①④
赤津に藤城の事を聞きた過ぎて、普段より早く家を出た。
早く出ただけあっていつもと違い電車内も空いていてた。乗り換えのバスも空席があるという程ではなかったけど、楽に乗車出来た。
学校につき教室へ入ると直ぐに自分の席についた。
座りながら、教室に生徒が入って来るたび僕はそちらを振り向き、入ってくる生徒が赤津かどうかを確認した。
時間の経過と共に増えていくクラスメイト達の中には、まだ赤津は含まれていなかった。
その内、茂木が来て、2人で喋っていると飛田がやって来た。僕と茂木と飛田の3人でくだらない話をだべったりしながらも、僕は廊下側をチラチラと気にしていたが、赤津は授業まで待っても現れる事はなかった。
やっぱり藤城家族の白骨死体発見のニュースを聞いてショックを受けたのかも知れない。
結局、この日、赤津は学校に来なかった。
僕としては色々と聞きたかったから、それなりにショックだった。殺される人は殺される理由があると言う人もいるくらいだから、誰にも見つからず親子3人を殺し、他人から引っ越されたんだと思われるくらい、家の物を整理し、四国まで3体の遺体を運び、埋めるというのはかなりの重労働な筈だ。
到底、1人で出来るとは思えなかった。つまり組織的な犯行?勝手な想像だけど藤城家は暴力団などの関係者だったのかも知れない。
それならドラマや映画であるように大きな過ちを犯したり、何かしらの秘密をバラしたのがバレて裏切り者として処理された、と言う風に考える事も出来るから。
そう言う所も含めて赤津に聞きたかったのに…あいつ休みやがって……そんな事を考えていたらあっという間に
1日が終わった。
帰り支度をしていると無意識に舌打ちが出る。
赤津が来なかったせいだ。
「何か頭に来た事でもあんの?」
舌打ちの音が大きかったのか、小野夢子が聞いて来た。
「あ、いや、別に何もないけど」
「何もないのに、あの舌打ちはないよね」
小野夢子はいい斉藤こだまに同意を求めた。
斉藤はうんうんと頷き、
「何があったのよ〜」
と下卑た視線を僕に向けた。
「何でもないって」
僕は2人にじゃあねといい、茂木の名を呼んだ。
「今日も行く?」
「今日はいいや。金ないし」
「そっか。飛田はどうすんの?」
「ん〜俺もいいかな」
「そっか。わかった。なら駅まで一緒に帰ろ」
そういい、リュックを背負って2人の席の方へと向かって歩いて行った。
駅で2人と分かれると帰宅部の人間に常に付き纏うもの、それは暇な時間の過ごし方をどうするか迷った。
真っ直ぐに家に帰るのもなんだし、かと言って1人でゲーセンもつまらなかった。
だから地元の駅についたら街中をふらついてみる事にした。
滅多に向かわない南口出口の方に足を向ける。
改札を抜けると見慣れていない景色が現れて、一瞬だけ、異世界に迷い込んだのかも知れないとそんな思考が頭の中を駆け抜けて行った。
見慣れないタクシー乗り場に小さなターミナル。バスは無い。古びたビルの電光掲示板の一文字が切れている。
消費者金融だけのビルとその隣に美容室が4軒入っている4階建てのビルがあって、地方銀行のATMとすき家が並び、路地に入る道を隔ててパチンコ屋があった。
僕は改札を出て正面にあるロータリーを左側へ向かった。そして迂回しながらその路地の方へ行ってみようと思った。
遠目からは路地という雰囲気があったけど実際には寂れた商店街だった。入り口のアーケードの文字は排気ガスや埃で汚れている。
路肩も空き缶や煙草の吸い殻、食べ残したカップ麺が捨てられたまま放置され麺が飛び出している。
そんな場所を無気力そうな年寄りが歩き、ガラの悪い人相の大人がパチンコ屋に入って行った。
こんなに汚いのに誰も掃除をしないのは町内会のまとまりがないからかも知れない。
こんな場所を制服を来た高校生が歩くのは場違いに感じるし、どことなしか緊張感があった。
そんな商店街を左右見渡しながらしばらく歩いていると、聴き慣れた音楽が聞こえて思わず足を止めた。
それはお爺ちゃん達が良く聞いているギルバートオサリバンのアローンアゲインだった。
その音楽が流れている場所に近づくと、地下へ降りる階段があった。
下を見下ろした後で一段一段と降りて行ってみた。
重そうな取手のついた扉にかけられた札には
「相模ミニシアター」と書かれてあった。
どんな映画をやっているのかはそこにいたらわからなかった。とりあえず扉を引きあけ中に入って見た。
店内はとても薄暗く明かりといえば奥壁に置かれたランプだけの炎のみだった。
入って直ぐにバーのカウンターのような木材のテーブルがあり、どうやらそこが受付のカウンターらしかった。
「いらっしゃい」
いきなり低音のダミ声が店内に響く。
一瞬、ビクリとしたが僕は恐る恐るカウンターへと近寄った。
「1人なんですけど…」
「800円」
とダミ声が言った。
カウンターから離れた位置にあるランプの明かりだけではダミ声の顔立ちははっきりとわからない
ただかなり額はあがり禿げ上がっていた。
なくせに後ろ髪は長髪といえる程長かった。
「どんな映画をやってるんですか?」
「自分で確かめな」
「あ、はぁ。そうですか…」
僕は少しの間、観るべきか止めるべきか迷った。
「坊や。どうするんだ?ハッキリしな。こちとら坊や相手に気長に待てる程、暇じゃないんだよ」
「あ、すいません。観ます」
僕は財布を取り出し千円札を取り出しカウンターに置いた。
ダミ声はそれを毟るように取ると袖のない皺くちゃのシャツの胸ポケットに押し込んだ。
「あの、お、お釣りは?」
「んなもんねーよ。ま、その代わりといったらなんだが、ほらよ」
とダミ声はカウンターの下に腕を差し入れた。
取り出した手にはコーラの500ミリの缶が掴まれている。ダミ声はそれわだるそうにカウンターに置いた。
500ミリのコーラなら今は百円で買えるのに倍の値段を取るのかよ。
そう考えていた僕の思考をダミ声は読み解いたのか、
「いらねーなら別に構わねーぞ?
