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転生お嬢様の旅路 ~私は自由を謳歌する~  作者: 神藤彼方
第一章 イーグル王国編

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2/6

#02 既視感ある環境とスキル

駄文・長文になります。

お時間に余裕の無い方はご注意下さい。 #05までは連日同じ時間に投稿します。

11/09 文章の整理をしました。




 う~ん、なんか騒がしいなぁ。

私はゆっくりと目を開けた。そこに映るのは高い天井だ。周りをゆっくりと見渡すと、私が居るのはとても広い部屋だと言う事がわかる。何やら、部屋の入口でメイド服?あっ、あれメイド喫茶とかで見た事あるやつだ!そのメイド服を着た人が何やら黒いスーツを着た50代くらいの人に怒っている。



 …ふむふむ、何やら「お嬢様の待遇が酷い」とか聞こえる…大変だなぁ。

ん?? よく見ると、自分の視界がおかしい事に気づく。なんか、全体的に周りが()()()感じる。人や部屋に置いてある物全部が。


 ふと、自分の手をみてみる。



「あぅあぅあぁーー!(『待遇酷いお嬢様』って私かぁー!)」



 転生の事をすっかり忘れていた私は驚愕と共に再び意識が薄れていった……



 ◆◇◇



 はい、どうもこんにちは。私です。2歳半になりました。

2歳の誕生日前日くらいから、父親だと思われる人間は、私の部屋に来なくなりました。母親だと思われる人間と、使用人達を見た記憶はありません(アイナとエリス除く)。


 この流れは前世と同じく育児放棄かなぁ……。幸にも’’専属侍女’’であるアイナと、アイナが連れてきた’’専属護衛’’のエリスが傍に居るので、前世よりはマシになってます。

 ただ、アスライア様の懸念が当たってしまった様で残念です。私もあの人達の事を『家族』とは思わない事にしたので、これからの事を考えないといけません。あぁ、アイナとエリス以外にもう1匹?1頭?仲間が居ます。



「こちゃろう~」



 私が呼ぶと、部屋の巡回をしていた友人兼ペットのコタロウが尻尾を振りながらやって来ます。



「わぅわぅ。ハッハッハッ」

「おりこうだにぇ~」



 私はコタロウの頭をよしよしと撫でます。今日もかわいい。見た目は完全にサモ〇ドだ。コタロウは’’犬の神獣’’で、私の2歳の誕生日に朝起きたら隣で寝てました。びっくりして、コタロウを’’神眼’’で見てみたら、ステータスの備考欄に’’2歳の誕生日おめでとう。育児放棄の気配があったので、護衛として私の眷属である犬の神獣を送ります’’と書いてあった。  ……私は’’タヌキ顔’’になった。因みに、コタロウはまだ子犬らしい。



「おや?お嬢様、おはようございます。今日はお早いですね」

「お嬢、おはよう」

「あいな、えりす、おはよぉ~」



 専属侍女のアイナ(20歳)と専属護衛のエリス(??歳。見た目は24歳くらい)が隣の専属侍女待機部屋からやって来た。黒髪で赤い瞳のアイナは家名持ちで、『アイナ・ヴォルフ』と言う。この国の西を守っている『辺境伯家の次女』だ。 何で『辺境伯家の次女』が、こんな所で侍女をしているのかは知らない。生まれた当初、黒スーツに突っかかっていたのはアイナだった。あの時の黒スーツは執事との事。



「お嬢、顔洗って着替えたら朝食にしよう」



 私を『お嬢』と呼ぶのは、アイナが『外部』から連れてきた専属護衛のエリスだ。エリスはアイナの実家である西の辺境伯領で冒険者をしてたみたい。

 なんと、女性では珍しい『Aランク冒険者』だったそうだ。凄い!まだそんなに上手く会話が出来ないから、詳しい事は知らないけど、アイナは良く引っ張ってこれたなぁ。

 因みに、エリスは『エルフ』だ! あの耳がとんがったエルフですよ!エルフ!! 年齢は不明です。

勿論、耳をいっぱい触らせて貰った。 むふーっ!!



