74.遠き日のレイアと息子②
「ハーレイ、あなたが妹のシェリルが産まれた日に見た夢は予知夢のようなものよ。きっと私が夢の魔法を得意としているから引き継いだのね」
ハーレイはしっかりとレイアの目を見ると、そうなのですね、と頷いた。
「おそらくシェリルが6歳か7歳になったら・・・私はシェリルをつれて身を隠さなければならなくなるわ」
「はい、ははうえ。私もそれがいいとおもいます」
レイアが、シェリルだけを連れて行くと理解しているであろう息子は、泣きもせず毅然と話を聞いている。
本当はハーレイも連れて行きたい。
しかしこの子は未来の皇帝。
「ハーレイ、貴方も連れて行けたら・・・」
「ははうえ、それはだめです。私までいなくなったらちちうえをとめるものがいなくなります。ははうえはしぇりるを守ってください」
レイアは改めて息子を胸に抱きしめた。
まだこんなに幼いのに、私はなんて酷い母親なのだろうか。
また泣きそうになる自分を叱咤して腕を緩めると、壁際で切なそうに見ていたイヴに視線を移した。
「イヴ、あれを」
言われたイヴは、レイアのクローゼットの中の引き出しから小さな箱を持ってきた。
その箱を開けると、中に小ぶりの雫型のペンダントが入っており、それをハーレイの首にかけた。
「ハーレイ、これは母が遠くに行っても会える魔法具よ。このペンダントを握って呪文を唱えると、私に貴方の呼び掛けが届くの。私が問題なく貴方を呼べれば、夢の中で会えるのよ」
ハーレイは、まだ少し長めの細い鎖で首に掛けられたペンダントを不思議そうに眺めている。
雫型の石の中には虹色の液体のようなものが形を変えながら光っている。
「すごいまほうぐなのですね!これはいつも光っているのですか?」
「いいえ、私が近くにいる時だけよ。私がいない所では薄い紫の宝石に見えるわ」
「それならばまほうぐだとはきづかれませんね。これからずっとつけます」
レイアは賢い息子にふふ、と微笑むと優しく頭を撫でた。
「今日はたくさん話して疲れたでしょう?呪文ややり方はまた教えるわね」
「はい、ははうえ・・・また明日きてもいいですか?」
少しモジモジしながら、頬を赤らめた愛しい息子が尋ねてきた。
「もちろんよ。お勉強が終わったらいらっしゃい、楽しみに待っているわ」
レイアが笑顔で答えると、ハーレイはぱぁっと明るい顔で はい! と答えて立ち上がった。
「それではははうえ、私はいもうとにあってからへやにもどります」
「ええ、優しいお兄様にシェリルも喜ぶわね」
ハーレイはにぱっと笑うと 失礼します とレイアの部屋を後にした。
ハーレイを見送って戻ってきたイヴは、新しく入れ直した紅茶をレイアの前に置くと、
「ハーレイ殿下はとても優しくて聡明になられましたね」
と、嬉しそうに言う。
「ええ、本当に。ハーレイは私の誇りだわ」
レイア暖かい紅茶を飲みながら、先程会ったばかりの息子を思い浮かべて心まで暖かくなった気がした。
今の所あんまり出番ないですが、ハーレイが好きです( ˙꒳˙ )キリッ




