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転生お嬢様の旅路 ~私は自由を謳歌する~  作者: 神藤彼方
第一章 イーグル王国編

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#05 決行

駄文・長文になります。

明日、閑話の投稿をもって連日更新は一旦終了します。




 はい、こんにちは。ナナミです。

ハルナと『隠密系特殊部隊』の構想を話し合いました。いやー、盛り上がりましたね。ホクホク顔でリビングに戻ると、セバスから再び念話が。この状況で来る念話なんて一つしかないですよねぇ…。



『ナナミ様…』


 セバスから念話を受けた私は立ち止まる。


『セバス、もしかして’’また?’’』

『…そのようです』



 私の様子を伺っていたアイナとエリスの瞳が細められる。夕食の用意をしていたキリエと他の拠点メイド達もだ。全員が’’察した’’のだろう。



「面倒くさいけど、一度部屋に戻るよ。キリエも同じように姿を消して付いて来て」

「かしこまりました!」

「アイナ、エリス。面倒だけど、行こっかぁ」

「承知いたしました。お嬢様、参りましょう」

「わかった。……本当に面倒」



 3人で拠点の出入口まで移動し、一緒について来たコタロウの頭を撫でる。


「コタロウはまたここで待っててね?」

「わぅ!」

「おりこうだねぇ」

 

 わしゃわしゃとコタロウを撫でた後、出入口を通って、公爵家の部屋に戻る。

既に夜なので、ノックの音がする部屋は当然真っ暗。エリスが部屋のランプを付け、アイナが部屋のドアへ向かう。キリエは姿を消して私の傍に控え、私は何食わぬ顔をして椅子に座った。


「どちら様でしょうか?」


 入口に居るアイナが再びドアの向こうに問いかけた。


「アイナ、私だ」

「今日は来客が多い日ですね。4年間放置していた癖にどの面下げてきたのでしょう?」


 目を細めるアイナがノックの主に対して辛辣に対応している。


「私は君達の雇い主なんだが?その態度は無礼じゃないかい?」

「私、専属侍女アイナと専属護衛エリスは、’’4年前’’からお給金を頂いておりません。したがって、あなたは’’主’’でも’’雇い主’’でも無いのですよ、’’公爵閣下’’。私の’’主’’はここに居るお嬢様だけです」

「私とアイナは4年前、一方的に給金を打ち切られた。今の私達は’’禄でもない家’’から’’お嬢を守る為’’に、ここに居るだけ」

「何だって!?…そんな報告は聞いて無いぞ……」


 動揺の声を出す男に対し、ドア越しのアイナは冷淡に口を開いた。


「公爵閣下、私は()()()()()()として、()()()()()()()をさせていただきます」


 ドア越しの問答を聞いていた私は、アイナに扉を開ける指示をハンドサインで伝える。もう面倒なので、私が直接言って撤退させましょう。

 

 ’’ガチャ’’……アイナが扉を開けるとそこには、顔を青ざめさせた男女と午前中に来たクソ執事が居た。公爵は何回か見たとは思うんだけど、あんまり顔を覚えていない。夫人の方は全く記憶に無い。

アイナとエリスは殺気をもう少し抑えてね。


「こんばんは、()()()()。失礼ですが、そちらは()()()()ですか? 不勉強で申し訳ございません。何分部屋から殆ど出た事も無く、()()()()()()()()()()()()なもので。それで、何の御用でしょうか?」


 嫌味たっぷりでご挨拶させていただいた。勿論、私の顔は無表情だ


「あ、ああ。ミネア、久しぶりだね。夕食を家族みんなでどうかと思ってね…」

「お断りいたします。()()()()()でお取り下さい。私の家族は、()()()()()()アイナとエリスだけですので」

「そ、そんな事言わないで…ね?…お姉ちゃんのクレアも待っているのよ?」

「…()()()()、何度も言わせないでいただけますか?私の家族はアイナとエリスだけです。私に()()()()と呼べる存在は居ません」


 どの面下げて言ってんだこの夫婦…イラッとしたのでちょっと軽めに殺気を出そう。無表情のまま雰囲気の変わった私に、顔を青ざめさせる公爵夫妻。アイナとエリスからも殺気を向けられ、慌てて引き下がる。