 ここで私の事を話そう。まず、私が生まれたこの国は『イーグル王国』と言う国なんだって。私が転生したこの家は、『ベルクト公爵家』と言う貴族。私は『ミネア・ベルクト』と言うらしい。アイナから聞いた。

 それと、見た事無いが、どうやら『クレア・ベルクト』と言う姉が居るらしい。アイナから聞いた。’’公爵家当主’’である男は『アレク・ベルクト』と言い、その妻である女は『レイシア・ベルクト』と言うらしい。アイナから聞いた。


 アイナは何でも知っている。


 ’’公爵夫人’’は私にお乳をあげていたけれど、乳離れした途端、部屋に来なくなったんだってさ……乳飲み子の頃の記憶って、’’アイナが執事に食って掛かってた’’あの日以降、記憶に無いんだよね。1歳の終わり頃あたりからはしっかり覚えているけど。


 何でも、『病弱な姉に両親と使用人一同かかりきり』との事。アイナが般若みたいな顔をしながら教えてくれた。 病弱と言っても別に命に係わるとかでは無いんだってさ。


 やはり、アイナは何でも知っている。いや、侍女なら当たり前の情報だろうけど…


 一応、私の両親らしいけど、育児放棄された時点で親だとは思ってない。父?母?姉?私にそんなものは居ない。私の家族は、アイナとエリスとコタロウだけだ。



 この家を出る事はもう確定しているが、今はまだ上手く喋る事が出来ないので、もう少し我慢だ。

育児放棄された時点で私は『ミネア・ベルクト』では無い。馴染みある名前の『ナナミ』として生きていく。


 もう少し喋れるようになったら、出奔の準備と色々貰ったスキルの確認と鍛錬だ。この公爵家にいつまで居られるかわからないし、しっかり計画を立てなければ。


 この状況だと、アスライア様から貰った’’拠点スキル’’は最優先で確認とレベル上げした方が良いかも…。




 ◆◆◇



 はい、こんにちは。現在3歳半です。 あれから1年、ある程度喋れる様になりました。その間、やはり’’1度も’’公爵夫妻や使用人達は来ませんでした。前世と同じで既視感ある環境です。


 3歳過ぎたあたりから、’’拠点スキル内’’で魔法関連の鍛錬も粛々と進めています。自我がはっきりした1歳の終わり頃から’’魔力の循環’’は欠かさずやって来たので、魔力に関しては結構自信があります。

 え?魔力が多くなっただけだろうって? そんな訳無いじゃないですかー。3歳になった現在ではしっかり’’ぶっ放して’’ますよ。



 半年前にある程度喋れる様になったので、私の前世の事や異世界転生の事をアイナとエリスには話しました。当然、半信半疑だったので、証拠として’’拠点スキル’’を発動して我が家にご招待しました。

 …我が家と言っても、亜空間内にはまだ建物が無いけど。亜空間内には既に専属サポートメイド10名と取り纏めの執事1名が居たので、彼らに説明して貰いました。


 流石に見た事も無いスキルで、その内部にメイドと執事が居ると言うぶっ飛んだ能力を目の当たりにし、彼らから説明を受けて漸く信じて貰えました。



 魔法は、まだ何もない’’亜空間内’’でぶっ放して、たくさん練習しましたよ。他に練習できる場所なんて無いし。『現地の人』は知らないが、魔法は『イメージ』だから私にとっては割と簡単だった。これって、属性と言う’’枷’’はあるけど、ある意味『創造魔法』だよね。魔法楽しい。


 あと、’’武術’’方面は’’肉体的に厳しい’’ので、まだ鍛錬出来てないよ。


「しかし、お嬢様が異世界からの転生者だったとは……驚きました」

「なかみはおとなで、あいなよりもとしうえよ! ふふん!」

「…威張ってるお嬢様もかわいい……」



 胸を張りつつ得意げになっていますが、やっぱり肉体年齢に引っ張られるのかな?どうしても喋ると子供っぽくなってしまう。いや、今は立派な3歳児ですが。



「お嬢の’’拠点スキル’’凄かった。亜空間に入れて、そこに’’メイドと執事が居る’’スキルとか訳が分からなくて面白い」

「ふふん!」



 エリスは亜空間内でずっと興奮してた。あんなにテンション高いエリスは初めて見たよ。やっぱ、エルフは長生きだから目新しい事とか好きなのかな?

