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番の瞳  作者: 言葉
第一章:出逢い
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24.記憶の夢②


魔法使いは長い髭を撫でながら答える。


「番と言うのは古の聖獣と呼ばれる龍族、獣人や魔人やエルフのような人と人ではない何かが混じって生まれた者が、生涯を共にする相手の事をいいますじゃ。そして将来姫様は何者かと番になるという事のようですな」


「あぁ、書物で読んだ気はするな…続けよ」


「シャウゼンは亜人は少ないですからな。有名なのは隣国の王家の始祖様の話などですな。番というのは魂の繋がり。それは互いに認識した瞬間に分かるようですじゃ。しかしあの力は魂を削るもの。その魂は力を使う程完全では無くなる…ですので番と出会っても認識は出来ず、番の誓いを持てぬという事やもしれませんな」


魂を削る…?

そのせいでわたしはセシル様と繋がりを感じれないということ?


「しかし娘には力を使ってもらわねば困る。番を認識出来なくなる事が娘になにか害があるのか?」


「人族以外がその番と出会えない場合、殆どが短命とされておりますじゃ。姫様が純粋に人族であればさほど気にせずとも問題はないのですが…あのお方のお子ですし…」


「…あぁ、なるほど、な」


娘?この男性はわたしのお父様?

あのお方というのはわたしのお母様?

そして私は…人間ではない?


考え込んでいた お父様と思われる男性がゆっくり口を開く。


「短命とは、どれくらいだ」


「寿命の平均値は種族によって変わります故、一概には言えませぬ。が、姫様の持って産まれた魔力量と今の魔力量の増加速度から考えますと…早くて15、遅くて…20歳くらいやもしれませぬ。肉体の強度と今後増える魔力量によりますじゃ」


そんな…私は今いくつなの…?


「そんなにすぐなのか?しかし彼女はもう…」



そこでフッと場面が切り替わった。


いつもの森…のようだけれど少し様子が違う。

木々が生い茂って影を落としているからか夜の様にも感じるけれど、周りをよく見ると所々陽がさしている。


夢の中のわたしは迷う素振りもなく歩いていて、頭の周りに小さな光の玉が3つ浮かんでいる。

その光は明りのための魔法にしては小さいし、そもそも暗いとはいえ昼間なので、明りは必要ないような?と疑問に感じながら私は夢の中のわたしを眺めた。

わたしがそのまま歩いていると、突然景色に色が付いた様な感覚と共に視線の先に湖が現れた。

先程まで湖なんて見えなかった気がするが、画面が切り替わった感じはないし、夢の中のわたしも気にする素振りもなく湖に向かっており、やがて辿り着いた。


わたしはその湖のすぐ側に座り込んだ。

薄らと光って神秘的な水面から、わたしの周りに浮いているのと似た、柔らかな蛍のような光がポワポワと浮き出て、何かの形を作っていく。

それは蝶であったり、小鳥であったり。

それらは座ったままのわたしの周りに集まると、元々浮いていた3つの光と共に肩や膝、頭の上に止まり、何か暖かな何か…魔力?をわたしの中に注ぎ込んだ。

いえ、魔力かと思ったけど、魔力より暖かい気がする。

わたしに集まっていた3つの光以外が、纏っていた光をほぼ失い、また湖の中へと戻って行った。

わたしは立ち上がり、湖に頭を下げる。

「ありがとう」

そして最初より明かりの強くなった3つの光と共に、来た道をまた戻って行った。


そこでまたフッと切り替わり、

昼間の森が夜の帷に覆われている。

そこに浮かぶ赤い瞳。

その赤い瞳は暗闇に何十個も浮かんでいる。

でも夢の中のわたしは怯えていない。


ただ、またか、という落胆のような感情。


わたしは逃げず、魔力を練り上げていた。

一つ一つ、迫る瞳を消していく。


森に火が回らないように、土魔法で足止めし

氷魔法でトドメをさし、視界の外から迫る瞳の頭を

風魔法で切り落とす。


これは、黒い影のような霧のような…狼…?

首が転がったそれは、霧散して消えた。


半刻ほどそれを繰り返したわたしは

もう迫り来るそれが居ないのを確認し、

疲れと安堵でその場に崩れた。


そこでまた夢が切り替わる。


いつもの悪夢だった。


そしていつもの様に、わたしは逃げだし―――


わたしをすくい上げる声で目をさました。


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