オタクな精霊様と呪わ令嬢
あれから数ヶ月が経ちました。
魔物達も殲滅し、私の故郷であるバルレアンも取り戻すことができました。
……今でも信じられません。
魔物達によって奴隷にされ家族を失った最悪の状況から、ここに戻ることができるなんて。
それも彼──ルルーク様がいたからこそ、できたことです。
そして、私と共に戦ってくれたエクス様も。
私は今、バルレアンの土地に作ったお父様とお母様のお墓の前でそのことをご報告しました。
その最中に、そよかぜと共に彼はきました。
「報告はできたかい? セリスちゃん」
ルルーク様です。
相変わらず、ニカっと素敵な笑顔を見せてくれます。
「はい。ルルーク様」
「良かった……えーっと。セリスちゃん」
「……?」
「あー。うーんと……その、な」
「サッサト要件ヲ言エ」
エクス様がズバッと容赦なくルルーク様に言いました。
「う、うるせぇスケベ剣! 覚悟いるんだよこういうのは!」
「死ヌ覚悟ガデキル癖ニ、何故言エンノダ。後スケベ言ウナ」
「えっやめて。何そのわかってますよ感は。そんな分かりやすかった?」
「……大体ハ察セル」
「うわ……うぜぇ……」
お二方が意味深なことを喋っています。
何だか仲間外れにされて寂しいです。
「お、お二方。一体何を……?」
「ホラ。言エ」
「……セリスちゃん。聞いてくれ……」
「は、はい」
ルルーク様の雰囲気が普段とは違い、緊張してしまいます。
……一体何を話そうとしてるのでしょう。
ルルーク様はゆっくりと口を開きました。
「……俺は元々、あそこで死ぬはずだった。そういう運命だったからね」
「……はい」
私は必死でした。
魔力を最大限、ルルーク様に注ぎ込もうと必死でした。
エクス様の助言もあり、ルルーク様を救うことができました。
助かった時、私も救われました。
私にも、大切な人を救うことができたのだと。
「でも君はその運命を変えてくれた。俺が君を救おうとしてくれたように、君は俺を救ってくれた。改めてありがとうセリスちゃん」
「ルルーク様……」
ルルーク様がじっと、私の顔を見つめてきます。
……何故だか頬が熱いです。
恥ずかしいです。
顔が真っ赤になってるかもしれません。
ただ、お礼を言われているだけだというのに。
ルルーク様も、心なしか頬が赤かったように見えました。
……同じでしたら、嬉しいです。
「だから、その。えっと」
たどたどしく、ルルーク様が言葉を紡ぎます。
「は、はい」
「君を、これからも支えたいと思っている。もしよければ、これを……」
ルルーク様はそう言って、小さな箱を私に渡しました。
その中身は、綺麗な宝石が埋め込まれた指輪が入っていました──。
「ルルーク様……! こ、これって……!」
「……そうだ。俺と結婚、してほしい。君も同じ気持ちなら受け取ってほしい……」
ルルーク様の頬が紅潮していました。
幸せな気持ちでいっぱいです。
そんな言葉じゃ足りないくらい、満たされます。
本当に、嬉しいです。
私はルルーク様の指輪を素直に受け取りました。
「はい……! 私こそ不束者ですが……どうかよろしくお願いします……!」
そう言いながら、目頭が熱くなってしまいました。
恥ずかしいです。
でも、嬉しいのです。
幸せな感情がぐちゃぐちゃになって、おかしくなってしまいそうです。
私はルルーク様の顔を見つめようとしました──。
「……ぐほぁ!」
しましたが、ルルーク様が鼻血を出しながら倒れてしまいました。
えっえっえっ。
あら……!?
「ル、ルルーク様ぁ!?」
「耐えられんかった……無理……恥ずか死……あぁでも幸せ……マイエンジェル……」
「そ、その呼び方やめてください!」
「大丈夫カ貴様」
「幸せを噛み締めすぎた……結婚……推しと……アニメかよ……最高かよ……」
「あ、あにめ……?」
相変わらず分からない単語が次々と出てきます。
「我が生涯にぃ……悔いなしぃ……」
「私が悔やみます──って前もやりましたよルルーク様!?」
「うっふふふ……素晴らしいノリツッコミ……マイエンジェル……」
「ルルーク様!? ルルーク様ぁ!!」
「……一生ヤッテロ」
こうして私は、ルルーク様と結婚することが決まりました。
奴隷だった私を救ってくれたルルーク様。
そして、私と共に戦ってくれたエクス様。
きっとどんな困難も乗り越えられるはずです。
……まずは、ルルーク様に回復魔法を付与することにします。
お父様、お母様。
私、この方と幸せになります。