33.上手くいく可能性は如何程か
私は赤くなって固まっているシェリーの肩を抱いたまま、前を向かずにレイに話を続けた。
「レイは番の魔力について研究してるから、番については詳しいよね?」
「え、ええ、番についてはかなり学びましたよ!」
「シェリー、恥ずかしいだろうけど、ちょっと顔上げて?」
「え、あ・・・ちょっ、と、無理です・・・」
「一瞬だけ瞳を見せてくれたらいいから、ね?」
私の言葉の意味に気付いたシェリーが
そろそろと真っ赤な顔を上げた。
私も同時に前を向く。
「?・・・お、ぉぉおおおおお!それが番の・・・!」
「ん?あ!本当だ、変わってる。そうか、ただイチャつきたかったわけではなかったんだな」
「僕も単にセシル君は意外と溺愛するタイプなんだなーと思いましたよ!」
「それは、まぁ、否定はしないけど。今見せたように、何故か私達は触れないと瞳が変わらないんだ」
「せ、セシル様・・・否定しないんですか・・・うぅ」
シェリーの首から上が真っ赤だ。
離れてあげたいけど、離れたくない。
「ん?もう少し我慢してね」
「セシルお前、イチャつきたいだけで瞳見せる方がついでだろ」
「まぁまぁ殿下いいじゃないですか。普段表情筋が仕事放棄してるセシル君のこんな嬉しそうな顔、滅多に見れるもんじゃないですよ!それにしても、言われてみれば触れるまではいつも通りでしたね。本来であればお互いが認識できる空間にいる間は離れてても変わってるはずなのに」
「人間嫌いで愛想笑いもしないレイに言われたくないよ。それで、瞳もだけど、魂の繋がりも曖昧なんだ」
「それは・・・かなりレアケースですね・・・番と気付けたことに驚きです」
「今の私達が誓いの儀式をして、上手くいく可能性は低いと思わないか?」
「うーん、たしかに。僕も、おそらく上手くいかないと思います」
「そう・・・なのですね」
そう言ってシェリーが俯いてしまった。
彼女が私と番の誓いを立てれないことに悲しんでくれているのが痛いほど伝わってきて
少し肩に触れた手に力が入ってしまった。
それに気づいたシェリーが、私の顔を覗き込んでくる。
その深緑の瞳は不安をまざまざと表していた。
私は安心させるように微笑みかけて、レイの方を見た。
「レイ、おそらくシェリーは亜人なんだ。だから早く弊害から解放してあげたい。その為に力を貸してほしい」
「なんと、亜人なのですか!?あ、勿論、僕に出来ることならなんでもお手伝いしますよ!」
「ありがとう、レイ」
「イースレイ様、ありがとうございます!」
私とシェリーは頭を下げた。
「わわわ、頭を上げてくださいよ!あとシェリー嬢、僕のことはレイでいいですよ!」
「おっ、さすがシェリー嬢だな。早くもレイに気に入られた」
「え?」
レオの言葉にシェリーの頭にハテナが浮かんでいる。
その顔が可愛くて少し笑ってしまう。
そんな彼女の耳に小声で
「レイは本当に気に入った人にしかレイって呼ばせないんだよ」
と囁くと、嬉しそうに微笑んでから
「ありがとうございます、レイ様。よろしくお願いします」
と、レイに再度頭を下げた。
それから暫くの時間、シェリーの夢の話や
先程調べた内容を、レイに話して聞かせた。




