お前、何かやらかしたの?
ツッコミ「お前、また何かやらかしたの?」
ボケ「ん?何で?」
ツッコミ「だって、頬が片側だけ真っ赤だから。女に二股がバレて打たれでもした?」
ボケ「二股も何も、俺に彼女がいないの、お前知ってるじゃん」
ツッコミ「んじゃ、何でそんな赤いの?」
ボケ「これ、チーク。化粧してみた」
ツッコミ「お? おぉー。まあ、男が化粧するのは今時はアリなんだろうけども。でも何で片方、片頬だけ?」
ボケ「その答え、この頬の真実……人間はいつも1人」
ツッコミ「……お前はボッチの名探偵か」
ボケ「横顔で左右違った魅力を出せれば、俺という1人の人間が2人に増殖するかなぁと思ったのだよ、ファトソン君」
ツッコミ「ふーん? 分かるような分からんような。増殖……言葉のチョイスがキモいな」
ボケ「じゃあさ、こう考えてみろよ。俺がこの顔で合コンに行きました。彼女が出来る確率は……さて、どうなるでしょう?」
ツッコミ「下がる」
ボケ「ん?何で?」
ツッコミ「常に横を向いていられる訳がないだろう。正面に座った子、ドン引きだぞ? テンション駄々下がり」
ボケ「でもカウンター席の店ならセーフだろ?」
ツッコミ「カウンター席での合コンには無理がある」
ボケ「分かった。なら、1対1のサシでデートならオッケーじゃん」
ツッコミ「そのデートのお相手を見つけるための合コンだけどな」
ボケ「そっか。じゃあ、付き合ってからこの化粧をすればいいのか」
ツッコミ「速攻振られるけどな」
ボケ「ん?何で?」
ツッコミ「……はぁ。それにな、お前。横に座った子に左右の顔を見せようと思ったら、途中で席を変わらなきゃならんだろ」
ボケ「ん?何で?」
ツッコミ「彼女が左、お前のお椀を持つ手の側に座りました、お前は右に座ります。彼女が見るのはお前の右の顔か?左の顔か?」
ボケ「左」
ツッコミ「そうだろ。ずっと左だ」
ボケ「分かった!彼女がお花摘みに出掛けたら席をチェンジすればいいんだ」
ツッコミ「席を離れたが最後、彼女はきっと戻って来ないけどな」
ボケ「ん?何で?」
ツッコミ「お前、そもそも本当に化粧必要か?黙ってればそこそこイケメンだろ」
ボケ「ん?何で?」
ツッコミ「お前……だって、そこそこモテるだろう。そんだけ整った顔してれば、告白されたことくらいあるだろ?」
ボケ「うーん。新しい学年が始まってすぐの頃はよく告られるけど。クリスマスもバレンタインも、俺の周りでは閑古鳥さえも鳴かない」
ツッコミ「黙ってれば格好良いだろうに」
ボケ「カッコウ、カッコウ」
ツッコミ「まぁ、年度の後半にもなればお前のパッパラパーの頭と狂った行動がクラスの皆にバレバレだもんな」
ボケ「ん?何で?」
ツッコミ「ちゃんと鏡を見て来い、現在進行形で狂ってるから」
ボケ「ん?何で?」
(終)