「……あ、明日、もう一度ゆっくり話そう。行こうレイシア」

「…はい、あなた……」


 公爵夫妻は顔を青ざめた執事を連れて部屋を退出して行った。

すぐに扉の鍵を閉め、拠点に戻る。



 拠点に戻ってコタロウと合流し、みんなでリビングに移動した。

今回は、セバスを筆頭に拠点使用人達全員集合させて、今後の動きを話す。



「もう無理だね。明日の夜明け頃に出奔しよう」

「お嬢様、どういう手段で行きますか?」

「もちろん、’’拠点移動’’で。セバス、移動速度の’’徒歩レベル’’ってどの程度なの?」

「そうですね…、()()()()()()の徒歩速度と変わらないレベルだと予想いたします」

「そっか。()()の徒歩レベルじゃなくて良かったよ。エリス、大人の徒歩で領都から出るのにどれ位かかる?」



 黙考するエリスは珍しい。なんか新鮮だ。

冒険者なら移動も多いだろうから聞いてみたんだけど。



「……30分あれば出られると思う。でも、お嬢の’’拠点移動’’は障害物関係無い?」

「関係無いみたいだよ」


 亜空間の中にある’’拠点’’に居ながら移動するからね。

エリスに答えつつ、セバスを見ると頷いている。


「なら、直線距離で済むから20分もあれば出られる」

「それで行こう」

「承知いたしました。私は一度、実家に連絡したいので公爵家のお部屋に戻りますね」

「あい」


 話が纏まった所で、アイナが辺境伯家に連絡する為、拠点を出ていく。アイナの連絡手段は、何とマジックアイテムを使った連絡だった! 手紙程度ならそのマジックアイテムを使って’’転送’’出来るんだって! ダンジョン産らしい。


 拠点では使用出来なかったので、外に出る必要があったみたい。何故使用出来なかったのかは知らない。魔法は使えるんだけどね。


 よし、夕食を食べてお風呂に入ったらすぐに寝なければ! 明日は早起きだ。コタロウを抱き枕にして寝る。おやすみー



 ◆◇◇



 お、おばようごじゃいます。 ナナミです…… 現在時刻、午前4時です…

コタロウはひっくりかえって寝ています…とても気もちよさそうです…


 寝起きでボーっとしてる私はきっと’’タヌキ顔’’なんだろうなぁ。毎朝起こしに来るキリエが、何となくニコニコしているよ。


 寝ぼけているとトントントンと階段を上がって来る音が聞こえます…


「ナナミ様、おはようございます。お時間になりました」


 うーん、やっぱりニコニコしてる。普段キリッっとしてるのに。


「ギリエェ…、おばようぅ…」

「アイナさんは既に起きております。ナナミ様も顔を洗って目を覚ましましょう」

「ふぁい…」


 寝ぼけ眼のまま3階にある洗面所に行って顔を洗う。コタロウはそのまま寝かせておく。時間的にもまだ眠いが、今日は’’とんずら’’するので頑張らなければ。


 あぁ、5歳である幼女の体が睡眠を欲している……


 何とか目を覚まして、キリエと一緒に1階のリビングへ向かう。

リビングには、既にメイド服を着たアイナが居て、いつも通りな状態だった。’’拠点内’’では、アイナはメイドの仕事をさせて貰えない。料理を手伝う事はあるけど。 ここには’’拠点メイド’’達が居るからね。朝に私を起こすのもキリエの仕事になっている。


