表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
番の瞳  作者: 言葉
第二章:レイアの過去
57/641

57.古の妖精

息子を見送ったレイアは、何も無い空間に向けて小さく息を吐いた。


先程、ハーレイに渡した紙には、何の効力も無い。


通常であれば皇帝のサインか、皇帝が認めた代理のサインが必要だが、ハーレイに渡した紙にはレイアの名前だけしかないし、そもそもレイアは死んだことになっている。


それでもレイアは母として、娘とその番の婚姻を認めるという事を、娘の番に伝えたかった。


「ここまで、長かった・・・」


一人呟いたレイアは、遠い記憶に思いを馳せた。







レイアは、古の時代に妖精界に意識と存在を得て生まれた。


妖精は妖精界、精霊界、たまに『外』と呼ばれる人間界で気ままに生きてきた。

元々が戦闘種族でもない為、滅多に死ぬことは無い。

しかし500年ほど生きていたレイアは、妖精界に迷い込んだ魔族に存在を消滅させられてしまった。


妖精は、存在が消えても意識は残る。

そして時が来るとまた、その意識が存在を得て、記憶、容姿、すべて元通りに生まれ直す。

妖精はそれを繰り返してきた。

レイアも、初めての消滅から200年ほど後に生まれ直していた。


レイアが初めて自身の意識と存在を得てから、3000年がたった頃。


精霊界へ向かっていたレイアは、森で一人の人間を見つけた。

その人間は血まみれで、折れた剣を握ったまま木に背中を預けている。

死んでいるのかと近付くと、微かな呼吸が聞こえ、

レイアは回復魔法でその人間を助けた。

その人間が、当時19歳のセオドア・フォン・シャウゼンであった。


その出逢いから2年、2人は出逢った森で逢瀬を重ねていた。

そして2年前に出逢った日と同じ日に、レイアはセオドアから求婚された。

レイアは迷った。セオドアは皇太子で、自分は妖精。

妖精である事は話してはならないとされていて、

もちろんレイアもセオドアには隠していた。


妖精が人間の伴侶を得る場合、妖精には、選ばなければいけない事がある。


妖精は所謂、精神体のようなもの。

意識すれば触れたりは問題なく出来るが、きちんとした肉体と人間のような魂はない。

故に、子供をもうけることが出来ないのだ。

どうしても子が欲しい場合、精神体のような体を人間のそれへと変化させ、同時に魂を得る必要があった。

しかしこれを一度行うと、元の存在には戻れない。

そして人間と妖精の娘の様に、寿命が人族の平均よりも極端に短くなる。

それに妊娠出産でも寿命が減る場合もある。


妖精としての存在のまま伴侶と二人で生きるか、

伴侶との子供を得るために人間の肉体と魂を得て、短い時間を生きるか。


セオドアは皇太子で、子供は必ず必要。

そう考えたレイアは後者を選んだ。


そしてレイアはこの事を隠したまま、セオドアと結婚して皇妃となり、翌年ハーレイを産んだ。



※妊娠出産で変化する寿命


妊娠出産が人それぞれなのは他種族とかわりません。

なので、人化した妖精の場合、相手の魔力との相性や夫婦の魔力量、赤子が親から引き継いだ魔力等、様々な要因で、妊娠出産後の寿命がほぼ変わらない者もいれば、がっつり減る者もいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