⑤
道路を渡るとポプラ並木がある。
その側に小さな公園があり、その先を少し進むと最初の路地にぶつかる。
そこを右に曲がると三田達が待機しているマンションが見える筈だ。
泡沢は無意識に早歩きになりながら小さな公園の側を通って行った。
親子連れだろうか。並木の隙間からしゃがんで優しく話しかけている親の背中が見えた。ほんの少し前まで子供が泣いていたのかもしれない。泡沢は気持ちを抑える事が出来なくなり、ついつい走り出し路地を曲がった。その時、出会い頭に人とぶつかってしまった。
「すいません!」
謝る泡沢の鼻腔にキツい香水の匂いが突き刺さった。
「大丈夫ですか?」
相手の顔を見ようと姿勢を正すとぶつかった相手は、軽く舌打ちをした後で、
「ええ。大丈夫だから」
女性は70年台風の大きなサングラスをし、メイクも濃く、その印象だけでいえば夜の仕事の人のようだった。
「本当、すいませんでした」
「もういいから」
女性はいい、泡沢が通って来た道を曲がっていった。
「ちゃんと謝ってんのに、えらく無愛想な人だなぁ。生理中かよ」
と泡沢は一人愚痴り、マンションへと向かって足を踏み出そうとしたその時だった。
もの凄い勢いでチンポが勃ったのだ。
警部のいう所のビンビンだった。
泡沢は足を止めてチンポを触った。
まるでイッた後のようにチンポがビクビクしている。
間違いない。さっきの女は事件に関わっている。
写真の女の中の一人に違いない。
泡沢はスーツのパンツの前を膨らませたまま、女の後を追った。
尾行しながら三田にメールする。電話だと女に気づかれる危険性があるからだった。
最近は皆、歩行中にスマホ画面をみてるものだ。だから、その行為はなんら不自然ではない。
三田から直ぐ返信があり木下を応援に寄越すとあったが、丁寧に断った。
木下は真面目な刑事だが、思った事を口にだしたり、行動してしまう所がある。それで女性を見失うような事でもあれば、また面倒な事になりかねない。
もしさっきの女性が三田達が張り込んでるマンションの住人であるとしたら、それは女性が帰宅途中に張り込んでる三田達の姿を見つけたという事になる。
と仮定すれば帰宅せず再び姿を消すために駅方面へと向かったと言えるのではないだろうか。
だからこそ急いで逃げる為に、泡沢がいる事に気付かずぶつかってしまったのではないだろうか。
もしそうならなんて運が良いのだろう。ぶつかりもしなければ、ひょっとして自分のチンポがここまでビンビンになっていたかはわからない。恐らく無理だっただろう。
おまけに自分で驚くほどチンポが硬くなっている。
がまん汁も半端なく出ているようだ。今まで幾つもの事件を解決に導いた事はあったけど、直接その犯人に出くわしたりした事は一度だってなかった。
犯人に繋がる証拠、いや、導き出す物をチンポは反応するのだ。
だから犯人逮捕に至った後で、犯人と面通ししても勃起はここまでギンギンになる事はなかった。
だが今は違う。僅かな手掛かりを追っている最中に、犯人らしき人物と出くわし、勃起したのだった。
自身のチンポの硬さはまるで、泡沢の数歩メートル先をを歩く女が田町を殺害した実行犯で間違いないと物語っているようだった。
その事を三田に告げると、三田は
「了解。タクシーに乗られて逃げられるなよ」
と返事を寄越した。
返信メールを見た泡沢は自分の頭にタクシーで逃げられるその危険性を考慮してなかった事に冷や汗をかいた。
スマホをしまい車で逃げられないよう、女との距離を縮めていった。
その間、女はやたら時間を気にしている風な素振りをしたり、落ち着きなく辺りに視線を走らせていた。
