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珠理奈の両天秤  作者: 舞夢
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支店長の依頼

珠理奈は結局玲奈の言葉を気にしなかった。

玲奈に意味を聞き返したけれど、玲奈は教えてくれることもなかった。

ただ、一言。

「ご自分で判断すれば?」

そういうことだから、

「自分で判断するだけ、結果責任は自分」となり、気にすることはなく、毎晩ぐっすりと眠ることができた。


さて、そんな数日が過ぎ、支店長の御子息でもある系列証券会社の課長が、新宿支店に来店をした。

支店長の指示もあり、新宿支店の融資部長との面談になる。


珠理奈

「いらっしゃいませ、相談室にご案内します」

と頭を下げながら、支店長の御子息の様子を見る。


支店長の御子息は姓は同じながら邦男という名前。

その邦男は

「ああ、噂に聞いていた珠理奈さんだね、よろしく頼むよ」

少し横柄な感じ、香水もキツめ、体型は支店長とは打って変わって、でっぷりしている。

顔つきは、髪をポマードでがっちり固め、眉と目が細い。

そして気になったのは、口臭がひどい。


珠理奈は案内をしながら

「え?マジ?まるで、そのスジみたいな感じ・・・」

と思ったけれど、業務指示でもあり、相談室まで案内をした。


相談室での話は、一応仕事の話だった。

内容としては、5億の融資。

担保の内容や償還財源、資金使途が書いてある計画書を「軽くポン」と渡されただけで、内容の説明も何もない。

後はゴルフの話や宴会の話ばかり。

そして何より、御子息邦男の口臭もひどいし、態度も横柄。

5億の融資話も、「融資されて当たり前」のような話し方をする。

つまり、

「親父がここにいるから、借りてやっている」

「君達の実績にもなるし、親父の実績にもなる」

「親父だって、将来は銀行の幹部、経営陣に入るんだからさ」

「まあ、この俺もそのルートさ」

と話をして、珠理奈を見つめてくる。


融資部長は、ただただ、ヘイヘイと頭を下げるばかり。

珠理奈としては、「ほんとにマジ?」と思ったけれど、必死に長時間の雑談とひどい口臭に付き合ったのである。


そして、ど丁寧に頭を下げて、邦男を見送った後、自分の席に戻った。


隣席の玲奈がまた一言。

「なんとか、通るように稟議書書くんだね」

「ふ・・・」

「本店育ちのあなたにできるかしら」


珠理奈は

「え?何?私が?」

と聞き返すと


玲奈

「私は、しーらない!」

と、どんどん退社してしまった。

それも仕方がない、すでに夕方の5時を過ぎている。

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