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番の瞳  作者: 言葉
第二章:レイアの過去
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73.遠き日のレイアと息子①


時は少し遡り、六年前のレイアがセオドアとフェルディナの会話を聞いた翌日。


レイアは息子のハーレイを部屋に呼んでいた。


「ははうえ、おからだはいかがですか」


まだ幼いにも関わらず、聡明であると評判の息子の挨拶に、レイアは頬を緩ませた。


「ハーレイ、よく来てくれました。こちらへいらっしゃい」


レイアがしゃがんで両手を広げると、笑顔になったハーレイが嬉しそうにレイアの胸に飛び込んだ。


「なかなか会えなくてごめんなさい、ハーレイ」


腕の中の息子のブロンドの髪を撫でながら謝罪を口にすると、ハーレイは頭をふり、


「いいえ、ははうえが元気になってくれればそれだけでわたしはうれしいです」


と、にっこりと笑う。

本当に良い子に育ってくれた、と、周りの者に感謝しかない。

レイアはハーレイの手を引いてソファに並んで座ると、イヴにお茶とお菓子の準備をさせ、他の侍女を下がらせた。


「ハーレイ、今日はあなたに大切な話があるの」


レイアが真面目な顔でそう告げると、ハーレイはケーキを食べていた手を止め、レイアの方に少し体を向け、藍色の瞳でレイアを見つめてはっきりと言った。


「いもうとのことでしょうか」


レイアはハーレイの言葉に思わず息を飲んだ。


「ハーレイ、どうして・・・」


「いもうとが産まれた日に、ゆめをみました。ははうえと大きくなったいもうとと、あと何人かで城からにげるゆめでした」


ハーレイは一息にそう言うと紅茶を一口飲んで、続けた。


「いもうとは何かきけんなめにあうのでしょうか。だからははうえがいもうとをつれて、にげなければいけないのでしょうか。わたしは何か、いもうとのやくにたてませんか」


そこまで聞いたレイアは思わずハーレイを抱きしめ、キラキラと輝く息子の髪に涙をぽたぽたと流した。


「ははうえ?ないているのですか?どこかいたいのですか?」


「いいえ、あなたがとても優しい子に育って、嬉しくて泣いているのよ」


少しの間ハーレイを抱きしめていたレイアがようやくその腕から解放すると、ハーレイは照れたように顔を赤くして微笑んだ。

レイアはその頬を撫でながら、少しづつ、自分の出生から今日までの話を、包み隠さずハーレイに話して聞かせた。


「それでは、ははうえとちちうえの息子のわたしも長くいきられないのですか?」


聡明な息子は、すぐに話を理解したようで疑問を投げかけてきた。


「いいえ。あなたは男の子だから大丈夫よ。通常の人間と同じだけ生きれるわ」


「では、しょうらいわたしがむすめを持ったらどうなりますか?」


「あなたは本当に賢いのね・・・。クウォーターであればほとんど問題はないと伝えられているわ。でもあなたは妖精の力を多めに引き継いでいるから、相手に選ぶのは魔力が少なめの方がいいかもしれないわね」


「わかりました、そうします。くにをまもるために、戦えないとだめなので、剣などがうまいごれいじょうをはんりょにします」


ハーレイの言葉に、レイアの目が優しく細められた。


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