危険な融資?震える珠理奈
珠理奈は玲奈の首を傾げるような言葉が少し気になった。
「本店育ちだから融資の稟議書が書けない?」
「お手並み拝見ってこと?」
「何?あの態度、ここの支店の流儀があるってこと?」
「そもそも融資で、そんな支店ごとの流儀なんて認められないんだけど」
そんなことを思いながら、「支店長の御子息、邦男」が持ち込んだ書類を見ることにした。
そして・・・愕然となった。
「何・・・これ・・・」
「5億の資金使途が・・・結局、株の資金なんだけれど」
「担保って・・・有価証券・・・株だよね」
「最近値下がりしつつある株を担保に」
「購入銘柄は・・・え?」
「ここの会社は、本店でもブラックリストだよ、どうして?」
珠理奈の顔が真っ青になった。
「・・・この稟議書を私が書くの?」
それを思ったら足が震えてきた。
そして
「もしかして・・・」
支店長の御子息が持ち込んだ別の融資案件の稟議書や融資書面も調べてみた。
・・・腰が抜けそうになった。
「担保も何も・・・メチャクチャ」
「稟議書に・・・印があるのは、融資部長と支店長だけ」
「だったら何で私に書類を渡すの?」
「延滞はしていないけれど、それは株価が上がっているからか・・・」
珠理奈は、少しずつ新宿支店の実績の実体をわかってきた。
「つまり、こういうことをやって、瞬間的に相場を動かすための資金を融資して、巨大な融資実績をあげる、証券会社も利益を得る」
「違法スレスレか」
「延滞しなければいい」
「危なくなったら別の融資を立ち上げてゴマかす」
「自転車操業かなあ」
ここで玲奈の言った意味がわかった。
「本店育ちには稟議書が書けない」
ただ、それなら本店からわざわざ自分を異動させ、支店長御子息との面談やら融資稟議の事務をさせるのだろうか、それがわからない。
震えながら考えていると、ラインのメッセージ。
その相手は玲奈
「あのね、あなたのことだから、調べていると思うけれど」
「私も同じことされたの、その案件は完済になっているけれど」
「だから、早いうちに手を打とう」
珠理奈は驚いた。
何で玲奈が・・・なのである。




