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番の瞳  作者: 言葉
第一章:出逢い
13/641

13.告白

3/11 ちょっと書き間違えに気づいて修正しました。

昨日まで、食事は客間で取っていたシェリーは

歩いてもふらつかなくなってきた事もあり、

今日から広間で2人と食事をとる事になった。


公爵家の食事は、流石というかとても美味しい。

コックが気をきかせてか、2人とシェリーの食事は内容が違っていた。

夫人のオリビアが病気療養していた事もあり、

公爵家のコックは療養に向いた食事に詳しいらしい。

内容もだが、量も考えてくれていて、

シェリーは残さなくても済む事に感謝していた。


「そういえばセシル、王妃様からお返事が来たわよ」


セシルはその言葉に食事の手を止め、

夫人の次の言葉を待った。


「すぐに陛下に許可を求めてくれたみたいで、登城したら記録を見せてくれるそうよ。禁書の閲覧の許可も取ってくれたわ」


それを聞いて、セシルは夫人に感謝を述べた。

その様子を伺っていたシェリーに、セシルが説明してくれた。


「さっき、母上が王家の記録を調べるって話をしただろう?その記録は厳重に保管されているから、閲覧の許可がいるんだ。その許可を頂けるように母上に頼んでいたんだよ」


シェリーは そうなのですね、と頷きながら、夫人は王妃様と直接やり取りができるのか、と尊敬の眼差しでオリビアを眺めていた。



-----------------------------


食事が終わって、シェリーはセシル様と2人、シェリーの客間でお茶をする事になった。


シェリーとしても、セシル様からもう少し話を聞きたかったので、願ってもないお誘いだった。


クロエがシェリーの前に紅茶、セシル様の前にコーヒーを置いた後、客間から下がっていくのを確認し、

セシル様は徐にこれからの話を始めた。


「これから王都に戻って王家の記録の確認をするけど、私達のような場合の記録がある可能性は正直低い。だからもし無かった場合、獣人に聞いてみようと思う。番というのは龍だけではなくて、獣人にもあるんだ。それと同時にシェリーの事を調べるよ」


シェリーはセシル様の話にこくりと頷く。


「あ・・・龍とか獣人とか、色々現実味のない話に混乱してるよね、ごめん」


そう言って頭を下げるセシル様に、シェリーは慌てて顔を上げてくれるように頼んだ。

ようやく顔を上げたセシル様の瞳は白銀に戻っている。

朝食を食べるために握っていた手を離した後、2人の瞳は元の色に戻った。


「混乱・・・はしていますが、記憶を無くしてから不安になっていた私の心が、今は不思議と落ち着いているんです。それはきっと、セシル様が傍に居てくれているからだと思います」


そういって、顔が赤くなっているのを自覚しつつセシル様に微笑みかけた。


「シェリー・・・」


その直後、ソファーから勢いよく立ち上がったセシル様に抱きしめられる。

突然の事に頭が真っ白になり、反対に顔は熱で酷く熱い。

シェリーからゆっくりと離れたセシル様が

そのまま足元に跪き、シェリーの細い手を取ってその甲に触れるだけの口付けをした。


「ありがとうシェリー。私も君のそばはとても心が落ち着く。今は私に対してそれ以上の感情はないと思うけど、いつか・・・君の心を貰えるように努力する」


告白のようなセシル様の言葉に、シェリーは胸が熱くなった。


「せっ、セシル様、あの、一つ聞かせて頂けますか」


「う、うん?なんだろうか?」


「あの・・・セシル様が私を大切にして下さるのは、私がセシル様の番だから、ですよね?」


それを聞いたセシル様が、きょとんとしてシェリーを見つめる。

わぁ、こんな可愛い顔もする方なの。

質問したのも忘れてそんな感想が頭によぎる。


「あぁ、もしかして、私の想いは君が番だからだと思ってる?」


え?だってそうでしょう?

番とは勝手に引き合うものだと、愛しさというのも抗えないようなものだと、聞いたはず。


「違うよ。私は出逢った時の君に一目惚れしたんだ。だから、私の想いは紛うことなき君への想いだよ。もし君が・・・私の番でなくても、この想いは消せなかったと思う」


「え・・・う、そ・・・だってオリビア様には私の瞳が変わってからだと・・・」


「嘘じゃない。君は覚えてないかもしれないけど・・・君は初めて逢った湖で、私に笑いかけたんだ。あまりに綺麗で魔法にかけられたのかと思った。

母上には一目惚れなんて気恥しくて言えないよ」


少し照れたような声色で言う彼の深緑の瞳は、蕩けるほど甘い。


「私は君が好きだよ、シェリー。

だからもし記憶が戻っても・・・そばにいて欲しい」


シェリーにまだ番という自覚はない。

だから、『番だから』という彼の想いに答えられない事が苦しかった。

なぜ魂の繋がりを感じれないのかと。

でも、純粋に彼を好きになっても良いということだろうか。抑えなくても、良いのだろうか・・・。


私も、もし番ではなくても、私はきっとこの人に恋をする。

全てが深緑に染まったセシル様の瞳を見つめて、そう思った。


「セシル様、私はそばにおります。記憶が戻っても」


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