にまったく意識してないところでの事なので、なんだか不思議な気分だ。

「おや、カナカ坊。なんだか不思議そうな顔をしているねぇ」

「ん……。うん、そうだね。なんか、こう、自分で意識してなかったから」

「ふふ、人間ってのは徐々に自分にとって効率よく体を動かすことを覚えるものさね」

 くすくす笑ったアメリーさんはそのままほかの植物も品質とかいろいろを確認したうえで、うんうん、と何度かうなずいてから「全部買い取るよ」と言ってくれた。少しだけホッとして、残ってた「初心者のマクラメアミュレット」を取り出してアメリーさんの前に押しやる。

 アメリーさんは「初心者のマクラメアミュレット」に視線をやって、一つの「初心者のマクラメアミュレット」に目をやった瞬間に、大きく目を見開いて、じっとそれを見つめていた。少しの間じっと見ていたかと思えば、そっとその「初心者のマクラメアミュレット」を手に取って、天井の照明にかざしてみる。それから、納得したように一つ頷いて、アメリーさんはその「初心者のマクラメアミュレット」をほかのものと少し離しておいた。

「カナカ坊。お前さん、こんなに早く品質Aに到達するなんて思いもよらなかったねぇ」

「……?」

 どういうことだろう。アメリーさんの言葉に疑問がわいてくる。何度も作るうちに、品質は徐々に上がっていった。だから、そういうものだと思っていたんだけど、違うんだろうか。こちらの疑問に気づいたのか、アメリーさんは「ユーバーだもんねぇ」と苦笑する。

「カナカ坊。品質の壁ってのはね、そう簡単に超えられるもんじゃないんだよ」

「……どういう、こと?」

「カナカ坊はほかの職人の作品を手に取ってみたことはあるかい」

 アメリーさんの言葉に、首を横に振る。初日に露天街で眺めたのと、アメリーさんのお店で見せてもらったのしかないのと、その時は普通の鑑定は確か取得前だったから、品質まで確認できたかわからない。

 素直に答えたこちらを見て、アメリーさんは静かに話し始めた。

「職人の制作物での品質はね。品質Bが最高品質といわれているんだよ」

すみません、仕事が想像以上に不規則なシフトになってしまい、想像以上に執筆する余裕がなくなってきております……。

若干1話分の文章量が短くなっても、キリよくできそうなら投稿していけるように頑張ります。


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