見知らぬ顔は…
「おーい!やっほー!」
私は見知らぬ顔の二つ結びの少女のほうへ
駆け寄った。
「見ない顔ですなぁ。もしかしてほかの学校からですかい?」
谷丘中学校へ行く新入生の大半が
谷丘少学校からなので知り合いばかりで
私の知らない人はちらほらとしかいなかった。
その中でこの子はもしかしたら1番可愛いかもしれない。
「他の学校からきたんです!私は篠原祈良々ともうします!」
「そんなかしこまらなくても…。あっ、祈良々って言うんだ!かわいい名前だね!名前だけじゃなくて、容姿も!…いてっ!」
祈良々という可愛い女の子と話していると、
奈乃が寄ってきて私のことを軽く叩いたのである。
「何するんだよぉ〜!」
「初対面の子に可愛い連発してどうするの!
祈良々ちゃん…だっけ?困ってるよ!」
そう言って奈乃は祈良々に近づき、こう言った。
「ごめんね…。あの子可愛い子が大好きなの…。
でも本当はいい人だから仲良くしてあげてね?」
「やめてよ!その言い方私が変態みたいじゃん!」
そんなあほらしい会話をしていると
祈良々が笑い始めたのである。
初めは何がおかしくて笑っているのかわからなかったが、だんだん分かってきて、いつの間にか私まで
笑ってしまっていた。
「あはは…」
ーどこか嬉しそうで、そして懐かしそうな。
そんな顔をして祈良々は笑っていた。