「お嬢様、おはようございます。大丈夫ですか?」

「アイナおはよう。眠いけど、今日は頑張らないと」

「そうですね。今日はお嬢様には頑張っていただかないといけませんね」


 あ、そうだ。重要な事を言っておかなければ。


「アイナ、拠点動かしている間に、’’鶏肉が取れる場所’’をエリスに聞いておいて欲しい」

「鶏肉ですか?動物と魔獣どちらですか?」

「動物の方でも良いけど、出来れば魔石も欲しいから魔獣かなぁ」

「わかりました。移動中に聞いておきます」


 それと、アイナに公爵家の部屋へ手紙を置いてきて貰おう。昨日寝る前に書いておいたのだ。


「アイナぁ。度々ごめんね、この手紙を公爵家の部屋に置いてきて欲しい」

「はい。それは構いませんが、この手紙は一体?」

「’’自らが行った現実’’を突きつける内容の手紙」

「成程。承知いたしました」


 手紙を持ったアイナが出入口に向かう。


 私はリビングの端の方に移動し、『拠点移動』能力を発動する。

すると、目の前に光と共に操縦席のようなものが出現した。 こ、こりぇは……!!!

前世でよくプレイしていた某『フライトシューティング』ゲームのコクピット!!

そして、当時使用していた『フライトスティック』がシート左右にある肘置きに設置されているではありませんか!! これは、テンションMAXですよ!!!


「ふおぉぉぉぉぉぉぉ!、ふおぉぉぉぉぉぉ!!」

「お嬢様!? どうされましたか!!」


 拠点に戻って来たアイナが私の奇声に驚き駆け寄るが、既に免疫があるキリエが声を掛ける。


「アイナさん、大丈夫です。ナナミ様が初めてカップ麺を食べた時も、この様な感じでした」

「…あぁ、成程。理解しました」


 ごめんね、ちょっとテンション振り切れただけだから。


 でも仕方ないのだ。大好きなゲームの『コクピット』が再現されていたからね。だが、’’拠点移動’’は『徒歩』レベルなのに、操縦が『フライトスティック』とはこれ如何に。そもそも’’拠点’’は『飛ばない』よ? ……飛ばないよね?


 いや、『ランニングマシーン』で移動とかじゃ無くて良かったけど。


 まぁいいか。私は、いそいそとコクピットに滑り込む。

するとコクピットが60cm程浮かび上がり、目の前のパネルが点灯した。次に、正面スクリーンを起点に巨大な『膜』がコクピットを覆う様に展開される。『膜』全体がスクリーンとなり、そこに映し出された映像は、公爵家の部屋上下左右360度の視界だった。


 こ、こりぇは!! 某ロボアニメでよく見た『全天周囲モニター』なのでは!? 『ロボットの操縦』じゃなくて、『拠点の操縦』という何とも言えない状況だけど…。


 気を取り直して、左手にある’’スロットルレバー’’を前に押しこむ様にゆっくり動かす。


「お、おぉ~! 動く、動くぞ!!」


 スクリーンを見てると前進しているのがわかる。私は右手の’’メインスティック’’を倒して方向転換した。視界は窓側を正面に捉え、そのまま壁を『貫通』するように進んで行く。


「あ、私の部屋2階って聞いたけど、これ落ちたらどうなるんだろう?」


 何となく落ちても大丈夫な気がしたので、そのまま進む。


「わっ、おっ落ちる~!…って、やっぱり大丈夫だった! …確か、エリスが言ってた’’最短距離’’はこの方角…」



 正面スクリーン上部に方位が表示されているので、それを頼りに進んで行く。スロットルを最大速度にして、そのままスロットルレバーを固定した。


「後は真っすぐ進むだけだから、このまま放置でも大丈夫そう」


 そんな事を言っていたら、目の前のパネルに『オートクルーズ』と言うアイコンが点滅していた。


「オートクルーズ機能あるの!?これは便利だ。早速使おう!」


 ’’オートクルーズ’’アイコンをタップし、スクリーンに映る領都の街並みを眺めていると、『くぅ~』とお腹が鳴った。


「お腹すいた……、一旦食べ物取りに行きたいけど、動かしたままコクピットから降りられるのかな?」


 シートから顔を出しコクピット周囲を確認すると、シート横から階段が出ていてそのまま降りる事が出来た。 私がコクピットの『膜』から出てくると、アイナとエリスがこちらに駆け寄って来た。 視線でコタロウを探してみると、朝ごはんをがっついていて平常運転だったよ。


