旦那様とご対面
「行きましょう」
「はい」
(うぅ~緊張してきた~)
どんな人なのかな、どんな見た目かな、どんな声かな。いっぱい気になるなぁ。
「大丈夫ですよ。旦那様がカノ様に無礼をすることはあっても、その逆はありません」
(…余計緊張してきたかも)
カノはこんな経験はない。もしなにか粗相をしてしまったら、考えたくもなかった。
「わぁ、すごい…」
少し歩いたら居間…といって良いのかくらい広い居間があった。
そこで目にとまったのが、カノの3倍ほどある大きな鏡だった。
「き…れい」
「気に入ってくれましたか?」
「っあ、す、すみません…」
「いいですよ。これからはこの屋敷の物、全てカノ様の物になりますよ」
(っっ~恥ずかしい…)
「!すごい…綺麗な女の人がうつっている…」
軽く化粧をしているが、すっぴんでも美しい。なんでも反射しそうな輝く金色の髪の毛と、森林のような落ち着く若草色の瞳をした女の人がうつっていた。
「女神様が来てくれた…?」
「カノ様、先程からぶつぶつ言っているようですが、この鏡にうつっている女性は、カノ様ですけれど」
「え?私?………ええぇぇ?!うそっ!」
確かに手を鏡に当てたら鏡の中にいる美女も手を当てている。
(信じられない…)
「嘘ではありません。正真正銘、カノ様です」
(ありえない…だって、私は…)
「行きましょう」
「あ、はい…」
少し歩いたら、とある部屋についた。
「失礼します。アイノです。カノ様をつれてきました」
「入れ」
旦那様の声は、冷たく、優しさなどひとつもなかった。
「失礼します」
アイノさんが戸を開けた。
(綺麗…)
第一感想はそれだった。
「お前が、カノ・グールガか」
「はい。カノ・グールガです」
失礼のないように、できるだけ丁寧に言ったはず。
ちらりと旦那様の顔を見ると、少し恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
(?どうしてだろう)
「アワヤ」
「なんでしょうか…ってわぁお!むちゃくちゃ綺麗な人じゃないですか!」
アワヤと呼ばれた人は私を見てそういった。
(……?)
「兄さん、初対面の人になんて失礼なことを!しかも旦那様の奥様なのに!」
…これは…どうしたらいいのだろう。
(なんか兄妹喧嘩?始まったー!)
「「…」」
旦那様も私と同じ表情をしていた。
「んんっ。いいか?」
「「あっ…」」
二人とも気まずそうな顔をした。
「とりあえず…帰っていいぞ」
「失礼しました」
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