 エルフは、長く生きると「周りの物事に飽きて達観する様になってくる」ってエリス自身が言ってたし。 それもあって、旅をしながら世界各地を放浪するエルフはそこそこ居るみたい。



「お嬢様、お嬢様がこの家を出奔する事は賛成です。ですが出奔した後はどうなさるおつもりですか?」

「このせかいをまわるたびをします。わたしのスキルがあれば、どこでもすごせるので」

「成程。では、出奔の為の準備をしないといけませんね」

「私とアイナで食料品以外の物資を少しずつ集める。その間、お嬢は拠点スキルのレベルを上げると良い」

「そうですね。食料品は傷んでしまうし、出奔直前でいいでしょう」

「えっ!? ふたりとも わたしといっしょにきてくれるの?」



 2人とも私と一緒に来てくれるの!?

拠点スキルにメイド達と執事がいるから淋しくないけど、2人が来てくれるのは嬉しい。私にとってアイナとエリスは唯一の家族だからね。勿論、コタロウもね。



「はぁ、驚いて’’タヌキみたいなお顔’’をしているお嬢様も可愛い…」


 ……現地人であるアイナが言うって事は、この世界にもタヌキは生息してるんだね……


「私達はお嬢について行く。お嬢のような幼子を放置するこの家は嫌い。この国の’’()()’’にも反する」

「こくぜ?」



 この国の’’国是’’ってなんだろう。

いや、’’国是’’の意味は解るけど。



「お嬢様、この’’イーグル王国’’の国是は’’子は国の未来を担う宝’’と言い、()()()()()()()()のです」

「わたし いくじほうき されてるよ? こうしゃくけなのに」


 自分が思っていた事を話すと、エリスが目を鋭くして口を開いた。


「お嬢、この公爵家は腐ってる。今すぐ爵位を国に返還すべき所業」


 エリスの発言を受けて、アイナも目を鋭くする。


「私の実家である’’辺境伯家’’には手紙で現状を伝えてあります。最悪の場合、’’()()()()’’にも出れますのでご安心下さい」

「あい。ふたりともありがと。いまはぎりぎりまでじゅんびをしましょ」


 アイナとエリスが思った以上に怒っているのが分かった私は2人を宥めた。いや、この家を出るのは確定しているが。


「承知いたしました」「わかった」

「お嬢様、私達が外出したらお部屋に鍵をかけて下さいね」

「あい」



 スキル上げもそうだけど、3歳の体力じゃ厳しいからせめて5歳くらいを目途に出奔したいな。状況が悪化した場合は、アイナの実家を頼ってすぐにでも出奔するけど。


 じゃあ、私は室内に’’拠点の入口’’となる’’亜空間’’を展開しておこうかな?2人以外の人なんて来ないし。仮に人が来たとしても、’’私が認めた相手’’しか出入口は見えないし、そもそも触れられない上に入れないから問題ないね。


 アイナとエリスは早速、物資集めに向かった。2人共居なくなったけど、私には拠点スキルがあるから大丈夫だ。


 私は無言で部屋の端にある何もない場所に手をかざす。すると、目の前に『()()()()()()()()』ような白い入口が現れる。コタロウと一緒に中に入ると、執事を筆頭にサポートメイド達が待っていた。



「ナナミ様お帰りなさいませ。お待ちしておりました」

「せばす ただいまー」

「「「「「ナナミ様おかえりなさいませ」」」」」

「みんな、ただいまー」

「わぅ、わぁぅ!!」



 一緒に居たコタロウが、メイド達に駆け出して甘えている。

私の’’スキルの一部’’でもある’’使用人’’達に親近感があるのだろう。


 メイド達と戯れているコタロウは放置して、自分のやるべき事を考える。


 …執事の名前は『セバス』と付けた。やっぱり執事と言えば、セバス又はセバスチャンだよねー。メイド達は多すぎるので、おいおいどうするか考えよう。

 ’’拠点スキル’’は使用していればレベルが上がるので、この中で過ごしていれば熟練度が溜まってレベルがあがる。便利で良いね。 


 …流石に何も無いのは拠点として心許ないので、今日は『お家』を建てよう。建造物は正確なイメージを元に作成されるので、どうしようかなぁ?



