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番の瞳  作者: 言葉
第二章:レイアの過去
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95.ぶっ飛ぶ息子


レイアがノアと共にシェリルに種族について教えていると、突然ハーレイからの呼び掛けが届いた。

予定では今日の夜のはずだが、何か急ぎの要件なのだろうか?

まさかセオドアに居場所がバレたのだろうか?とレイアの顔に影が差した。

そんなレイアの様子に、すぐに気付いたノアが声をかけた。


「そうだレイア。レイアに渡すものがあったんだにゃ。ちょっと着いてくるにゃ」


突然のノアの言葉に我に返ったレイアは、ノアの瞳を見て彼がレイアの様子に何かを察した事に気付いた。


「あら、何かしら。ちょっと行ってくるわね」


イヴとシェリルにそう告げると、ノアの後をついて二階へと向かい、そのまま二人はレイアの部屋へと入った。


「何かあったのか?」


レイアが部屋の扉を閉めるなり、ノアがベッドに飛び乗って尋ねてきた。


「息子から呼び掛けがあったの。今日の夜話す事になっていたのだけど、緊急かもしれないわ」


「ほう、レイアの息子か。どれ、僕も会ってみよう」


そういえば猫至上主義のハーレイはノアに会いたがっていたしちょうどいいかも、とレイアが考えていると、再度ハーレイからの呼び掛けが来た。

レイアはハーレイに、緊急の際は数回呼び掛けるようにと伝えていた。

これは間違いなく緊急なのだろう。

レイアはノアに「始めるわ」とだけ言うと、すぐに魔法を唱え始めた。


-----------------------------


「母上、予定の時刻ではないのに申し訳ありません」


レイアは空間に呼ぶなり頭を下げた息子に、何も無い空間を飛ぶように近付くと抱きしめた。


「良いのよ、急ぎだったのでしょう?すぐに呼べなくてごめんなさい」


「はい、実は・・・・・・・・・ふぁぁあ!?」


「え?ハーレイ!?どうしたの?」


腕から解放した直後の息子の突然の叫びにも似た声に、レイアが驚いて息子の顔を凝視した。

すると息子の視線の先はレイアではなく、少し後ろに佇んでいたノアに向かっていた。

レイアは、ああ、と納得したものの、思わず苦笑いが零れた。


「ハーレイ、彼が昨日話したノアよ。ノア、この子が私の息子のハーレイ」


いつもはキリッとして大人びて見えるハーレイの藍色の瞳が、年相応にキラキラと輝いている。


「ボクがレイアの師匠のノアだにゃ。よろしくにゃ」


ノアがレイアの頭に飛び乗って挨拶を述べると、ハーレイの瞳はさらに輝きを増していく。


「は、ははうえ、しゃ、しゃべっ、ふぁぁあ」


レイアは頬に手を当て、困り果ててしまった。

ハーレイは普段は心配になるほど賢いのだが、如何せん猫を前にすると、ぶっ飛ぶのである。


「レ、レイア、そいつ大丈夫なのかにゃ?」


ノアもぶっ飛び中のハーレイに、若干引き気味の様だ。

なんせ、ハーレイの手がノアに触りたそうにワキワキしているのだ。


「普段はとても賢くて大人しいのだけど、猫が大好きで・・・初めて会う猫の前ではこうなるの」


「なるほどにゃ。でも何か急ぎだったんじゃにゃいのか?」


ノアの言葉にぶっ飛んでいたハーレイの意識がようやく引き戻された。


「はっ!母上、ノア様、申し訳ありません!僕としたことが」


「良いのよ、貴方の猫好きは相当だものね」


微笑みながらレイアに頭を撫でられたハーレイは照れているのか頬が赤い。


「相当のレベルじゃにゃいにゃ」


ハーレイと未だ呆れ顔のノアを、一先ず作り出した椅子に座らせ、レイアが話を促した。


息子の話は、セオドアがレイア達の失踪を知った事、フェルディナがシェリルに追跡の魔術を施していた事、そして今はまだレイア達の魔力は追えていないという話だった。


「やっぱり追跡だったにゃ」


一通り話を聞き終えたノアがそう呟くと、ハーレイは輝く瞳でノアを見つめた。

その視線に答えるように、ノアが続ける。


「シェリルの体内に魔術を見つけたにゃ。魔術を解除しようかと思ったけどかなり強い魔術で、ヘタに解除するとシェリルに反動がいきそうだったからやめたんだにゃ。でも今はその魔術ごとボクの結界で覆ってるから追跡は出来にゃいにゃ」


「母上!母上!凄いですね!ノア様凄いですね!」


こんなにテンションの高い息子を見るのはいつぶりかしら、と、微笑むレイアをよそに、ノアは褒め讃えよと言わんばかりに、いつものように腰に手を当てた。


書いてると時折ハーレイがまだ10歳なのを忘れがちなので、たまには年相応なシーンを。

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