縁談(シェント・ノーワルド視点)
シェント視点です。
「はぁ」
「ため息ばかりついていないで、仕事に集中してください」
「そうですよ」
兄妹にダブルでいわれた。
俺はシェント・ノーワルド。この国の王太子だ。なぜため息をついたかというと、それは、20になったときの出来事だ。
『お前はとりま、事務だな』
『は?』
『それと、2年後までには妻をつくっておくこと。わかったな?』
『はい?えぇ?わ、分かりました…?』
と、父言われた。ちなみに今は21で、あと2ヶ月半ほどで22になる。それで、事務はまだしも、何が嫌なの?って説明する前は思うかもしれんが、俺は『妻』や『女』が嫌なんだ。
母はゴッテゴテのメイクに、カメムシみたいな匂いの香水つけて、妹は母ほどは見た目はヤバくはないが、性格がクズみたいだ。
俺が女嫌いになったのも、納得いくだろう?
だから嫌なんだ。
それを思い出したからだ。
っと、話を戻そう。
「はぁ…、早く相性の良い奥様つくってください。こっちも苦労してるんですよ」
「お前はため息ありなのか?」
「これは私自身に、ではなく貴方への、なのでセーフです」
「いや、アウトだろ」
間髪入れずツッコんだ。
「セーフですー」
(妹のほうもか!)
切り替えるために、そこにあった書類をとった。
「ん?これは…グールガ家か」
「グールガ家って、なんか最近すごい魔力の女が生まれたところですね」
「エイナ嬢です」
さすが、侍女頭をしているだけあって、噂も詳しく知っている。
「あっ、でも、もう一人、いました」
「誰だ?」
「エイナ嬢とは反対の、魔力がこれっぽっちもないらしいカノ嬢です」
(ふぅん)
「面白そうだな。グールガ家へ縁談を」
「エイナ嬢ですか?」
「いいや、違う。カノ嬢だ」
「え?」
(魔力なしはここ数十年生まれていない。)
「こんな面白い奴、めったにいないだろう」
(カノ・グールガ。生まれてきて、サンキュー!)
「いや、サンキューてなんやねん」
「いてっ」
なんでチョプするんだよ!
○月◇日
どうやら、俺はツッコミが上手いらしい。
今日始めて知ったことだ。
すっごい遅れました。すみません。