「うーん、’’ぜんせ’’で いったことのある ’’もでるるーむ’’ を つくろうかな」



 就活をしていた頃、面接の時間まで近くにあったモデルルームを見学して時間を潰してたのを思い出す。広いリビングのある三階建ての豪邸を間取りも含めてしっかりイメージする。

 すると、目の前の地面から建物の外壁がせり上がり、光りだす。光が収まるとそこには、イメージした通りのモデルルームで見た一戸建てがあった。



「ふぉぉぉぉぉー! しゅごい!!」



 両手を握りしめた私の興奮は天元突破し、さっそく皆を連れて中に入る。1階は広いリビングルームとこれまた広い対面キッチン、お風呂とトイレと個室サウナもあるのだ!


 それ以外は4部屋あり、その内3部屋が6畳程で、残りの1部屋が12畳程ある。2階と3階はほぼ同じ作りで、5部屋あり1部屋あたりの広さが1階よりも広めだ。そして、トイレはもちろんシャワー室が設置されている。屋上も広くて、家庭菜園も出来そうだね。


 家具類は備え付けてあり、ベッドにはちゃんと布団と枕もあった。


 キッチンやトイレ・バスルームも確認したが、一通りの調理器具と食器や備品も揃っていた。’’モデルルーム’’の時に家具や食器類・備品類は一通りあったので、それも再現されたみたいだね。テレビも置いてあるけど映らないんだよねぇ。こっちは『娯楽』が少ないから見たかったなぁ。’’備品’’についてはセバスに確認したんだけど、無くなっても’’自動で補充’’されるそうだ。なにそれ、永久機関じゃないですか!


 ただし、そのまま外の世界に持ち出す事は不可との事。


 でも、キッチンには調味料の類は一切無い……

確か’’モデルルーム’’の時は、調味料類も置いてあったはずなんだよね…。



 うーん、まぁ今でも十分凄いし気にしないでおこう。



「ナナミ様、’’お屋敷’’の管理は私共にお任せください。設備の使い方等、理解しておりますので」

「あい。せばす、おねがいね」



 何となくだけど、2020年代の日本の’’近代家屋’’を’’屋敷’’って呼ぶのは抵抗あるなぁ。江戸時代とかの豪邸だったり、中世時代からある洋館とかを’’屋敷’’と言うのは分かるけど。まぁ、細かい事は良いか。



 私は、執事であるセバスにサポートメイド5名を割り当て、残り5名のメイドを引き連れて家の外に出る。



「みんな、いまからはたけ を つくりたいです」

「畑ですか?では、先程のお屋敷と同じ要領でイメージ浮かべて作成なさって下さい。その後、畑の脇にある箱に手を翳して植える種をイメージすれば完成です。水やり等の管理はお任せ下さい!」

「あい」



 サポートメイドに言われた通りに、畑をイメージする。大きさはどれ位にしようかな。セバスやメイド達が食事するのか分からないけど、家の倍くらいのサイズでいいか。


 すると目の前に広大な畑が出来た。おお!



「なにをうえようかなぁ」



 私は意識を自分の内に向け、自分のステータスを確認する。スキル欄にある’’拠点’’スキルの詳細を表示させ確認した。



「ふむふむ……」



 今のスキルレベルはまだ1だ。3歳から使い始めて半年、どの位でレベルあがるのだろう?アスライア様は、最大レベル5まで上げるのは大変とは言ってたけど。


 レベル1で作れる種は、「ジャガイモの種芋・白菜・大根・ほうれん草・キャベツ・人参・レタス・長ネギ・玉ねぎ・きゅうり・ナス・小麦」か。ジャガイモと小麦は主食になるだろうし多めに作って、他も満遍なく作成しようかな。


 出来上がったら、私の空間魔法・’’ストレージ’’が火を噴くぜ!


