表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

短編 94 新たな家族の形とは

作者: スモークされたサーモン

 

 ふと思ったことを書いてみました。こういうのがエッセイになるのかなぁ。


 



 うちの家には お父さんが 二人います。


 うちの家には お母さんが 三人います。


 みんな 仲良しさんです。


 お父さんは お母さんが 大好きです。


 お母さんも お父さんが 大好きです。


 お父さんも お父さんが 大好きです。


 みんな 大好きです。


 お母さんは お母さんと 料理をします。


 お母さんは お母さんと 洗濯をします。


 お母さんは お母さんと 掃除をします。


 みんな がんばります。


 お父さんは お仕事に行きます。


 お父さんも お仕事に行きます。


 仲良しさんです。


 お父さんは お母さんと ラブラブします。


 お父さんも お母さんと ラブラブします。


 お母さんは お母さんと 仲良しさんです。


 お父さんは お父さんと ラブラブです。


 妹が 来年 生まれます。


 ぼくは お兄ちゃんに なります。


 早く 妹に 会いたいなぁ。




 これは少し先の未来。小学校の作文発表会で発表された一人の生徒の作文である。


 奇妙な作文ではあるが、男の子がおかしい訳ではない。


 少し先の未来。


 夫婦の形。家族の形は以前と様変わりしているのだから。



 一組の夫婦では経済的に子を産むことすら躊躇する時代があった。


 子育てに関する相談相手も居ない。頼れる人も居ない。


 居たとしても付き合えるような人ではない。ママ友を名乗る詐欺師は沢山いたのだから。


 頼れるものは家族だけ。


 頼れるものは身内だけ。


 しかし夫婦二人では足りないのが現実。


 ならば頼れる者を増やせばよい。


 この発想が多婦多夫式夫婦の生まれる土壌となったのだ。


 それは最初、夫婦が寄り集まっただけの共同体だった。


 男二人に、女が二人。


 つまり夫婦が二組。それがひとつの家で一緒に暮らす。子育ても経済も一緒にこなす。

 

 立場に上も下もない対等な家族。仲間である。子供が産まれればみんなで育てる。生まれた子供は、みんなの子供。

 

 これは意外と上手くいった。


 上手くいったのだが変な方向に行くことにもなった。


 共に暮らしていれば仲良くなるのも当然。喧嘩するのも当然。反りが合わなければ別の夫婦との共同生活に変えるだけ。


 誰とも仲良く出来ない夫婦は孤立していくのが当然の流れだった。


 円滑な友好関係。それを築くのがこの共同体の肝である。


 それにいち早く気付いたのが子供を産みたいと願う妻達だった。彼女達はどうすれば強固な関係が作れるか考えて、ひとつの答えを出した。


 夫婦という垣根の撤廃。


 二組の夫婦という形を捨て、二人の妻。二人の夫となることにしたのだ。


 妻は二人の夫を分け隔てなく愛す。


 夫もまた、二人の妻を分け隔てなく愛す。


 そして夫も夫を分け隔てなく愛す。


 受けも攻めもばっちこい。ラブの国境破壊である。


 当然世間の反発は大きかった。


 ふしだらだ、淫らだと批判の嵐が吹き荒れた。


 だが現実として、それはとても有効に働いた。


 特に夫同士がラブラブになった共同体は絶対に崩壊しないという驚きのデータが叩き出されることになったのだ。


 むしろ妻への時間が減る。そんなデータも出た。


 時間は有限なので当たり前とも言える。


 ラブラブな夫達は子育てにも積極的に関わっていた。どちらの妻が産んでも、その子は愛する子供、愛する人の子供なのだ。


 なにも言わなくても男達は子育てに関わった。


 結婚に二の足を踏んでいた夫婦や出産を諦めていた多くの夫婦はこれを見て『これだ!』と確信した。

 

 こうして多婦多夫制はあっという間に広まった。


 当初は反発も激しかった。しかし子を産み育てたいと願う夫婦の願いはそれをはね除けた。


 批判するものは批判しかしない。決して助けてはくれない存在。そんな人達の言うことを何故聞く必要があるのか。


 誰も自分達を守らない。支えない。ならば自分達で自分達を支えよう。守り抜こう。


 多婦多夫制が広まる理由はそこにあった。


 これにより、国は割れたが子は増えた。





 多婦多夫制が広まるなか、ひとつの問題点が持ち上がった。


 三人以上の夫がいる共同体で修羅場が乱発したのだ。


 妻が三人以上になっても、そんなことにはならない。


 夫が増えると修羅場発生率が跳ね上がるという謎現象。


 夫同士の嫉妬が原因だった。


 これを受けて『夫は二人まで』というルールが生まれる事になった。


 どうしても三人以上にする場合はスケジュール管理を徹底する、そんな鉄の掟も出来た。


 その後も色々な問題が発生していく中、紆余曲折、試行錯誤していき、一番安定する共同体が『男二人、女三人』という数字で導き出された。


 子育て、家事、経済、全てにおいてバランスが取れた数字である。


 誰かに何かあってもフォローが利く。これが家族の新形態となったのだ。


 だから冒頭の作文はおかしくない。


 普通の事なのだ。


 少し未来はそんな形で続いている。




 今回の感想。


 アホな話ばかり書いてるけど、真面目に生きてます。ええ、真面目です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