寝不足だっていうのにやたらと突っかかってくる。前編
意外と書く時間が限られててなかなか進みません!が数少ない読者の方に読んでもらうため、もう少し頑張っちゃいます!
ほんと疲れるよ、昨日はあの外人さんのおかげで寝ながら疲れる事させられて寝不足?だっていうのに、どうして僕達のベット…もとい学校が襲われてるんだよ!
それは突然の出来事でした、いつものように僕が陰キャスキルを駆使して誰にもバレずに一限から四限までぶっ続けで寝てやろうと思ってたのに!それは三限の途中で大ボリュームの破壊音と共に現れやがった。
流石の僕もおちおち寝てられなくなってしまって教室の窓から野次馬って見ると、特に何も見えなかったから気のせいかともう一度寝ることにする。
「ちょっと羊一!なんであんたこんな時に寝ようとしてんのよ!?」
「……んが!?ちょっと馬渕さん、なんですか?窓から外覗いたけどなにも起きてませんでしたよ、ぼかぁ眠いんで寝ます。」
「おい羊一!お前ほんとよく寝れるな!それに窓の外じゃなくて後ろ見ろよ!なんで気付かないんだよ!」
なんだよもう!健一まで煩いぞ!ぬぉおおー!
「何人たりとも俺の眠りを妨げる奴は許さん!」
「いやマジで羊一!後ろ!」
「ん?」
確かにさっきからめっちゃ悲鳴聞こえるし、なんか教員の顔も焦ってますって感じに口パクパクしてるけども、いったい何事だ?下らない事で俺の眠りを妨げて、この後のプレイに支障が出たらどうす………っぇ?なにこれ?
僕の後ろにあったはずの壁が消え……?いや、違った!あそこでだらしなく口を開けたまま驚いている女の子は2つ隣のクラスの女の子だ、可愛いかったからチェック済みだ!この僕が見間違えるはずがない。
いやそんな事よりも何よりも、教室の壁どころか隣のクラスがあったはずの空間がえぐり取られたように破壊されている。
なにこれ?
「おい、健一!どうせお前いつも通り偶然に事件発生を目の当たりにしたんだろ?いったいなにがあったんだ?」
「いや、羊一おまえ俺の事どういう目で見てんだよ!ちゃんと真面目に授業受けてました!人を殺人現場に偶然居合せる少年探偵みたいに言わないでくれるかい?」
「えー、見てなかったの?マジ使えねぇなー。」
「え?健一探偵なの!?いーな!唯も探偵したい!」
そういえば馬渕さん探偵キャラの夢見てたしもしかしてミステリー好き?
「おい!寝てただけの奴が言ってくれんじゃねぇか!俺だってよくわかんねぇよ、いきなり窓の外が眩しくなって、そのあと物凄い音と衝撃で思わず目を瞑っちゃったんだ、んで目を開けたらこの通りさ!あれ、でも待てよ?その前になにか声が聞こえた気がしたな、笑い声みたいな……」
「やっぱり少年探偵気質なんじゃねぇか、いや違うか、これは少年探偵が合流した後の最初の被害者気質か、言い辛いから略して少年探偵気質だな。」
「え、でもいったい何があったんだろ?隕石衝突とかかな?うはーっ!テンション上がるねぇ、隕石のカケラ落ちてないかな?ねぇみんな!探しに行かない?」
「いや馬渕さん、昨日の今日でそんな偶然があり得ると思う?」
「やっぱないかな?」
あ、僕が否定しちゃったからちょっと寂しそう、もしかして宇宙大好きっ子だったりして。
でも流石に昨日あんな事があったのに、2日連続で不思議体験するなんて〝漫画の主人公〟にでもなった気分だよ……って、あれ?
なんかひっかかるぞ?
そんな事を考えながら向こうの教室で唖然としている女生徒のパンチラを眺めながら、いや違った!今のは何かの間違いだ、決してそんな事僕はしてない!これは書き手の悪意を感じるぞ、僕の事を貶めようとしているな!