「お嬢様、大丈夫でしたか?」

「うん。大丈夫。今は自動操縦になってる」

「え?もう外を移動しているのですか?」

「お嬢、私も動かしてみたい!」

「公爵家を出て領都を移動中だよ。エリス、私のスキル能力だから無理だよ。この’’移動能力’’は拠点使用人達でも’’干渉出来ない’’よ」


 ’’拠点スキル’’が教えてくれるから解るのだ。

2人に外の状況が解る様に、『外部監視スクリーン』を表示させておく。


「おお!ホントに外に出ている。これは便利!」

「誰にも気づかれず移動する拠点…。こうして見せられると、お嬢様のスキルは恐ろしいですね…」

「’’私専用’’に’’スキルを作ってくれた’’アスライア様’’のお蔭だけどね……。でも、お蔭で私は何の憂いも無く自由に生きていけるよ」


 本日の朝食は手軽に食べられるように、サラダと目玉焼きが乗ったトースト、お供はコーヒー牛乳だ!オートクルーズ中なので、みんなで外部スクリーンを眺めながら朝食を摂る。


「お嬢、アイナから聞いたけど、鳥の魔獣は領都から南西に進んだ森に居るぞ」

「その森は領都からどれ位かかるの?」

「んー。この速度だと30分位だと思う」

「じゃあ、領都を出たらそのまま向かおう。鶏肉が欲しい!」

「お嬢様、冒険者登録はどうされますか?」


 あー、それもあったね。もちろん公爵領で登録するのは論外だけど。うーん… それなら、アイナの実家でもある辺境伯領の領都で登録しよう。


「冒険者登録は、辺境伯領の領都でするよ」

「うちの実家ですか?確かに融通効きますし、その方がいいですね。一度、辺境伯である父とも会って欲しかったですし」

「辺境伯領は久々。楽しみ」

「私が登録する時、キリエも一緒に登録してね」

「ナナミ様、私も登録するのですか?」

「キリエは’’外’’でも私と一緒に居るから、その方が良いよ」


 冒険者登録後も一緒に行動するなら登録しておいた方が良いと思う。だからと言って、別に冒険者メインで活動するつもりは微塵も無いけどね。


「確かにその方が良いですね。お嬢様と一緒にキリエさんも登録しましょう」

「うむ。国や街の出入りで身分証が必要になる。ギルドカードは身分証にもなるからその方が良い。それに、冒険者以外はダンジョンに入れない」

「’’拠点移動’’を使えば密入国やダンジョン侵入は簡単だけど、問題が発覚した時に面倒になるからね。キリエも登録してね」

「かしこまりました」



 よし、まずは領都を出たら森に行って鶏肉をゲットだ! その後は、辺境伯領へ行って冒険者登録だね。そこで他国の情報を集めて次の目的地を決めよう。




 ◆◆◇



 

 領都を脱出し、進路を南西に向けて進む事30分弱。私達一行は目的地である。「大鳥の森」に到着した。「大鳥の森」は、森を住処にしている鳥の魔獣が多い事で有名な森なんだってさ。コクピットで’’オートクルーズ’’を解除し、マニュアル操作で目立たない場所に移動する。


 大木が複数倒れて死角になっている場所で’’拠点’’を停止させた。

コクピットから降りて、そのまま皆と家の外に出る。

 

 私・アイナ・エリス・キリエ・コタロウの4人と一匹で外に出て、森の空気を肺に取り込む。初めて見る異世界の森を、まじまじと見渡す。なんか地球よりも木が太くない? 太い木に囲まれてると圧迫感が凄い。…あっ、見た事無い鳥が飛んでる…

 

