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番の瞳  作者: 言葉
第二章:レイアの過去
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88.湖の扉


「ねぇ、ノア」


シェリルを向かいのソファに移動させ、膝掛けを掛けながらレイアが小声でノアを呼んだ。


「なんだ?」


「シェリルに番の話、するべきだと思う?」


ノアは砂糖菓子を頬張るのを止め、シェリルをじっと見つめた。


「出逢うのはいつ頃なんだ?」


夢で見たシェリルを思い出しながらレイアが答える。


「そうね・・・多分シェリルが16.17くらいかしら」


「その頃に、『リンデンバウムで出逢う』くらいは言ってもいいかもな。番に関してはシェリルだけの事じゃなく、セシルにも関わる事だ。万が一、ノイラートや皇帝にシェリルの魂を削られたら、番と分からないかもしれない。だから伝えた方がいい気はする。今すぐに、って訳じゃないけどな」


レイアは元いたソファに座り直し、暫し無言で考え込み、やがて小さく息を吐いた。


「そうね・・・ノアの言う通りだわ。あ、そうだ、ノアに頼みがあるの」


「なんだ?」


「シェリルの過去を見て欲しいの。陛下に私の寿命を伸ばす方法を探す様言われていたノイラートの魔術師が、番に関する書物を読んでいたの。シェリルが産まれて数日後に、ノイラートが先読みを行ったのだけど、その時に番に関する何かが出たのだと思うのよ。その内容が知りたいの。私、未来はなんとか見れるけど、過去を見るのは相変わらず苦手で」


「なるほど。ちょうど眠ってるし、見てやろう」


ノアは器用に紅茶を飲み干すと、ひらりとシェリルの眠るソファに飛び移った。

そして前回の様に額に手をぺちっと載せると、瞳が虹色に輝き出した。

ハッキリした日付が分からないためか、暫くそれが続いた。


5分ほど経った時、虹色の瞳のままのノアが突然言葉を発した。


「『扉を潜れば番に出逢う 扉を潜らねば赤に染まる』」


言い終わったノアの瞳がスゥっと元の黄金に戻った。


「・・・扉?」


いつの間にかソファの後ろでティーポットを片手に立っていたイヴが呟いた。

レイアは難しい顔でノアの言葉の意味を考え込んでいる。


「レイア、シェリルの夢で見た場所はリンデンバウムの湖なんだにゃ?」


もうバレているのだが、ノアはイヴの前では猫語で通すつもりらしい。


「あ・・・ええ、そうよ。湖の横に倒れている所に彼が来るの。でも扉なんて・・・」


「扉ってのは精霊の湖の事だにゃ。昔教えた事、覚えてにゃいのか?精霊の湖の底には他の精霊の湖に繋がる扉があるって教えたにゃ。赤ってのがわからにゃいけど・・・今日行った湖の中の扉から、リンデンバウムの湖に行けって事じゃにゃいか?」


レイアは目から鱗のような顔でノアを見つめた。


「そうよ・・・きっとそうだわ。私は見た事ないけれど、扉があるって昔ノアが教えてくれたわね!さすがだわ!」


「まったく・・・まぁ教えたのは何百年も前だけどにゃ」


ノアはブツブツ言いながらも、さすがと言われて満更でもない顔をしている。


イヴはノアの言葉で何となくは理解したのか、相変わらずキラキラとした目でノアを見つめ、「やっぱりノア様は可愛いのに凄い・・・」と呟いていた。


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