こういっちゃあ、何だがな。他の映画館ならコーラは200円じゃ飲めねーからな」
確かにそうかも知れない。けどそれは普通の映画館での話だ。
ミニシアターという物が、どれくらいの値段で飲み物を提供しているかはわからないけど、やっぱり少し高い気はした。
けど断ってもお釣りの200円は戻って来そうになかったので、僕はダミ声が置いたコーラの缶を掴んだ。
コーラが全く冷えていない事に驚く僕を他所に、ダミ声は手を振りながら向こうへ行けという仕草をした。
「後、5分で上映だ」
僕はダミ声が指差した方を見た。どうやらそこが上映内の入り口らしい。
取手を掴み引き開けようとした時、ダミ声の声が聞こえた。
扉を引きながら横目でそちらを見た。ダミ声はスマホを耳に当てながら小声で何やら話している。こちらまで内容は聞こえて来なかった。僕は扉を開けて中へ入った。
上映前だからか、劇場内は受付よりも明るい方だった。5分前だというのにスクリーンには何も映っていない。
ただ真っ白な巨大なスクリーンがそこにあるだけだった。
本来なら他の映画の宣伝映像が流れていたりする筈なのに、それすらなかった。
ミニシアターというものはいきなり本編に入る仕組みなのかも知れない。周りに目をやると観客は1人もいなかった。つまり僕1人の貸し切り状態だった。
ミニシアターという事もあってか座席は30席にも満たなかった。横に4列、縦に7列に並んだ座席の中で僕は中央より少し後ろ側の席に着いた。
座席に座ってコーラを開ける。プシュという空気が抜ける音が劇場内に響く。温いコーラをひと口飲んだ後、出入り口が開き、数名の人が入って来た。
そちらをチラッと見ただけで、僕はスクリーンに目を移す。どんな客層かわからないけど、1人は僕の目の前の座席に座った。
そして他の客は僕の座っている列の横並びに座る。残りの入って来た客が何処へ行ったのかはわからなかった。
いきなり劇場内の明かりが消えたかと思ったら、スクリーンに映像が映し出された。
スクリーンには横の姿の茶色い牛の身体半分だけが映っていて、その牛は哀しげな声をあげながら、物凄い量の涎を垂らしている。
直ぐに牛の前脚が崩れ脚を折る形で地面に顔を押し付けた。横たえた牛の顔がアップになる。だらしなく垂れた長い舌が小刻みに揺れていた。
何だが嫌な映像だなと思った。屠殺される前の映像なのかな?そう思った瞬間、いきなり僕の左の腕が掴まれた。
びっくりした僕がそちらを向くと丸顔の脂ぎった七三分けの親父が前歯のない口を開けてニヤけていた。
掴まれていた腕を払い除けようと右腕を上げようとした。今度はその腕が掴まれた。自然、そちらに目がいった。
30代くらいのガタイの良いスーツを来た男が僕の右腕を捻じ上げる。痛い!と声を上げる。すると僕の前の席に座っていた人が立ち上がった。
「何するんですか!止めて、痛いっ!あ、そこの人助けて下さい!」
僕が叫ぶとその人はこちらへ振り返った。
「ダメ」
野太い声が劇場内に反響する。立ち上がり僕の方の席へと自分の席を跨いで来た。そして僕の太ももの上に腰を落とした。
ヤバい!そう思った瞬間、背後から首を羽交い締めにされた。
太い腕が僕の喉仏を締め付ける。直ぐに上へと引き上げられた。
助けを求める声は直ぐに息切れを起こした枯れた呼吸にかき消された。
僕の上に跨っていた男が膝立ちをしてズボンのファスナーを下ろした。
左右の腕を払い除けようと手足をバタつかせるがびくともしない。
僕の前の男が空気を求め必死に開けている僕の口の中に反り立ったペニスを押し込んだ。
喉の奥まで押し付けられ吐きそうになった。かろうじて鼻呼吸で肺に空気を取り込もうともがく。
嗚咽が抑えきれず、さっき飲んだばかりの温いコーラが喉元へ這い上がってくる。その間も男は僕の口に押し込んだペニスを激しく揺すり続ける。
あぁと思った。僕は呼吸困難な中、頭の隅では自分が置かれている状況をハッキリと理解した。
劇場内に入る時、ダミ声の男が電話をしていたのはこいつらにだったんだ。そう気づいたが全て遅過ぎた。
そう思った瞬間、全身から抵抗する力が抜けていった。
