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番の瞳  作者: 言葉
第八章:望む未来への道程
307/641

307.奪われたサウル③


「殿下、お待たせして申し訳ありませぬ」


ドカドカと足音を立てて駆け込んできたのは、アデルに呼びに行かせた団長のミカエルだった。

貴族には少ない少し焼けた肌に、髪は帝国貴族に多い金と茶の間のような金髪で、緩いウェーブの背中までの髪。

それを纏める紐は瞳と同じ、藍色。

藍色と言ってもハーレイのとは違い、少し青みが強く、目も鋭い。

顔は柔らかそうな髪と違って野性味があった。


「よい。ミカエル、逃亡者を見たものはいたか?」


「いえ、私もすぐに水晶で周囲を確認致しましたが、おりませんでした。外にいた見張りの団員にも、見た者はおりませんでした」


相変わらずの仕事の速さに、ハーレイが大きく頷きを返した。


「ミカエル、今リュウイの結界でこの部屋の崩壊を防いでいる。ラングストンと共にすぐに修復を。天井から崩れるかもしれん」


ハーレイがそう言いながら、穴から天井の中ほどまでに走った大きめの亀裂を指さした。

床には天井にあったはずの少し質素なシャンデリアが砕け散っている。


副団長や団員達と共に、ミカエルがその亀裂にゴクリと息を飲んだ。

結界を解いた瞬間、4階の床が抜けるであろう事実に、驚いたのだろう。


「かしこまりました、すぐに!では宰相殿と…4団副団長、これからすぐによろしいか」


「ええ、急ぎましょう」


「は、はい!」


天井と壁の修理が魔術で行える範囲かどうかの確認を行うために、ミカエルが第4団副団長と動き始める。

もし魔術では無理だと判断された場合は、建築家に頼む事になるため、そこからはラングストンの仕事となる。

ハーレイに呼ばれた魔術師団のローブを着たリュウイも現れ、彼らの話に加わった。

それを眺めていたハーレイが、何かを考える仕草をしているのに気付いたエヴァが、その隣に立った。


『殿下、副団長達までとは言いませんが、せめてミカエル殿に話して助力を乞うては如何ですか?』


『エヴァも…そう、思うか?』


『はい。今回は流石に事が大きくなり過ぎました。もしサウルを再び見つけて匿っても、同じ事が起こらないとは限りません』


今回この部屋には、ハーレイとエヴァが隠蔽も含めた結界を張っていた。

しかし部屋の存在事隠す程の隠匿をかけることが出来なかった。

あるはずの部屋が消えた違和感に、魔術知識の少ない使用人達ならば気付かないだろうが、魔術師団には気付かれる恐れがあった。

それ故、アンリエッタに見つかったのだろう。


『そうだな。修繕の話を終えたらミカエルに話そう。あと、出来るだけ早くシェリルにサウルの事を知らせねば』


強い覚悟のような光を灯したハーレイの瞳に、エヴァが視線で同意を示すと、ハーレイは追加の指示をいくつか出し、執務室へと戻った。


登場人物の名前、ネタ切れです!

ミカエルは今後も出て来るのでつけました。

本名はミカエル・ゾエです。

魔術師団のそれぞれの団には副団長までしかおらず、団長はいません。

副団長達の名前は、出る回数が増えたらつけるかも…。

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