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番の瞳  作者: 言葉
第一章:出逢い
53/641

53.兄からの手紙

『シェリルへ


手紙は無事受け取ったよ。

お前が居なくなってしまって、本当に心配していた。

探し出して助けてやれなくてすまない。


自分に関する記憶がないという事だが、シャウゼンに帰ってきてはだめだ。


お前はずっと、城の塔に幽閉されていた。

あの日、お前は落雷で崩れた塔から抜け出した。

そしてアリシアから刺客を差し向けられた。

それから逃げるために魔の森を抜けて精霊の湖に辿り着いて、湖に落ちたのだと思う。


アリシアが今もお前の事を探している。

今の所は国内を探し回っているが、リンデンバウムに追手を差し向けるのも時間の問題だろう。

私は今、陛下の代理で政務を行っている為、直ぐには動けない。

私が行くまで、レオナルドか、お前の番に匿って貰って欲しい。

早ければレオナルドの誕生祭の3日前にはクラウド領に着ける予定だが、誕生祭当日はアリシアとアリアもリンデンバウムに行くはずだ。

それについてはそちらに行ったら話す。


シェリル、お前が番と出逢えたことを心より祝福しているよ。


お前とお前の番に会えるのを楽しみにしている。


ハーレイ』


お兄様からの手紙は、字が走り書きに近くて、急いで書いたのであろう事が見て取れた。

顔も思い出せないお兄様が、私を思ってくれているのが手紙から伝わって、少し泣きそうになった。


私の隣に移動して一緒に手紙を読んでいたセシル様が、私の肩を抱き寄せる。


「シェリー、大丈夫?」


「どう、でしょう・・・わかりません。お兄様が私を心配してくれている嬉しさと、皇妃様への恐怖が半々といった所でしょうか。それにしても、私、やっぱり塔に居たんですね」


「ああ・・・幽閉したのは皇帝なのか皇妃なのか分からないけど、どちらにしても許さない」


いつもよりも低い声音のセシル様は、私の手の中にある手紙を見つめていた。

その視線が鋭く、思わず息を飲む。

同時に、ぶわりと胸に広がった悔しさのようなものに、唇をぎゅっと噛んでしまう。

これは無くした記憶に繋がる感情なのだろうか。


「シェリーは何があっても守るから」


いつの間にか手紙から私に視線を戻していたセシル様の声音が、いつもと同じ優しさと強さを纏って私を包んだ。


「はい、信じております」


でも、だけど。


「・・・でも?」


「え?」


思わず声に出ていたのかと驚きの声を上げて彼を見上げると、困ったように眉を下げ、苦笑いのセシル様がいた。


「何か迷ってるでしょ?顔見ればわかるよ」


本当に、この人には敵わない。

今では私よりも私の感情を理解しているのではないだろうか。


「夢で私、自分を追ってくる魔物と戦ってたって話しましたよね」


先程感じた悔しさ。

自分自身の感情なのにも関わらず、それが何に対してなのか、記憶の無い私にはそれすら明確にはわからない。

だから、せめて。

足手まといにならないように、自分の身くらいは守れるように魔法の使い方を取り戻したいと思った。

できれば後ろで守られるだけではなくて、隣で戦えるように。

そしていざとなったら私が誰かを、セシル様を守れるように。


「ああ、なるほど・・・君らしい。シェリーが望むのなら私が教えるよ」


「本当ですか?」


「シェリーが使うのが魔術だった場合は以前覚えた魔術を取り戻すのは手伝えないけど、多分魔法だと思うんだよね。それなら教えれる。一応私は学院では首席だったんだよ」


そういえばシャウゼンはリンデンバウムと違い、魔術に特化していると、レイさんが言っていた。


魔術というのは、自分の魔力を使って魔法陣を発現させ、そこに周囲の魔素を取り込んで発動する。

魔法陣は発動する魔術によってサイズや細さが変わり、それによって消費魔力が変わる。

その分、発動時に魔素を使って補うわけだが、その際に取り込む魔素量の調整が必要になる。

この調整が難しい。


対して魔法は、体内で術式を完成させた状態で手や杖などから繰り出す為、魔法陣を発現させるというステップを飛ばすことが出来る。

ただ、体内魔力に依存している為、魔力の器が極端に小さいと生活魔法くらいしか使えない。


ついでに精霊魔法はまた別の魔法形態で、

精霊そのものを召喚、あるいは精霊の力を自身や味方、無機物(魔法具とか)に宿すことが出来る。

この際、使うのは魔力だけではなく、大気に溢れている精霊の力を1度体に取り込んで、魔力と混ぜて使う。


保護した時の私の魔力が枯渇スレスレだったという事から、おそらく私が普段使っていたのは魔術ではなく、魔力消費の多い魔法だと考えたのだろう。


「・・・セシル様って、弱点何も無いんじゃないですか」


色々な事が欠けてる私には勿体ないと、少しへこんでしまう。


「あるよ?私の弱点は君だよ。もしシェリーがシャウゼンに攫われたりしたら、帝国に大魔法を撃ち込む自信がある」


冗談かと思って見つめた瞳は、本気を宿している。


「絶対攫われないようにします!」


「うん、そうして」


そう言ったセシルは満足気に笑った。



分岐をどちらに進むか悩んでたら

ストックがなくなってきました・・・

毎日更新がんばります

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