三田の言うように女は車を、タクシーを拾うつもりらしい。泡沢は素早く背後へ振り返る。車はない。
顔を戻すと女が反対車線から向かってくるタクシーに向かって手をあげていた。
「マズい!」
泡沢は駆け出していた。
タクシーがUターンし始めている。そちらへ女が駆け寄った。
ドアが開き女性が乗り込もうとした寸前、泡沢は女性の二の腕を掴んだ。
「運転手さん、ごめんなさい。やっぱり乗りません」
泡沢はそういい、女性を引き寄せた。
タクシーはドアが閉閉め切らない内に走り出して行った。泡沢達の事に腹を立てたのだろう。
「何すんのよっ!」
「田町京太郎さんの事で話があります」
「知らないわよ、そんな奴!」
「嘘をついても無駄ですから」
「何言ってんだよ!あんた馬鹿じゃないの?警察呼ぶわよ!」
「どうぞ 安心して下さい。警察は目の前にいますから」
泡沢はいい警察手帳を見せた。
「ちょっとそこの公園でお話聞かせてもらいます」
「だから田町なんて奴知らないし!」
「いい加減嘘はやめましょうよ。貴女がどれだけしらばっくれても、僕のチンポが貴女は事件と関係あると言ってるんですよ。それも強烈にね」
泡沢はいい膨らんだズボンの前を女に見せつけた。
「はぁ?あんた何言ってんの?変態なだけじゃんよ!」
このままヒステリックに騒がれては話も出来ない。
泡沢は女に理解してもらう為にスマホを取り出した。
警部や田町などとのやり取りを見せ、自分が勃起刑事と呼ばれてる事を理解して貰った。
それを聞いた女は渋々だがゆっくりと落ち着きを取り戻して行った。そして泡沢の指示に従ってベンチに腰掛けた。
「先ずはサングラスを外して下さい。その後で名前を教えて頂きます」
サングラスを外した女は3人の女の1人に間違いなかった。名前は桜井真緒子 32歳
「では先ず田町さんとの関係を教えて頂けますか?」
「本当にチンポが勃つとそれは証拠や犯人に繋がっているの?」
「それはさっき話した通りで…」
泡沢が最後まで話す前に桜井真緒子はいきなり泡沢のズボンの上からチンポを擦り始めていた。
「なら勃ってなければそれは事件に無関係で犯人じゃないって事よね?」
「ま、まぁ、そうなり、ハァハァ」
「本当に?」
桜井真緒子はチャックを下ろして泡沢のチンポを取り出した。ゆっくりとシゴいていく
「本当…です」
「なら私が事件の重要参考人じゃないって証明してあげる」
桜井真緒子はそういうと泡沢のチンポをくわえた。ねっとりとした舌づかいで鬼頭を舐めまわし、激しくシゴく。
「あっあっ、で、出る…」
泡沢の声を聞き女はさらにチンポを舐め回した。
女の口の中で果てた泡沢は、ぐったりとベンチにもたれかかった。チンポがゆっくりとしぼんでいく。
女は口の中に出された精子を吐き出しながら泡沢のチンポを再び触った。
「ほらみて?貴方のおちんちん、勃ってないじゃない?」
確かに勃っていない。それはそうだ。今さっきこの女に抜かれたからだ。
「これって私は事件とは無関係って証拠よね?
頷いてくれたら、もし今度出会った時はもっと激しく色んな事をしてあげる」
泡沢はゆっくりと頷いた。女は立ち上がり、泡沢の頭を撫で、耳にキスをし小走りで公園を去って行った。
泡沢はしぼんだチンポをしまい、スマホを取り出し
三田に連絡を入れた。悔しいが正直に女に巻かれた事を告げるしかなかった。だが、三田は電話に気づかないのか泡沢の電話に出る事はなかった。
仕方なく切ると直ぐに折り返し電話がかかって来たが、泡沢は出なかった。
出たのは精子であり、それもあっという間に出させたのは桜井真緒子だった。
泡沢はさっきの一件をスマホで撮影したかったと、後悔し、再び出会う事を願ってチンポをいじり出したのだった…