「ほぇ~。ここが異世界の森かぁ~」

「お嬢様久々の’’タヌキ顔’’……やはり可愛いですね…」


 転生してからずっと籠の鳥だったので、なんか不思議な感覚だ。思わずボーっと眺めてしまう…


「ナナミ様、準備出来ました」

「お嬢、ホントに大丈夫?」

「…ハッ、だ、大丈夫! 私とキリエとコタロウでやるよ!ちょっと待ってね」


 そうなのだ。今回の「狩り」は私達だけで行うのだ!でも、その前に’’無属性’’の『探知魔法』を使う。本来、自分を中心に魔力を薄く’’平面状’’に広げていって、引っかかった生物の『魔力』を捉える魔法なのだが、私の場合は、自分を中心に’’球体状’’に広げる様にしている。空中や地下の反応も捉えられるからね。


 念の為、何かあった時の保険としてアイナとエリスが控えている。


 キリエは、拠点メイド’’隠密特殊部隊’’で採用予定の『武装』を装備している。そう、2丁拳銃にスナイパーライフルだ! 拳銃のサプレッサーは、使用時に脱着するようにした。


 何故使用時に脱着するようにしたかと言うと、サプレッサーを装着したままだと、’’伸びた銃口’’が邪魔で、『太腿のホルスターベルト』にしまうのが大変になるからだ!! やっぱり、’’スマート’’にしまって欲しいからね。ロマンです!


 緊急時はサプレッサー無しで発砲する事になるのは止む無し。まぁ、キリエには棒手裏剣もあるし。 スナイパーライフルはロングサプレッサー付きで、通常のスコープと暗視スコープを付け替える仕様にした。


 前世で、暗視スコープは’’光増式’’とか’’赤外線式’’とかあったけど、こっちだと言うなれば『魔法式』だ。 生き物は強弱あれど、皆’’魔力’’を持っているので、それを表示させる方式だよ。 ’’探知魔法の応用’’で、私が無属性魔法を’’魔法付与’’した。この世界の魔法便利過ぎる!イメージ最高!! この世界の魔法の仕様は、地球の現代人にとっては天国だと思う。



 もちろんここに居る全員、『双眼鏡と暗視スコープ』を所持している。今頃拠点では、私が土魔法で作成した『射撃場』でメイド達が射撃練習に勤しんでいるでしょう。


 キリエはスナイパーライフルを肩に掛け、双眼鏡を片手に持つ。勿論メイド服のスカートの中は、両太腿にホルスターベルトを装着している。そこに収まっている拳銃と、数本の棒手裏剣は出番を静かに待っていた。


 両腕の服の下には、専用ホルスターに収まったミスリル製サバイバルナイフが装着されていて、腰のマジックポーチには煙玉や各種マガジンとその他装備が眠っている。 拠点の使用人全員に、ポーチ型のマジックバッグを支給したのだ。付与内容はアイナ達と同じ。


 ミスリル製サバイバルナイフを作り、銃の発射機構に火の魔法石を組み込んだ影響で、’’機構部分’’も’’ミスリル’’で作る事になってしまった。結果、ミスリルの在庫がお亡くなりになりました。それもあって、メイド達『全員分の銃』はまだ用意出来ていないんだよね。


 未所持の拠点メイド達に持たせる分も考えると、それなりに確保しておきたい。エリスに案内して貰って採掘しに行かないとダメだね。…鉄のインゴットはまだあるから大丈夫かな。


 キリエは拠点の隠密特殊部隊メイドなので、『暗視ゴーグル』も持たせている。『暗視スコープ』の方は主にライフル用で、『ゴーグル』の方は暗闇での中・近距離戦闘用だ。

 私とアイナとエリスが持っている『暗視スコープ』は、夜の索敵時に双眼鏡の替わりとして使う為だよ。……能力的にアイナにも『ゴーグル』を渡そうと思ったけど、’’夜目が効くから要らない’’ってさ。凄いね。


