13.告白
3/11 ちょっと書き間違えに気づいて修正しました。
昨日まで、食事は客間で取っていたシェリーは
歩いてもふらつかなくなってきた事もあり、
今日から広間で2人と食事をとる事になった。
公爵家の食事は、流石というかとても美味しい。
コックが気をきかせてか、2人とシェリーの食事は内容が違っていた。
夫人のオリビアが病気療養していた事もあり、
公爵家のコックは療養に向いた食事に詳しいらしい。
内容もだが、量も考えてくれていて、
シェリーは残さなくても済む事に感謝していた。
「そういえばセシル、王妃様からお返事が来たわよ」
セシルはその言葉に食事の手を止め、
夫人の次の言葉を待った。
「すぐに陛下に許可を求めてくれたみたいで、登城したら記録を見せてくれるそうよ。禁書の閲覧の許可も取ってくれたわ」
それを聞いて、セシルは夫人に感謝を述べた。
その様子を伺っていたシェリーに、セシルが説明してくれた。
「さっき、母上が王家の記録を調べるって話をしただろう?その記録は厳重に保管されているから、閲覧の許可がいるんだ。その許可を頂けるように母上に頼んでいたんだよ」
シェリーは そうなのですね、と頷きながら、夫人は王妃様と直接やり取りができるのか、と尊敬の眼差しでオリビアを眺めていた。
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食事が終わって、シェリーはセシル様と2人、シェリーの客間でお茶をする事になった。
シェリーとしても、セシル様からもう少し話を聞きたかったので、願ってもないお誘いだった。
クロエがシェリーの前に紅茶、セシル様の前にコーヒーを置いた後、客間から下がっていくのを確認し、
セシル様は徐にこれからの話を始めた。
「これから王都に戻って王家の記録の確認をするけど、私達のような場合の記録がある可能性は正直低い。だからもし無かった場合、獣人に聞いてみようと思う。番というのは龍だけではなくて、獣人にもあるんだ。それと同時にシェリーの事を調べるよ」
シェリーはセシル様の話にこくりと頷く。
「あ・・・龍とか獣人とか、色々現実味のない話に混乱してるよね、ごめん」
そう言って頭を下げるセシル様に、シェリーは慌てて顔を上げてくれるように頼んだ。
ようやく顔を上げたセシル様の瞳は白銀に戻っている。
朝食を食べるために握っていた手を離した後、2人の瞳は元の色に戻った。
「混乱・・・はしていますが、記憶を無くしてから不安になっていた私の心が、今は不思議と落ち着いているんです。それはきっと、セシル様が傍に居てくれているからだと思います」
そういって、顔が赤くなっているのを自覚しつつセシル様に微笑みかけた。
「シェリー・・・」
その直後、ソファーから勢いよく立ち上がったセシル様に抱きしめられる。
突然の事に頭が真っ白になり、反対に顔は熱で酷く熱い。
シェリーからゆっくりと離れたセシル様が
そのまま足元に跪き、シェリーの細い手を取ってその甲に触れるだけの口付けをした。
「ありがとうシェリー。私も君のそばはとても心が落ち着く。今は私に対してそれ以上の感情はないと思うけど、いつか・・・君の心を貰えるように努力する」
告白のようなセシル様の言葉に、シェリーは胸が熱くなった。
「せっ、セシル様、あの、一つ聞かせて頂けますか」
「う、うん?なんだろうか?」
「あの・・・セシル様が私を大切にして下さるのは、私がセシル様の番だから、ですよね?」
それを聞いたセシル様が、きょとんとしてシェリーを見つめる。
わぁ、こんな可愛い顔もする方なの。
質問したのも忘れてそんな感想が頭によぎる。
「あぁ、もしかして、私の想いは君が番だからだと思ってる?」
え?だってそうでしょう?
番とは勝手に引き合うものだと、愛しさというのも抗えないようなものだと、聞いたはず。
「違うよ。私は出逢った時の君に一目惚れしたんだ。だから、私の想いは紛うことなき君への想いだよ。もし君が・・・私の番でなくても、この想いは消せなかったと思う」
「え・・・う、そ・・・だってオリビア様には私の瞳が変わってからだと・・・」
「嘘じゃない。君は覚えてないかもしれないけど・・・君は初めて逢った湖で、私に笑いかけたんだ。あまりに綺麗で魔法にかけられたのかと思った。
母上には一目惚れなんて気恥しくて言えないよ」
少し照れたような声色で言う彼の深緑の瞳は、蕩けるほど甘い。
「私は君が好きだよ、シェリー。
だからもし記憶が戻っても・・・そばにいて欲しい」
シェリーにまだ番という自覚はない。
だから、『番だから』という彼の想いに答えられない事が苦しかった。
なぜ魂の繋がりを感じれないのかと。
でも、純粋に彼を好きになっても良いということだろうか。抑えなくても、良いのだろうか・・・。
私も、もし番ではなくても、私はきっとこの人に恋をする。
全てが深緑に染まったセシル様の瞳を見つめて、そう思った。
「セシル様、私はそばにおります。記憶が戻っても」