「ククッ。若いのに諦めが早いじゃない」
僕の首を絞めている奴が言った。
「状況判断が早いともいうぜ?」
未だ激しく腰を動かしペニスを僕の喉奥に押し続ける男が言った。
「生存本能を優先しやがったって事かな」
右腕を掴んでいた奴がいい、僕の腕を自分の股間に押し付ける。取り出し僕に握らせしごかせた。
「この坊や。素質ありますねぇ」
丸顔の脂ぎった七三分けの親父が掴んでいた僕の腕から手を離した。そしてペニスを僕の口の中に押し込んでいる男の尻の下に顔を入れ僕のズボンのベルトを外し始めた。ズボンをズラすと丸顔の脂ぎった七三分けの親父は甲高い声を上げた。
「坊やったらこんなに興奮してるなんて可愛い」
僕の口の中に押し込まれているペニスが一段と激しく動き出した。
「俺はな、な、お、おう、坊や、イクッ。イクから綺麗に飲んでくれよ」
親父が僕のペニスを口に含む。歯のない前の歯茎が僕の鬼頭を擦りつける。直ぐにイッてしまった。
僕のペニスから出た精子を美味しそうに飲み干した親父はピクピクしている僕のペニスを触りながら自分のズボンを脱ぎ始めた。そして後ろ向きになり、僕のペニスを自分のアナルに押し入れた。親父は座席の背もたれに両手を付き尻を動かし始めた。まるでさっき見た牛の映像のように乱れ始めた。
「ククッ。あんたも好きねぇ」
僕の首を絞めている奴がそう言った。
右腕で自分のペニスを触らせている男がスマホを取り出した。僕の手が自分のペニスをしごいている状況を録画し始めたようだった。
口の中で動くペニスが一瞬止まった。同時に温い液体が気管の奥へと飛び跳ねた。アナルの中の僕のペニスが更に熱を帯びる。イッた。だが親父の腰はまだ止まらなかった。
「2回もイカせるんじゃないわよ!」
首を絞めていた腕が離れたと同時に親父の中に入っていたペニスがスルッと抜けた。
どうやら僕の首を絞めていた奴が親父を突き飛ばしたらしかった。親父は弛んだ尻を揺らしながら頭から前の座席へと突っ込んだ。
「ギャハハ。オッさん欲張るからだぜ」
口の中からペニスが抜かれると僕はその男の腹に向けてゲロを吐いた。瞬間、男の拳が僕の顔面に飛んで来た。意識が遠く中、僕の首を絞めていた奴とそいつの言い争う声が耳の中でこだまする。
僕を殴った奴は何やら言葉を吐き捨て僕の身体から降りた。
「お疲れ、俺は先に帰るからな」
「私も行きます。中々良いのが撮れたので」
「そうなのか?」
「ええ。この子の手、意外と小さくて指も細いくせに肉感的でかなりタイプでしたよ」
「満足したって事だな」
「はい。存分にこの子の手を汚す事が出来ました。しばらくの間はこの子の映像だけで満足出来そうです」
「変態が」
「そういう佐江口さんこそ」
「じゃあ、後始末は頼むわ」
佐江口という男の言葉に僕は殺されてしまうと思った。
逃げようと起き上がろうとしたけど、くたびれたボロ雑巾のように座席に打ちひしがれて動けなかった。再び吐き気に襲われた。丸顔の親父はズボンを履き終えると、僕に向かって
「今度は個人的に付き合おうか?」
そういい僕の剥き出しのペニスにデコピンをかました。
「皮被りは可愛いなぁ」
「あんたの出番は終わったのよ!とっとと帰りなっ!」
劇場内から3人が出ていくと最後の1人、僕の首を絞めていた奴が席を跨いで僕の隣の席に座った。
「人生ってサプライズの連続なのよ」
言いながら殴られて血が流れている唇にキスをした。舌が傷口を舐め回す。その後に脱がされた僕のズボンを拾い上げ履かせてくれた。
そして僕の身体に腕を回し席から立ち上がらせた。そのまま抱くようにして劇場内から僕を連れ出した。
あぁ。僕は最後にこいつに殺されるのか。あの男が言った後始末というのはきっとそう言う事なのだろう。全くついていない。男に犯された上に初体験が脂ぎった七三分けの親父のアナルとは。
ったく。どうしてこんな所へ足を運んでしまったんだ?学校に赤津が来ていればきっと僕が犯されるという事は起きなかった筈なのに……
くよくよと起きてしまった現実に涙しながら僕はそいつに連れられるままトイレの中へと連れ込まれて行った。




