105.閑話:人型のノア②
閑話の続きです。
「ノア様、大変申し訳ありませんでした!」
ようやく目を覚ましたイヴに、レイアが『イヴがノアを見て気絶したから、ノアがここに運んだ』と告げると、がばっと起き上がり、ノアに深々と頭を下げた。
「いや、イヴは悪くない!悪いのは俺だから!ごめん!」
「いえ!顔を見て気絶するなんて、私ノア様にとても失礼な事を!」
「いや、突然知らない男が出てきたら、驚くのは当たり前だから!」
「いえ!知らない男性だからではなく、ノア様が美男子過ぎて気絶しただけなのです!」
「いや・・・・・・え?」
しばらくお互いに頭を下げあいながら謝罪の言葉の応酬をしていた二人が、ピタリと止まった。
「そういえばイヴ、倒れる寸前にそんな事言ってた・・・なんでだろう、褒められてるはずなのに嬉しくない・・・」
「ぷっふふふっ、もうダメ、おっかしい」
二人のやり取りに、レイアがたまらず笑いだした。
笑い続けるレイアの横に座っていたシェリルが、真剣な顔で口を開いた。
「ノアがかっこいいのも、そのノアを見て気絶しちゃったイヴも、悪くないと思うの」
レイアは笑い過ぎて流れた涙を拭いながら、真剣な顔で言うシェリルの頭を撫でる。
「そうね、シェリルの言う通りね。ノア、イヴはあまり男性に免疫が無いの。ノアはもう大丈夫だと思うけど、出来るだけ猫の姿の方がいいかもしれないわね」
「うん、こんな事なら先に見せておけば良かったよ・・・イヴ、たんこぶ出来てない?大丈夫?」
ノアがイヴの頭に手を伸ばす。
「ノア様ぁ!駄目です!そのお美しいお顔で近付かれますと、また私の意識がぁっっ!」
イヴが必死に自分の頭と顔を庇う。
「・・・なんでかな、褒め言葉のはずなのに凹むなんて初めてだ・・・」
「申し訳ありません!ノア様は悪くないのです!ただ美し過ぎるのです!」
「ぷっふふ、ふふ、ノア、もう猫に戻りなさいよ」
「猫が本体みたいに言うなよ、今の姿が元なのに」
そう言いつつも、ノアは猫の姿に変化した。
その様子を指の隙間から見ていたイヴは、ようやく庇っていた手を解くと、ホッと緊張を解いた。
「ありがとうございます、ノア様、今日も黒の毛並みが尊いです!」
「う、うん、ありがとう」
「ねえ、なぜノアはひとがた?になっていたの?」
シェリルがノアに気になっていた事を尋ねた。
「あ、うんと、ちょっと指先を使う作業をしてたんだにゃ。猫の手だと、ほら、指がほとんどないから」
シェリルの前に肉球をぱっと広げて見せるノアは、相変わらず猫の姿の時は猫語を貫くらしい。
「そっか、その長さじゃ細かい作業はできないね」
手を降ろしたノアは、イヴに振り返ると、徐に声を掛けた。
「あの、イヴ・・・その、ボク、ホットケーキがたべ」
「あぁぁ!そうでした!冷めてしまっているので、焼き直してまいります」
ソファから立ち上がったイヴは、先程の慌てようが嘘のようにきびきびとキッチンへと向かっていった。
次から本編戻ります。




