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番の瞳  作者: 言葉
第一章:出逢い
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16.若草色


「さて、ではセシル。見せてくれるかい?」


クラウド公爵はニコニコしながらセシル様を見た。

彼は公爵様のその視線に、バツの悪そうな顔で わかりました と答えると、座ったまま上半身だけシェリーに向ける。


「シェリー、手を」


その様子で、瞳の事かと納得したシェリーは、おずおずと、セシル様の差し出した手に、そっと触れた。


するとセシル様の瞳が、出逢った頃よりも早いスピードで深緑に染まっていく。


その様子をまじまじと見た公爵様は、


「ほぉ、確かに深緑だ。凄いな」


と感嘆の声で眺めている。

セシル様は恥ずかしそうに、公爵様から顔を逸らし、シェリーの方を向き、その瞳を見て


「あ・・・」


と、小さく声をあげた。

その顔は少し赤い。


「?どうかされましたか?」


シェリーが問うと、


「いや、君の目も染まっているから」


そう言って少し恥ずかしげに微笑んだ。


それを見た夫人と公爵は、


「あら、ほんと!もうほとんど深緑ね。それにしても、空色も綺麗だけど、深緑も似合うわ〜ふふふ」


「ほぉ〜、手紙にはセシルだけ早とちりに色が変わるみたいな事が書いてあったが、ようやくセシルの思いが通じたのかな?良かったな、セシル。はっはっは」


と、夫婦で愉しそうに笑っている。

それに対するセシル様は、


「は、早とちりとはなんですか!母上、父上になんて説明したんですか!他に変な事を言ってないでしょうね!?」


と、耳まで赤くして反論している。


その親子の後ろにいるシェリーは、

茹でダコの様に真っ赤になったまま、固まっていた。



-----------------------------


シェリーを部屋へ案内するという息子と別れ、

公爵夫妻は二階にある執務室に移動した。


「それでどうだい?オリビア。シェリー嬢の家の見当はついているのかい?」


すぐに本題にはいったジェフに、オリビアは少し難しい顔で答えた。


「一応シャウゼンにいる密偵にも、行方不明の令嬢の噂を探らせているけど、今の所はそういった噂は無いみたい。私の方でもシャウゼンの貴族名簿で、例のイニシャルの付く令嬢を探してみたけど、多すぎてダメだったわ。だから、髪色と瞳の色で調べようと思っているところよ」


シェリーの年齢がはっきりと分かれば、貴族名簿に載る令嬢から絞りようもあるのだが、記憶喪失になったのに、都合よく年齢だけ覚えているわけも無い。


「そうか・・・少し時間がかかりそうだな。それにしてもあの髪の色、どこかで見たような気がするんだが・・・」


記憶を辿っている夫を眺めながら、オリビアはシェリーの夢に出てきたという母親らしき女性を思い出した。


「そういえば、例の記憶っぽい夢の中で、シェリーちゃんが幼い頃の夢を見たらしいんだけど、若草色の髪の女性と歩いていたって言ってたわ。それを聞いて髪色から調べようと思ったのよ」


今の所見つからないんだけど。とため息を付きながらオリビアは紅茶のカップに手をかけた。


それを聞いたジェフは、バッとソファーから立ち上がった。

どうしたのかとオリビアが夫を見上げると、少し青い顔の夫は、まさか、とか、いやでも、となにやらブツブツと呟いている。


「あなた、どうしたの?誰か思い当たる人でもいた?」


オリビアに問われたジェフはドサッとソファーに座り直すと、何度か口を開いては閉じ、を繰り返したが、諦めたように口を開いた。


この後少し動きます。

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