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短編集

明日は冬休み最終日

短編小説第三作です。

1月14日 日曜日

冬休み最終日


9:47 起床

9:52 朝食 朝食はマーガリンを塗った食パン

10:04 ゲーム 趣味のゲームをやる

12:47 昼食 昼食はカップラ

13:01 ゲーム また趣味のゲーム

17:45 夕食 庶民的な夕食、だが上手い

18:07 YouTube 好きなYouTuberを見る

19:40 勉強 やばい、何もしていない。

20:17 風呂 ほげー

20:38 勉強 よし、やろう

21:03 ゲーム もう知らん、どうにでもなれだ。

23:58 就寝 神にもう一度日曜日をやらせてくれと願いながら。



【ループ1回目】


朝、サクマは目覚めるのと同時に勉強机に置かれている電子時計を確認する。


日付は、1月14日だった。


「あれ、今日から学校じゃなかったっけ?」


起き上がったサクマは、自分の机に見知らぬノートが開き置かれているのを見た。開かれたページには、こんなことが書かれていた。


『勉強をやれ』と。


サクマは階段を降り、前回と大体同じ時間に朝食を摂る。朝食も昨日と同じマーガリンを塗った食パンだ。


リビングには前回と同じ席にサクマの父親が珈琲を飲んで座っていた。


「なあ親父、昨日って、日曜日じゃなかったっけ?」


サクマは独り言のような口調で言う。


「はぁ?昨日は土曜だろ?明日から学校なんだから曜日感覚治しとけよ?」


父親はやれやれと言わんばかりにそう答える。


……だよなと思いながらサクマはパンに食らいつく。


その後も、前回と同じような一日を過ごした。



【ループ2回目】



──あれ?なんか、おかしくないか?


日付は日曜日。


サクマは気づく、冬休み最終日の日曜日がループしている事に。


だが、やることは変わらない。飯は全部昨日と同じメニューで同じ味。昨日プレイしたゲームはやっていないことに、YouTubeに投稿された動画は昨日見た動画。少し退屈ではある。


夜。23時過ぎ。


「時間がループしている、か」


サクマはベットに横になり天井を見上げながら考える。


──いや最高過ぎんだろ!?ずっと冬休みとか現在までの全ての学生が一度は夢見た世界ではないか!もしも明日も日曜日だったら、さすがに黙ってはいられないよなぁ!?


例のノートの事はすっかり忘れているサクマ、だがそれも仕方の無いことだろう。時間がループしていると分かって、勉強しようと思う程の真面目バカがノーベル賞を受賞するのだろう。


だが、この日曜日を作った神は呟く。『さっさと勉強しろよ』と。



【ループ3回目】



──きたぁぁぁぁぁ!!!これはループ確定!


テンション爆アゲのサクマ、さて何をしようかと考えるサクマ、とりあえず一杯やるかと思うサクマ。(未成年飲酒ダメ)


何度もこの日を繰り返しているサクマは、11時頃に両親が買い物に行く事を知っている。その時間に飲もうと考え、とりあえずYouTubeを見て時間を潰した。


そして両親が出掛けて少し経った頃、サクマは冷蔵庫からキンキンに冷えてやがる缶ビールを取り出す。


──ふっ、ついに、この時が来た!


カシュ。


このループの世界に、乾杯。


ンゴくっ、ゴクッ、ゴクッ……


──うーん、マジィ。やっぱり酒は大人になってから飲むべきだったなぁ……


さてゲームしよう。結局ゲームをするサクマ。


世界一無駄な時を過ごし続けるサクマ。だが、そんな時間はいつまでも続かない。



【ループ4回目】



例のノートには新しく、こんなことが書かれていた。『いい加減勉強しろ』と。


──ふっ、人間は誰かにやれと言われればやる気を失う生き物なのだよ。やるわけねぇだろ!ボケ!このバグった世界、楽しまなきゃソンソン!


もちろん勉強などやらないサクマ。彼はまた無駄な一日を過ごす。


しかし、神の怒りは溜まっていく一方だった。



【ループ5回目】


今回もまた何をしようかと考えているサクマだったが、ついに禁忌に手を出す。


──待てよ、もしも全く同じ事が起きるなら、ギャンブル勝ち放題って事じゃねぇか!?待てよ〜一番簡単に出来るギャンブルは……


勉強はやらないクセに、そんなしょうもない事には頭を使うサクマ。


──そうだ!競馬だ!競馬をやろう。(未成年はダメ)


今日は14日、今日のレースを調べるサクマ。


──ほうほう、GⅡがあるのか、よし、後でしっかり確認しよう。これで勝ち馬に賭ければ……人生楽勝じゃん!まさか一生ループする訳ないんだから、買い続けてループから抜け出す時、俺は次の日から金持ちだぜ!



【ループ6回目】



『これが最後だ、次はない。勉強しろ』例のノートにはそうマイネームで殴り書きされていた。


……少し不気味と思うサクマ。さすがに今回はやっておくか……と思いながらも、午後、サクマは昨日見たレースの結果を元に、賭けをする。


「さ、さ、3億6000万!?」


サクマが当選した金額は3億6000万円という高校が持ってはいけない額だった。大金をどう使うのか、男なら一度ならず何度も妄想したであろうことをサクマは本当に金を得て考える。


その妄想は、数時間にも及んだ。


ハッと、我に返って時計を確認すれば、既に時刻は21時を過ぎていた。


「やば!テンション上がりすぎて勉強すんの忘れてた!」


猛急ぎで課題と答えを開く。


──学生なら誰もがやる技、答え見ながらやるけどところどころわざと間違える戦法でやるしかないな。


勉強でも全く意味の無い無駄な時間を過ごす。


そんな()()を始めて数時間。


もうすぐ日が変わる時間帯になってようやくサクマは課題を片付けた。


「よし、なんとか間に合った、俺の考えが正しければ恐らく明日はループしない、つまり!俺は明日から金持ちという訳だ!」


ウッキウキのまま課題をリュックに詰める。だが、ここでとんでもないものが出てきた。


「は?なんだこれ」


リュックの中には、見知らぬ課題が入っていた。英国数の3教科の問題集だ。


──……あぁ終わった、これも課題だったっけ。今からやってもぜってぇ間に合わない。


時刻はもうすぐ日が変わる。答えを見ながらやっても到底間に合わない。


だからサクマは諦めて寝た。





朝、サクマはすぐに今日の日付を確認する。


電子時計には────14日と表示されていた。


起き上がり、机の上を確認するが、例のノートは無くなっていた。


これからどうなるか、サクマまだ知らない。

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