って言ってる場合じゃなかった、何処からともなく非常に不愉快な高笑いが聞こえてくる。
どうやら無くなった教室の上辺りから聞こえてくるみたいだ。
僕がさっき〝漫画の主人公〟って言ったのがフラグになってませんように!まだ『夢能力』基礎しか教わってないのに、能力の使い方を教わる前に敵に襲われるお約束展開になりませんように!
願いを込めて僕達三人が見上げた先には……いた。
敵かどうかはわからないけど恐らく教室を破壊したという事は敵なんだろう、授業を妨害したという意味だけなら僕の味方だけども。
まぁ仕方ない、多分寝不足でかなり顔色も優れないだろうし格好は付かないかもしれない、でもフラグが立ったという事は僕は今〝漫画の主人公〟なんだろうさ、〝能力〟の使い方はきっと主人公補正でなんとかなるさ、だから目の前で宙に浮いて高笑いしている厨二的にめっちゃかっこいいあいつに向かって名乗りをあげよう。
「おい!貴様いったい「教室にいた人たちはどうした!無事なのか!?」」
割り込むな!てめぇ、健一!てめぇ!このやろうが!いきなり健一に主人公ポジション横取りされたせいで僕の語彙力がてめぇこのやろう状態だ!
「んぁ?なんだおまえ?この中に居た人間なんか知らねぇな、死んじゃったんじゃないの?」
くっ!案の定あいつの目には健一しか映ってないっぽい、まぁいいさ、なんかヤバめな目つきだしあいつ、出来れば戦いたくない。
「なんだぁ?てめぇ、その目つきはよぉ?気に入らねぇなぁおい!」
お?なんかいい感じに健一に目付けたっぽいな、その流れで健一だけ戦えばいいんだ!そうだよ、健一主人公になりたいみたいだし。
え?なに?別にこわかないし!いやてかむしろ僕程の男があんな小物の相手してしまっては流石に弱いものイジメだし?だってほら、僕は【無敵の炎】が出せるんだよ?まだどうやって出すのか知らないけど……
「君は、確か隣のクラスの生徒だよな?よく教室の隅で本読んでた子だろ?」
え?健一知ってる子?確かに健一は外面“だけ”は良いからな、隣のクラスにも友達はいるんだろう、広くて“浅い”友好関係を作るのは得意そうだし。
え?なにさ、友達多いのとか全然羨ましくなんて思ってないし。
「なんだ?お前見た事ある顔だと思ったら、いつも教室の出入り口でうちのクラスのクソどもとダベって僕の邪魔をしてたやつか!あー思い出しただけでどんどん腹たってきたぞ!てめぇもその教室諸共消えろぉ!」
「ストォォオァアーーーーップ!」
「んあ?なんだ、てめぇ!モブが勝手に声発してんじゃねぇ!」
え?僕ってそんなにモブ顔かな?ちょっと傷付くんだけど、一応主人公っていう設定だってのに確かに地味な顔だなぁって鏡見るたび思ったりするけどさ?でもちょっとみんな言い過ぎだと思う、危うくイジメに発展しかねないよこれ!
いやしかし!今はそんな僕の人生を左右するような些事について思いを巡らせている場合ではない!どうしても聞き捨てならない言葉が聞こえたからこれだけはやつに言わねばならない!
「ぅおい!お前!名前は?」
あ、間違った!さっき俺が名乗ったのになんでこいつ名乗らないんだろうとか思ってうっかり間違えちゃった、けどそういえば健一に邪魔されて名乗れてないんだった、くぅっ!残念だ健一がいる事による弊害がこんなところにまで現れるなんて!こうなったら…
「この教室ごと消し飛ばすなんてダメに決まってんだろう!僕の人生を左右する問題どころか僕の人生が終わってしまうなんて我慢ならん!お前は素直に健一とだけ戦って健一だけ消し飛ばしていれば良いんだ!」
そうだそうだー!ってクラスの奴らの賛同する声が聞こえてくるぜ!
