①①
死体というものは強い磁力でも持っているのだろうか?
そう思わせるニュースが昨日に続き速報で流れて来た。
この日は昨日約束したように学校が終わると最近、特に仲が良いクラスメイトの飛田と茂木の3人で隣町のゲーセンに行って6時過ぎまで遊んだ。
コンビニでアイスを買ってダラダラと歩きながら駅へと向かい、アイスを頬張りながらゲームの内容をあーでもない、こーでもない、圭介はあのステージ下手くそだよなぁとからかわれながら改札を抜けた。
2人とは反対方向なので駅の改札付近で別れた。
先に来た各駅停車に乗り込んでドア越しに2人に手を振る。姿が見えなくなると電車のドアにもたれながら何気なく車内電光掲示板に目をやった。
そこにいきなり四国の山中で3体の白骨死体が発見されたとあった。まだ身元は不明だが、白骨死体の大きさから踏まえて親子だと考えられる、とそのような速報が流れた。
昨日はYouTuberの惨殺死体が九州で発見され、今日は親子の白骨死体が四国で発見されたというのを聞いて死体が死体を呼び起こしたんじゃない?と思ってしまった。
もし僕の馬鹿馬鹿しい考えが本当に起きているとしたら、明日は中国地方か中部辺りで死体が発見されるかも知れない。
そんな荒唐無稽な妄想をしていると、地元の駅に着いていた。扉が閉まるというアナウンスが流れて、僕は慌てて車内から飛び出した。
真っ直ぐに帰宅して直ぐにお風呂に入った。
宿題は夕食後にしよう。
今夜はサバの味噌煮と豚汁だった。お爺ちゃんは食欲がないのか、僕にサバ味噌煮を半分くれた。
そんなお爺ちゃんの事をお婆ちゃんは全く心配していなかった。ひょっとしたら、お爺ちゃんは夕飯前に何か食べたのかも知れない。
夕食を終え宿題を済ませスマホでゲームをした。
プレステ5は未だに買っていない。やりたいソフトが無いからだ。
飛田と茂木はAPEXやDBDなどをオンラインでやっていて、しょっちゅう、プレステを買って一緒にやろうと誘って来る。
だけど僕はやる気が起きなかったし、既にスタートラインから随分と遅れている為に、その差を埋める為の練習そのものが面倒だった。だから、買うつもりはなかった。
それでも面白そうなゲームが出たら買うかも知れないから、その分のお小遣いは貯めるようにしていた。
けど暇な時間潰しにはスマホゲーがちょうど良かった。
お父さんが出張に出て2日目の夜は、とても静かに過ぎて行った。
鰐の餌やりはお父さんの役目だから、つまり今日、鰐は何も食べさせて貰えていないという事だ。
まぁ。鰐は何日も食べなくても平気な生き物なので、気にする必要がないのは僕としては有難かった。
それでも本音をいうとするなら、鍵を預かって僕がその役割を担いたかった。
まぁ、そんな焦りも数ヶ月の我慢だ。夏休みに入れば僕は鰐の飼育に取り掛かる。
鰐見たさについた嘘だったけど、今ではそれも僅かではあるけど、僕の中のとある部分では本気になりかけていた。
藤城たつきの名前を聞いたのは、四国で白骨死体が発見されてから3週間を過ぎた金曜日の夕方だった。
中学二年生の時に僕の通っていた中学に転校して来たというあの藤城たつきは身元が割れるまでの時間、白骨死体のまま何処かに保管されていて、ようやく僕らの前にその名を持って現れた。
当時から今まで顔も名前も知らない藤城たつきはどうやら両親と一緒に殺され埋められていたらしかった。
関東に住んでいた藤城が何故遠く離れた四国の山中で埋められていたのかは謎ではあった。
もしかしたら引っ越した先が四国だったのかも知れない。普通に考えればそれが理由だろう。
でももしそうだとするなら赤津が知らないとは思えなかった。あの口調からして明らかに藤城たつきとは知り合いだと思えた。
だから藤城たつきが四国に引っ越しているというのを知らなかったという事は、藤城たつきは赤津にその事を告げていなかったという事になる。
つまり、引っ越しの為綺麗に片付けられた家を出てから直ぐ、何らかのトラブルに巻き込まれたに違いない。
夜逃げなどであれば、家を綺麗に片付けるなんて事はしないだろうから、そうなると藤城たつきは引っ越した後で赤津と連絡を取ろうと考えだのだろうか?
でも友達なら普通、引越しするその前に話す筈だ。
そんなような事をしばらく考えだけど僕の中にある違和感は拭えなかった。
もし四国へ引っ越しが決まっていたとするなら、仲の良いと思われる赤津に話さないわけがない。そう考えるとある事が頭を過った。
それは藤城一家はあの家で殺され、そして四国まで運ばれて埋められたのではないか?という事だった。
それが僕にはしっくりとする答えだった。であるなら、家の中は凄惨な殺害現場になっているだろうから、家の中が綺麗にされていてもおかしくはない。
そうだ。きっとそうに違いない。それならば赤津が藤城の行方を中学時代に転校したという箇所までしか知らない理由も納得がいった。
仮に藤城家が殺害現場だとしたら、隣家に悲鳴などは聞こえなかったのだろうか?聞こえていたなら、何かしら不思議がられてもおかしくない。
そこまで考えて、僕はあっ!と思った。ひょっとしたら、藤城家では言い争いなどが頻繁に起きていたのではないか?もしそうなら隣家が気にする事はしないだろう。
また、始まったよくらいにしか思わない筈だ。僕は来週、学校に行ったら、赤津に藤城家の事を聞いてみようと思った。
もし藤城家が仲良し家族であったなら、犯行は深夜寝静まった頃を狙われたという事になる。
にしてもどうして家族全員が殺されなければならなかったのか、それは今後の捜査によって明らかになるかも知れないけど、約、3年間の空白の時を埋められる捜査が警察に出来るとは僕には思えなかった。
そしてこのニュースを赤津がリアルタイムで聞いているかどうかはわからないけど、見ていたらきっとショックで立ち直れないかも知れない。
そんな時に友達だったと思われる家族の事を尋ねるのは気が引けるけど、それ以上に、僕は自分の好奇心を抑える事は出来そうになかった。




