39.それはまるで眠姫のお伽噺
一方、シェリーがようやくセシルの腕から解放された頃。
レオナルドとイースレイは、昼間セシル達と来たばかりの禁書保管庫に来ていた。
妖精についての記録を探すためだ。
探しながら、二人のことを考えてしまう。
「セシル達、遅いな・・・」
「そうですね・・・」
「ようやく見つかったというのに・・・くそっ残酷過ぎないか?」
「ええ、本当に」
そこに、外から声がする。
「殿下、セシル様がお呼びです」
「わかった!すぐ行く!」
禁書保管庫の扉は分厚いため、少し大声で返す。
レオナルドが立ち上がると、イースレイが読み漁っていた禁書を、せっせと棚に戻した。
そこにまた声がする。
「殿下、ちょうど王妃様とオリビア様もお話を終えられたようです」
「ああ、わかった!」
禁書をしまい終えたレイと禁書保管庫を出ると、
侍従が待っていた。
「王妃様が、もう遅い時間ですので皆様で夕食をとの事です。ご案内致します」
言われて外を見れば、既に夜だった。
19時を過ぎた頃だろうか。
「そうか、では頼む」
そんなレオナルドの後ろをレイがとぼとぼと歩きながら
「王妃様とオリビア様の前で食事なんて・・・喉通るかなぁ・・・」と呟いていた。
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案内された部屋には、
8人くらいが座れる丸いテーブルが用意されていた。
私とレイが部屋に入ると、母上とオリビア夫人が先に来ていた。
「母上、クラウド夫人、お待たせして申し訳ありません」
「わたくしたちも今来たところよ。あら、イースレイも来てくれたのね」
「あらほんと、お久しぶりだわ!」
二人ににっこり笑いかけられたレイは、
少し顔を赤くして慌てて礼をした。
「王妃様、クラウド公爵夫人、お久しぶりでごさいます」
挨拶を交わして椅子に座ると、オリビア夫人がレイに頭を下げた。
「イースレイ、今日は息子たちの為にありがとう」
オリビア夫人に言われたレイは、いいえ!そんな!とひどく慌てていて、もしや年上好きなのか?と眺めていると
侍従がセシル達の来訪を告げた。
「お待たせして申し訳ありません」
軽く頭を下げた二人は、なんとなくスッキリしたような顔をしていた。
二人にも席に着くよう勧める。
「・・・あら?」
オリビア夫人がセシルとシェリー嬢を見ながら首を傾げた。
「オリビア、どうかしたの?」
母上の言葉に答えたのは、少し驚いた顔のレイだった。
「お二人の瞳の色が変わってる」
言われて見てみると、離れているのに瞳は深緑だった。
訳を聞こうと口を開きかけると、セシルがふっと表情を綻ばせた。
こいつのこんな顔、初めて見る。
「シェリーとの魂の繋がりが出来たんだ」
「本当に!?ああ、良かった!ほんとに!」
オリビア夫人が思わず隣の席のシェリー嬢の手を握って、その瞳を潤ませた。
「ありがとうございます、奥様」
ぶんぶんと繋いだ手を振りながら 良かった と繰り返すオリビア夫人に、
シェリー嬢が照れ笑いで答えている。
「セシル、良かったな。でもなんでだ?この短時間に何があったんだ」
「あー、それは・・・」
言い淀むセシルからシェリー嬢に視線を移すと
シェリー嬢の顔が少し赤い。
「わたくし、わかってしまったかも」
と母上が揶揄いを含んだ声で呟いた。
「母上、なんです?」
「眠姫のお伽噺と同じなのではないかしら?」
眠姫。
呪いで眠らされてしまった姫に、
姫を愛する王子が口付けをして目覚める話。
ああ、
「「なるほど」」
レイとハモってしまった。
シェリー嬢を見ると、あからさまに赤い。
「我が息子ながらやるわねぇ・・・」
オリビア夫人は満足そうに二人を見ていた。
「さぁ、夕食をいただきましょ。話はその後に」
母上の言葉で給仕が食事を並べ始め、
皆で和やかに食事を始めた。
今日あと何話かアップできるようにしたい。




