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 ⑥


田町京太郎刺殺事件は、泡沢が桜井真緒子に腑抜けにされた日から5日後に桜井真緒子を除く容疑者2人を確保した。


2人の女性はあっさりと自供した。


その翌日、逃亡を図っていた桜井真緒子は横須賀に潜伏している所を発見され、逮捕に至った。


横須賀は共犯者の1人、加納美和のアパートがある街だったのだ。桜井は加納と連絡を取り付け横須賀から逃亡を図るつもりでいたらしいが、加納は運悪く出社時に職質を受けて、すんなりと白状したらしい。


泡沢は事件が解決して心底安堵した。


主犯格はあの取り逃がした桜井真緒子だったからだ。

3人で田町京太郎を殺す事を計画したのは桜井真緒子だった。


理由は田町が3人と出来ていたのと、3人とも妊娠していたからだった。


「浮気だけなら許していたわ」


と桜井は自供した。だが妊娠させていた事が桜井はどうしても許せなかったらしかった。


それが殺人の動機だと桜井真緒子は語ったそうだが、泡沢にはどうしても理解できなかった。


田町を独占する為に田町が妊娠させた残りの2人を殺すならまだ理解も出来る。


だがそうではなく、妊娠した3人と共謀し、泡沢を殺害したのだ。


その部分が泡沢を含めた刑事達は、どうしても理解出来なかったのだった。


だが桜井真緒子を含めた3人は同様に「みんな妊娠させられていたから」と口裏を合わせたかのように語った。


その3人が子供を産むのか下ろすのかはまだ決めかねているようだった。その事も気がかりだった為、一度だけ桜井真緒子に面会に行った。


桜井は泡沢を見つけるとニヤけながら「勃ってる?」と聞いて来た。


泡沢が首を横に振ると桜井はチッと舌打ちをして、自ら面会を終了させた。そんな桜井に泡沢は一言も発しなかった。後ろ姿を見送りながらホシが捕まったらチンポは勃たないんですよと胸の中で思っていた。


泡沢は椅子から立ち上がり部屋を出た。

警察署のトイレに向かい、大の方に入る。


ズボンとパンツを脱ぎ、チンポに触れた。


桜井真緒子と初めて遭遇したあの日のことを思い返す。チンポは直ぐに硬くなった。


そして泡沢は桜井にされた事を思い出しながら激しくチンポをしごいた。

あっという間に果てた泡沢は、便器の外に飛び散った精子をそのままにして、トイレを出て行った。


正直な気持ち、泡沢は桜井には捕まってほしくなかった。


勿論、殺人犯だから最初的には捕まえなければならないが、それは自分が桜井と狂ったようにやりまくった後で、この手で捉えたかったのだ。


桜井真緒子と肉体関係を持てなかったせいでか、最近はより桜井真緒子が頭から離れなかった。桜井真緒子をオカズにしなければ勃たなくなっていた。


幸い、事件が解決し、新たな事件も起きていない為、シコるのはもっぱら欲情からだった。


今すぐ現場に臨場するという事はないが、事件はいつ何時起きるかは誰にもわからない。刑事ならその為の心構えが必要であるのに今の泡沢にはそれが出来なかった。


もし、新たな事件が起きた場合、自分は今までのように勃起し手掛かりを見つける事が出来るのだろうか。

そんな心配をする程に、泡沢は桜井真緒子に夢中になり過ぎていたのだ。


まかりなりにも自分は警察官で、通称、勃起刑事と呼ばれる立派な刑事なのだ。その誇りもあるし、刑事という職業も大好きだった。だがもし、これから先、桜井真緒子でしか勃起しなくなってしまっていたら…

泡沢はそんな事を考えながら身震いした。


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