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番の瞳  作者: 言葉
第一章:出逢い
35/641

35.妖精

「妖精!?実在してたのか…?」


レオが私が抱いた疑問と同じ言葉を叫んだ。

この時代でいう妖精は、神話やお伽噺にしか出てこない。


「この試薬が載っていた書物は古の時代のものなのですが、そこに人と妖精の子で男性の場合は『透明がやがて闇になる』女性の場合は『闇がやがて透明になる』と載っていました。なので少なくとも古の時代には実在し、実際にこの試薬を使ったことがあるのだと思います」


確かに、色が変わる様などは実際に見なければ書けない。


「シェリーが…妖精の血をひいてると?」


シェリーが妖精の血を引くのなら、

レイア皇妃は妖精ということか?

そして息子のハーレイ皇子もという事になる。

妖精と人との子供なんて予想外すぎて頭が混乱してきた。

妖精にも…番はあるのだろうか…。


「はい、シェリー嬢は人と妖精の御子だと思われます」


私の頭にひとつ気になる事が浮かんだ。


「なぁレイ、人と妖精の子の寿命はどれくらいかわかる?」


神話やお伽噺での妖精には寿命はなかったはず。

だから現実でも…いや、短命でさえなければいい。


「…あくまで僕が得た知識によるものですが、純粋な妖精はほぼ不死に近いとされています。しかし、人間と妖精の子として生まれた場合、男性はさほど能力を引き継げず…と言っても人族よりはかなり優秀ですが、対して女性はほぼ全ての能力を引き継ぐそうです。そして男性も女性も肉体は人間で生まれ、不死にはならないそうです…が、男性は能力は低い代わりに寿命は普通の人間と同等、女性は…あまり長くないそうです…」


レイから途切れ途切れに聞かされた言葉に目眩がした。

微かに揺れるシェリーを支え、

聞かなければならない事を聞く。


「どれくらい…だ」


「おそらくですが、女性の場合、人間の肉体を器にして妖精が入っているような状態で、バランスが取れていない。そのせいで器である肉体が力に耐えきれず、もたないのだと思います…。見たところ、シェリー嬢の魔力の器も相当な大きさの様ですから、かなり強く妖精の力を引き継いでいると思われます。なので…今の予想できるシェリー嬢の年齢から考えますと、早ければ18、遅くとも…20歳くらい、だと思います…」


シェリーがひゅっと息を飲む音がする。

私はさらに目眩が酷くなって視界が歪む。


「肉体が…持たないという事は…番の儀式をしても…っ」


「はい…多少は伸びるかとは思いますが、おそらく儀式後持っても半年~1年、くらい…かと」


番の誓いを交わせても、肉体がもたなければ意味が無い。


シェリル皇女は今17歳のはず…。


儀式をしても、早ければあと1年でシェリーを失ってしまうのか…?

いや、そもそも今のままでは、儀式すら上手くいくか分からない。


やっと、見つけたのに。

やっと、逢えたのに…。


目眩でガンガンする頭をおさえて、レオとレイに 「シェリーと話したいからしばらく二人にして欲しい」と言うと


「わかった。本来は良くないが、扉もしめていく。終わったら侍従に伝えてくれ」


と、扉を閉めてくれた。


そして応接室にはシェリーと二人だけになった。



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