「羊一おまえ…ホントに俺の事嫌いだろ!」「てめぇ、松陰!見損なったぞ!」「そうよそうよ!みんなを守るために前に立ってくれた健一君にどうしてそんな事言えるのよ!?」「最低だな羊一いつも友達のいないお前に優しく声かけてくれてるのは健一だろうが!こんな時くらい健一に恩返ししろ!」「そうだそうだー!お前が身代わりになれ!」
ふふふ、僕には「そうだそうだー」しか聞こえない。
「ん?なんだモブ顔、お前も俺と同じ嫌われ者か?どうだ?俺の仲間にならないか?この教室を吹き飛ばしたのは俺の〝能力〟だ凄いだろ?仲間になれば〝あの人〟に言ってお前にも〝能力〟を与えてくれるように取り計らおうじゃないか!どうする?俺の仲間になってお前を蔑むクラスメイトを殺すか、俺の誘いを断って俺に殺されるか、さぁ、選べよ!」
「ふん!確かに魅力的な提案だな、だが断る!」
おぉ、90年代の某有名少年週刊誌大好きっ子達が恐らく人生で一度は言ってみたいセリフをこんなに自然に言える日が来るなんて、しかも二つも!
「ほう、殺されたいらしいな?」
「いや、それも断る!」
今のはなんか違うな。
「というか別に健一とあと名前は知らないが俺に身代わりになれとか言ったやつは殺しても構わない、だが断る!」
んー、難しいな、最初は自然に言えたのに、っていうかそろそろ誰かに怒られそうだから冗談はこの辺にしておこう。
「断るというか、僕は自分で自分の好きな〝能力〟を手に入れたいからな、知らない誰かから訳の分からん〝能力〟を与えられるなんて嫌だね、まぁ少し前の僕ならもしかしたらその誘いに乗ってたかもな、残念だよ。」
「ほう、まるで自分から〝能力〟を手に入れられるような口ぶりだな、だがそんな事はあり得んバカめ!この〝地域〟で〝あの人〟に選ばれたのは俺だけなのだからな!俺の口利きが無ければおまえなんかが〝能力〟を手に入れられる訳があるか!」
随分と説明してくれるな、まさに漫画やアニメの最初に出てくる敵って感じだなこいつ、どうやら大きな組織が後ろにいる事を示唆する役目らしい、なにか大きな意思を感じるぜ。
そしてあいつが〝能力〟を使う、天高く拳を突き上げて…
「貴様らは俺の怒りに触れてしまったのだ!この学校ごと地図から消えろ!『神の鉄槌:メテオライトォォオ!』」
え?なにそれ?技名とか?もしかして僕たちの能力も技名とか叫ばなきゃダメなのか?めっちゃ恥ずいんだけど!そんなんマジ無理なんだけど!
僕がそんな事想像しながら悶えてると恥かし男子が突き上げた拳がビカビカと発光して、それに反応するように空から轟音と共に火の玉が出現して、恥かし男子が僕に向かって腕を突き出すと同時に火の玉が僕めがけて飛んできた。
マジか、隕石だったよ馬渕さん、さっきはごめんね、後で一緒にカケラ探し手伝ってあげよう。
ってかなんの捻りもない技名だと思ったらホントになんの捻りもなかったぞ、あいつマジで厨二センスすらないとは愚かな奴め。
……だけどどうしよう、隕石なんて僕どうしようもないや。
諦めかけたその時、絶妙なタイミングで見覚えのある変な鎧が僕の目の前に立ちはだかり隕石を消滅させた。
悔しいから今まで変な鎧って言ってたけど、今だけは正直になってやろう、実はこの鎧、かなり僕の琴線に触れてる、つまるところ
「かっけぇぇええーーーーっ‼︎」
なのだ。
そして物語は後編へ続く、なのだ。