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番の瞳  作者: 言葉
第二章:レイアの過去
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102.無理難題③


「皇妃様と姫様の代わりは、アリシア様とアリア様では?」


「父上が母上の代わりにアリシアを立たせると思う?アリアも最近我儘に拍車がかかって大変らしいから、式典で大人しくしてるなんて無理だよ。そもそもあのアリシアが僕の立太子の儀でニコニコ出てくるわけがないでしょ」


ハーレイが呆れを含む声でそう言うと、小ぶりのクッキーを、口にポイッと放り込んだ。

その様子を見ながら、ラングストンは確かに、と手を顎に当てて考え出した。


「影武者を使うか、病欠、かなぁ」


「影武者・・・ですか」


「城に勤める貴族や従者にはもう母上達の事はバレてるから、影武者を使うなら、他の貴族達に話しておかないとだけどね。シェリルは今まで通り仮病で大丈夫かな」


「待って下さい、殿下、姫様の病気が仮病?」


ラングストンがハーレイの言葉に食いついた。


「ああ、そっか、知らなかったのか。仮病は父上がシェリルを必要以上に公に出さない為だよ」


「しかし・・・実際伏せっておられた時は殆ど寝ておられたのでは」


「フェルディナだよ。彼が魔術でシェリルを病気のように見せてたんだ」


ハーレイの話を聞いたラングストンは、膝の上に乗せていた手をぎゅっと握り締めた。


「・・・その事を皇妃様は」


「知っていた。僕も母上から聞いて知ったからね。母上がこっそり城に医者を呼んでシェリルを診せたけど、何も病気は無かった」


「なぜ陛下はその様な事を・・・もしや、それが」


ラングストンの言葉を遮る様に、ハーレイが彼の前に手をかざした。

ラングストンを見るハーレイの目には『それ以上は言ってはならない』と伝えているように感じた。


「・・・今回は特殊ですから、陛下と殿下のみのご出席で良いのでは」


ハーレイの意を察したラングストンが話を元に戻す。


「そうだね、時間もないし・・・苦労かけるね」


「いいえ、殿下に比べれば私など。では明日帝都で祭りを開けないか、相談して参ります」


「うん、あまり無理はしないように」


立ち上がったラングストンは、深く頭を下げると、執務室を後にした。


その後ハーレイが執務を終えて部屋を出ると、城の中には慌ただしく準備に追われる人々が、あっちこっちと小走りで歩き回っていた。


「明日の準備に大忙しのようですね。どうやら式典の後に、昨晩する予定だった夜会をやるそうですよ。そちらの準備は既に終わっておりましたから。でも出席者は兵だけでなく、貴族も参加だそうです」


アデルが両手に『済み』の書類を抱えながら言った。


「ああ、なるほど。それならある程度は式典の形になりそうだね」


「はい、それに明日は殿下の妃の座を求めてご令嬢も集まるでしょう」


嬉々として言うアデルに、ハーレイが少し不機嫌な顔で睨みつけた。


「僕と合う年齢の令嬢じゃあ、まだ能力も分からないじゃないか。僕の伴侶に必要なのは物理的な力で、爵位だのは関係ないんだから」


アデルは気まずそうに肩を竦め、「仰る通りでございます」と小さく答えた。


今日は奇跡の3話投稿です

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