「じゃあ、コタロウは自由に狩りに行っていいからね。あ、人に見つからない様にね!」

「わぅわぅっ!!!」

「じゃあ、キリエ行こう」

「かしこまりました。ナナミ様」


 コタロウを野に放ち、私とキリエが先頭になり森の中を進む。アイナとエリスは後方から付いて来る。


「この辺で良いかな?もう一度、探知魔法を使うね…」



「…おっ、あっちに二足歩行のダチョウみたいな形の反応が2つある」


 キリエや後ろの2人が双眼鏡を使い、私が指した方を見ている。


「…確認しました。ナナミ様の記憶にある’’ダチョウ’’に酷似している生き物が居ますね」

「あぁ、あれは’’ダドリー’’ですね。飛べないのですが、足が速くて蹴りの威力が凄い魔物です」


 アイナが補足説明をしてくれる。うん、ダチョウっぽいな。


「スナイパーライフルの精度も確認したいし、最初はキリエにお願いしようかな」

「かしこまりました!」


 キリエは返事と共に近くの大きな岩へ跳躍し、体を伏せ、バイポッドを展開した状態で狙撃態勢に入る。


「参ります!」


 『『ドンッ!』』と重低音の発砲音を響かせ、キリエはすぐにコッキングをする。…様になっててかっこいい。 すぐに2射目が発砲された。思ってた以上に煩い。サプレッサー装備でもこんなに音がするのか。うーん、魔法付与を使って何とか対策を考えよう。


 皆で成果を確認しに行くと、見事に『頭が無くなっている』でっかいダドリー(ダチョウ)が2羽いた。成果を見て引き攣りつつ、キリエの狙撃の腕に感心した。忘れずにダドリーをストレージに回収する。(あれ?これ対物ライフルじゃないよ?……威力高すぎない?)



 気を取り直して、今度は私の番だ! 頑張るぞー!

私は再び’’探知魔法’’を使う。…お?ここに向かってくる集団?が居るね。


「なんか、あっちからここに向かってきてる塊がいるんだけど……」

「何でしょうか? 私の狙撃音に反応してしまったのでしょうか?」


 私とキリエは双眼鏡を使い確認すると、ダドリーの集団がこちらに砂煙を出しながら走って来ていた。


「!? ナナミ様、ここは私が2丁拳銃の性能確認も兼ねて、処理しても宜しいでしょうか?」


 キリエはキラキラした瞳で提案してくるけど、それは却下。


「ダメ。次は私がやる番」


 私は、ダドリーの集団が来る方向に手を翳す。森に被害を出さずにまとめて倒す方法……うーん、空間属性が安定かなぁ。目視出来る距離だしそろそろかな…


「空間断裂」


 こちらに向かって走っていたダドリーの集団が、一瞬、首を中心として空間が’’ズレた’’ように見えた。私の魔法を受けたダドリーの集団は一斉に前のめりになり、そのままヘッドスライディングの様に倒れ込む。空間属性の『攻撃魔法』を初めて見たアイナとエリスはポカンとしている。


「うん。これが一番楽で早いね」

「ナナミ様、お見事です」


 確認に行くと20羽の集団で、全て’’首から上が鋭利な刃物で切り取られた’’ように、綺麗に『切断』されていた。切断された頭部はあちこちに転がっている。


「お嬢、エグいよ…」

「お嬢様、お見事ですが、空間魔法とは恐ろしいものなのですね…」

「そうだね。でも空間属性は、攻撃・防御・生活系とそれぞれに使える魔法があって、便利なんだよね。まぁ、開発した攻撃魔法は中々エグかったけど」

「…お嬢以外の使い手がいなくて本当に良かったと思う」


 20羽のダドリーもストレージに回収し、散策を再開した。「大鳥の森」はそれなりに広い森で、迷う冒険者も居るみたい。鶏肉と魔石を最低限確保したので、何となく気の向くまま歩いていると、開けた場所に出た。


