三次元ヒロインのターン(消滅)
カモメ「………………………」
カモメ「私がついています……」
カモメ「みんなの分まで、私がましろさんのことを、大切にします」
ましろ「……ありがとう……」
カモメ「私は、消えたり、しません……。ずっとましろさんのそばにいます……」
やまねこ「……すまない。言いにくいことが、ある」
カモメ「なに?」
やまねこ「カモメさんの、ましろさんへの気持ち、おそらく消える、であります」
カモメ「……え?」
やまねこ「カモメさんの気持ち、Dスポの影響で、ほかの女の子の好意が伝染した。その可能性が高い、であります……」
カモメ「え……そんなこと、あるわけが……」
やまねこ「カモメさんが、ましろさんのこと好きになったの、いつ、でありますか?」
カモメ「えっと……今日の朝……突然好きに……」
やまねこ「……Dスポが発生しはじめたのも、その頃、なのであります……」
カモメ「……え、じゃあなに? この私がましろさんのことを好きな気持ちも、ぜんぶニセモノだっていうの!? 消えちゃうっていうの!?」
やまねこ「……まもなくDスポが完全に終わる、であります。そのときに、今の気持ちも、消える、であります」
カモメ「そんなのやだ……だって、この私の気持ちは、私のものだよ? ぜったいに作り物なんかじゃないし、変わったりしないよ……?」
やまねこ「………」
カモメ「いやああああ!!!!」
カモメちゃんが抱きついてくる。
……いや、しがみついてくる。その腕と身体は、かたかたと震えている。
ぎゅううう……と力が入る。
顔の下に、カモメちゃんの頭がある。髪の毛の一本一本を眺めながら、彼女がこの世界に実在している事実を実感する。
カモメ「どうして、抱きしめ返してくれないのよぉ……」
胸元が、涙と鼻水で濡れていくのが分かる。
しかし、ここでカモメちゃんのことを抱きしめ返すのは、不誠実である気がして、どうしてもできない。
でも……。
もしDスポが通りすぎた後もまだ、カモメちゃんがこの腕を離さないでいてくれるようであれば。
そのとき改めて、抱きしめ返そうと思う。
カモメ「ましろさん、大丈夫…………私の気持ちはぜったいに、消えたりしない……!! ねえ、ましろさん、大丈夫だよ……だから安心して……
しかし……………