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番の瞳  作者: 言葉
第一章:出逢い
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45.愛が先か

夜、セシルはシェリーの穏やかな寝顔を見ながら、

シェリーに出逢った日から、今日魂の繋がりを得るまでの事を考えていた。


日数にすると、2週間にも満たない。

自分はずっと唯一の番を探していたのに、

あの日彼女に一目惚れしてしまった。

その日から彼女と時間を共にする度、

彼女に対する想いが日に日に強くなった。

この想いを口にして、もし結ばれたとしても

その先の未来で番に出会ってしまったら・・・?

最初の1週間はそんな不安に襲われていた。

その彼女が、自分の番だとわかった時の喜び。

番だから愛したのではなく、愛した人が番だった。

たとえ番だから魂で愛してしまったのだとしても、

自覚する前に彼女を愛せて良かった。


目の前で眠る彼女の柔らかい髪を撫でると、

気持ちいいのか彼女の口が少し笑顔になった。


少しづつ、部屋に日が差して、夜が明けた。

いつもなら悪夢を見る時間だが、シェリーは規則正しい呼吸で眠っている。


「良かった・・・」


安心出来た私は、彼女の髪に唇を落とすと

隣の部屋に戻ってようやく眠った。


-----------------------------


翌朝目覚めると、いつもと違う天井に気付いた。

あぁ、そうか。城に泊まったんだった。


体を起こすと、いつもより体が軽い。

数時間だけとはいえ、久々にきちんと眠れたらしい。


軽く湯浴みをして、シェリーの部屋に向かう。

ノックすると、クロエがドアを開けた。


「おはようございます、セシル様。調度お嬢様のお支度が終わったところですよ〜」


「ああ、おはよう」


部屋に入ると、そこにはいつもと違うシェリーがいた。

ああ、これが妖精か、と思ってしまう程可愛い。


「セシル様、おはようございます。・・・セシル様?」


「あ、ああ、おはよう・・・」


クロエがパタパタとシェリーの隣に行き、何か耳打している。


「お嬢様が可愛すぎて固まってます。大成功です。ではクロエは少し下がっておりますので!ふふふ」


耳打ちなのに、しっかり聞こえて恥ずかしくなった。

クロエは多分わざとやっている。


頬を赤らめて「え?クロエ?」と、

慌てているシェリーの前まで歩を進めて、その手を取る。


「シェリー」


「は、はい」


「可愛い」


「あ、ありがとう、ございます」


さらに赤くなって、さらに可愛い。

私は無意識にシェリーを抱き締めていた。


「どうしよう。誰にも見せたくない・・・」


「あの、セシル様?」


「あ・・・ごめん、あまりにも可愛くて」


「何度も言われると恥ずかしいです・・・けど嬉しいです」


そう言って腕の中で頬を赤らめて微笑む。


「実は私はシェリーに会うまで、女性に対して可愛いとか思った事、1度もなかったんだ」


シェリーが大きな瞳をさらに大きくした。


「え?1度も・・・ですか?」


「うん。1度も」


「そ、それは・・・珍しいのでは・・・」


「レオにも言われたよ。女性に興味無さすぎて心配だって。友人とかから、あの令嬢は美人だとか、この令嬢は可愛いとか色々聞いても、全然美人とも可愛いとも思えなかったし、もし番を見つけても、自分のそういう感覚的な部分は変わらないんじゃないかとも思ってた。でも実際シェリーだけは、出逢った時から可愛いくてしかたない」


「確かにセシル様は、出逢った当初はそういう事は言わなそうな感じでしたね。・・・今では毎日言ってくれますけど」


シェリーが照れながらも笑う。


「ははっ、私も自分自身の変化に驚いてるよ」


そこにクロエの声がした。


「セシル様、お嬢様、イチャイチャしてるところすみませんが、朝食のご用意ができました!」


「あっ、クロエ、これは、その」


「ふふふ、クロエはもう少しそっとしておきたかったのですが、王妃様もお待ちなので!」


「クロエ、あんまりからかわないで・・・恥ずかしいから」


シェリーが赤くなった頬をふくらませている。

また抱き締めようとしたら、クロエに催促された。


「はぁ、仕方ないな。いこうか」


赤いままのシェリーを連れて、渋々朝食に向かった。



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