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番の瞳  作者: 言葉
第一章:出逢い
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15.王都へ

それから2日後、オリビアとセシル、シェリーは

クラウド公爵領から馬車で3時間の王都に向かっていた。


療養中のオリビアは領地に残るものと思っていたのだが、『シェリーちゃんが来てからなぜか体調がいいの』と、一緒に王都に帰ると言い張った。

同行していた医師からも、前回診察した時よりかなり状態が良いとの診断を受けた為、今回一緒に戻る事にした。


この2日間、シェリーの悪夢は一日一度に減っていた。

それまでほとんどは夜中と夜明け前の2度だったのだが、悪夢が始まる前に記憶を夢で見るようになり、悪夢で目覚めるのが夜明け前のみになっていた。


夢の中の記憶は、相変わらず石造りの塔の中ような場所でのものと、幼いシェリーが麦畑の広がる長閑な景色を、シェリーと同じ若草色の髪の女性と歩いている夢。

夢の女性はシェリーの母で、麦畑の場所はシェリーの家の領地かもしれないと、セシル様は言っていた。



馬車の中では、リンデンバウムについてや、前に約束していた魔力の抑え方などを、夫人とセシル様から教わっていたので、3時間はあっという間だった。


王都に着くと、クラウド公爵の邸に向かった。

領地の邸よりは小さいと聞いていたけど、十分大きな邸だった。

邸に入ると、クラウド公爵が待ち構えていた。

セシル様から事前に、『母上と父上は恋愛結婚で、今でもかなり仲がいい』と聞いていたが、

玄関ホールで夫人を抱きしめるクラウド公爵をみて、なるほどと納得したシェリーだった。


そのまま玄関ホールで、ひとしきり奥様の体調を気遣った公爵は、執事さんと思わしき初老の男性に、旦那様、と声を掛けられ、ようやくセシル様とシェリーに気付き、慌ててリビングへと招き入れたのだった。


見るからに高級そうだが、どこか落ち着く家具や装飾が並ぶリビングは、温かみのある部屋だった。


「いや、さっきは恥ずかしい所を見せてしまったね。私はクラウド公爵の当主でジェフ・クラウドだ。オリビアからの手紙で、君のことは聞いているよ。シェリー嬢、よく来てくれた」


そう名乗ったクラウド公爵は、セシル様と同じ漆黒の髪に、ブラウンの瞳の美丈夫だった。


「初めまして、シェリーと申します。公爵夫人とセシル様には大変お世話になり、感謝しております」


シェリーはそう言って、綺麗なカーテシーをした。


その様子を見た3人の目は、驚いているようだった。

シェリーは慌てて、


「・・・あの?すみません、私何か粗相を・・・」


と、挨拶し直すべきかとワタワタしてしまった。

そんなシェリーに夫人が、


「いえ、違うのよ!シェリーちゃんがあまりに綺麗なカーテシーをしてくれたから、驚いちゃったの。領地で誰かに習った?私、教えてないでしょ?」


それを聞いて、部屋に居た全員が うんうん と頷いている。


「いえ、誰にも教わっては・・・あれ?何で出来たんでしょう・・・あれ?」


シェリーは自分が何故カーテシーを出来たのか分からず、あれ?あれ?と繰り返し呟いてしまった。


そこでクラウド公爵が、


「これは、確かに高貴な貴族令嬢の線が濃厚だな。オリビアが手紙で言っていた魔力量もかなりだ。急ぎ、シェリー嬢の御家族を探そう」


その言葉にセシル様が、父上よろしくお願いいたします、とクラウド公爵に頭を下げたので、シェリーも慌ててお願いいたしますと頭を下げた。


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