46.方針
朝食を用意されていたのは、昨日夕食を食べた部屋で、
そこには王妃とオリビアが座っていた。
セシルとシェリーが挨拶をして席に座ったところで、
レオナルドも来て、席に着いた。
朝食を食べながら軽い世間話をした後、
お茶を飲みながら今日のスケジュールを聞く。
「母上と私は執務があるから、午後には抜けないといけないんだよ。レイがもう少ししたら来るから、そうしたら昨日の続きを話そう」
「わかった。レイが来てからだが、レイア様の事でシェリーから・・・」
セシルの言葉の途中で、外にいた侍女がイースレイの訪問を告げた。
「皆様おはようございます」
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レイが昨日と同じ席に着き、侍女がお茶とコーヒーを入れ直して出ていくと、王妃様が口を開いた。
「揃ったわね、では始めましよう。セシル、何か言いかけていたわね?」
「はい、レイア様の事でシェリーから話があります」
セシルがシェリーに頷いて話をするよう促した。
「昨日、私が眠りについてから、お母様に会いました」
「「「「へ?」」」」
セシル以外の素っ頓狂な声が揃った。
「あ、会ったというか、正確には、お母様が作った空間に、私の意識が呼ばれました。伝えなければいけないことがあると」
「空間に意識っ!?」
シェリーの言葉に真っ先に食いついたのはレイ。
長い前髪の奥で藍色の目が爛々と輝いている。
「レイ、それはひとまず置いておこうな?それで、シェリー嬢、伝えなければいけないこととは?」
「はい、シャウゼンの皇帝セオドアには会ってはダメだと。そして、ハーレイお兄様に会うように言われました」
「理由は何か言っていたかしら?」
オリビアが尋ねる。
「お母様は、私の魂を皇帝から守るためにプロテクトをかけていたそうです。そのプロテクトはセシル様と番の魂の繋がりが出来た事で解除されて、今の私の魂は、プロテクトの代わりに魂の繋がりによって護られている状態なんだそうです。この繋がりはとても強いものだけど、ノイラートの魔術師はこの繋がりを無視して、私の魂を使った力の行使をさせる事が出来る可能性があるから、皇帝には会ってはダメと言われました」
「やはりそうなのですね」
そう言ったのはレイだった。
「レイが昨日懸念していたのはこれか?」
「はい。魂の繋がりが持てないと言っていたお2人が昨日突然繋がりを持てましたよね?それで、僕はなにかの魔法か魔術でシェリー嬢の魂が護られていたのでは?という推測をたてたのです。シェリー嬢の記憶から考えると、皇帝はシェリー嬢の魂を護る側の人間ではない気がしたので、昨日危険ではないかと進言しました」
「レイさん、凄いのですね」
シェリーが尊敬の目でイースレイを見た。
「いやいや、はは、は・・・セシル君、目が怖いです」
どうやらレイに嫉妬してしまったらしい。
レオと母上が肩をゆらして笑いを堪えている。
「コホン、それで、ハーレイ殿下に会うように言われたのね?」
「はい。お母様からお兄様の魔力の粒子を頂きました。その魔力を辿って連絡を取り、なんとしても会いなさいと言われました。お兄様には全て話してあるそうです」
「レオナルド、あなたハーレイ殿下と親交あるわよね?」
「ええ。よくアリアの愚痴を聞いてもらってますよ」
レオナルドの言葉に、空気がピシリと固まる。
シェリーがとなりのセシルに小声で尋ねた。
「セシル様、アリア様とは・・・?」
「シェリーの異母妹だよ。レオの婚約者」
「え!?・・・あ、すみません、驚いてしまって」
シェリーはわざわざ小声で聞いたのに、驚きで声を上げてしまった。
「シェリー嬢はアリアの記憶もないんだよね。無い方が幸せだと思うよ・・・」
そう呟くレオナルドがいたたまれない。
「まぁそれは置いておいて、そういうことならハリーにすぐ連絡を取ろう。私からでもいいが、シェリー嬢、どうする?」
シェリーは指を顎に当て、少し考えるように顔を伏せた。