 中央には泉があり、周りに牛のような生き物が水を飲んでいた。私達は来た道を少し戻り、茂みの中に身を潜める。


「…鳥以外にも居るんだね…」

「私達の様に、鳥を狙う他の生き物も居る」

「あー、確かにそれはそうだよね」


 エリスのもっともな説明に納得した。


「お嬢様、あれは’’エクリプス’’と言う牛型の魔獣です。そこまで機敏ではありませんが、角を使った突進を警戒して下さい」

「あい。じゃあ、キリエに2丁拳銃の性能確認も兼ねて討伐して貰おうかな?」


 キリエは嬉しそうに頷いている。


「ナナミ様、ありがとうございます!」


 キリエはスナイパーライフルをマジックポーチにしまい、メイドスカートの両サイドをたくし上げ、2丁の拳銃を引き抜いた。 サプレッサーを取り付け、拳銃の状態を確認したキリエは姿を消す。拠点スキルの’’出入口’’と同じ様に姿を消す事が出来るのだ。


 勿論、’’拠点の使用人全員の標準スキル’’だ。


 こちらに一切気づかず、集まって草を食んでいる『エクリプス』5頭の視界が急に白く塗りつぶされる。その直後、’’小さな発砲音’’が5回鳴り、エクリプスの鳴き声が聞こえた。煙玉特有の白い煙が晴れると、そこには眉間を撃ち抜かれて横たわるエクリプス5頭が居た。


 キリエは拳銃を既にしまっていて、こちらに頭を下げている。……なにそれかっこいい。

私は笑みを浮かべ、キリエを見た。


「キリエ、’’銃’’の動作はどうだった?」

「ナナミ様、魔物相手も威力・精度共に問題ございません! 魔法石の魔力が切れた場合は『魔剣』の様に、’’任意’’で使用者から’’魔力を吸い上げる’’仕様で良いと思います。戦闘中に’’弾の再装填’’と’’魔法石の交換’’が必要となると、致命的な隙になりかねますので」

「やっぱりかぁ。そこは悩んでたんだよね。なら、このままの仕様でいいか」


 銃を作るにあたって魔法石交換の有無が課題だったので、エリスに許可を貰い、ハルナに『魔剣』を調べて貰った。その結果、’’魔法石’’が『使用者の魔力を吸い上げる仕組み』が分かったので、それを銃に応用したんだよね。


 魔法石の魔力が無くなったからって、勝手に使用者の魔力を吸われても困るからね。『魔剣』みたいに’’任意’’に出来る様にするのは苦労したよ……主にハルナが。いや、私も手伝ったよ!


 ただ、これには条件があって、『魔法石』を『固定』する必要があるんだよね。


 この仕組みを採用出来た理由なんだけど、『銃』は火属性の魔法石()()を使う仕組みだったから。 エリスにプレゼントしたクロスボウは、『属性魔法石取り外し』による『属性切り替え』が’’肝’’だからこの方法は使えない。しかし、ハルナと一緒に『地球の武器を再現』するのは面白かったなー。


 概ね満足な出来ではあるんだけど、一点だけ気になる所がある。

それは、『銃』から『弾』が発射される時、何故か、『銃口に小さな魔法陣』が出てしまうんだよね… ハルナと原因を考えた結果、私が作った’’魔法石’’の影響じゃないか?と言う結論に至った。


 でも、エリスのクロスボウも私の’’魔法石’’を使っているけど、そんなの一切出ないんだよね……謎だ。自分達で作ったのに、解らない仕様があるのは気持ち悪いので、ハルナと一緒に解明したいと思います。


 その後、満足いくまで鶏肉と偶に遭遇するボーナス(牛肉)を狩り、私とキリエが満足した後は、アイナとエリスが暴れ回って我が家の肉の仕入れに終わりを告げた…。


 すっかり忘れていたコタロウは、エクリプス(牛肉)を10頭狩っていた。ストレス発散出来て満足なのか、尻尾をブンブンしてご機嫌でした。










お読みいただきありがとうございます。

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