 私は、畑の作成時に備え付けられた大きな箱に、手を翳してイメージする。そこには種芋を入れ、残りの小さな箱には各種野菜の種をイメージで作成しながら入れた。

 ふむ、魔力をそこまで取られる感じはしないね。ずっと’’魔力ぐるぐる’’してて良かった!メイド達に箱を指さしながら伝える。因みに、手を翳すと脳内に該当する種のイメージが浮かぶのだ。



「これが たねいも と たね」

「ナナミ様、栽培は私共にお任せください!」

「あい、おねがいします」



 サポートメイド達の中で、唯一キリッっとした表情をしているメイドが代表して栽培を名乗り出てくれた。メイド達は、顔や髪色、髪型はそれぞれ違うのだが、このメイドだけは何と言うか雰囲気が違う。10人居るメイド達の中で、このメイドだけは瞳の色が’’金色’’だ。


 サポートメイド達のメイド長ポジションなのかな?


 スキルが教えてくれるのだが、一度植えた物は収穫しても勝手にまた育つそうだ。これは見事な’’永久機関’’である。どのくらいで育つかわからないけど。別の作物にする場合は一度、その品種を『デリート』すればまた植え直せるみたい。



 私は、畑をメイド達に任せて我が家へ入る。どうしても確認したい事があったのだ!!靴を脱いで家の玄関を通り過ぎ、真っすぐキッチンへ向かう。何にしようかなぁ! やっぱり最初は王道のシンプルな奴で行こう!!



「イメージ…イメージ… (カップ〇ードル)」



 私はメイドが持ってきてくれた踏み台に乗ってキッチンに立っている。調理台に手を翳しながら今までに無いくらい真剣にイメージした。私は、’’カッ’’っと目を見開いて、魔法の言葉を叫ぶ!


「カップ〇ードル!!!」


 すると光の塊が現れ、輝きが薄れていくと、そこにはカップ〇ードルが鎮座していた。うーん、全く魔力が減った感じがしない。いや、少しは減っているのだろうけど。


 当然ながら、目に飛び込んだ懐かしの容器を見た瞬間、私の感情は振り切れてしまった。両手を握りしめ、私は叫ぶ。



「ふぉぉぉぉぉぉ!!! ふぉぉぉぉぉっ!!!」

「ナナミ様、お湯をお持ちしました」



 興奮もさながら、振り返るとそこには先程のキリッっとしたメイドが居た。手には電気ケトルを持っている。有能メイド……


「ありがとー」


 速攻で蓋を半分まで剥がし、お湯を入れる。はぁ~、楽しみ。


「はやく 3ぷん たたないかなぁ~」


 それと今更だが、この世界の’’単位’’は’’日本と同じ’’みたい。長さや時間の単位だったり、速度や重さの単位だったり。……この感じで行くなら、歴代の’’異世界転生者’’は皆日本人なんだろうか。


 色々思考しつつ、調理台に頬杖をついて今か今かと待ち続ける事、3分。蓋を剥がすと、今となっては懐かしさを感じるあの香りが鼻をくすぐる。


 手の小さい私の為にメイドがフォークを用意してくれた。貰ったフォークで麺を掬い、ふぅふぅして啜る。


 あ~、この味だ。懐かしいなぁ……


「ふぉいしぃーーー!!(おいしいー!!)」


 ひと口食べる度に、前世の事を思い出してしまって涙が出てくる…


「ナナミ様、日本の事を思い出しましたか?どうか泣かないで下さい」


 キリッっとしたメイドがハンカチを差し出してくる。

当然、『執事やサポートメイド』達は、『女神アスライア様』が『私の為に作った専用スキル』の『一部』なので、’’私と同じ知識’’を持っているし、’’私の事情’’なども把握している。



 私は気持ちを切り替え、涙をハンカチで拭いつつしっかりと味わって食べた。やっぱカップラーメン発明した日本人凄いわ!天才だと思う。

 食べ終わった容器は、キリッとしたメイドが片付けてくれた。うーん、メイド長っぽいし、区別するためにも名前つけようかな。



「ナナミ様、どうかなさいましたか?」

「あなたの なまえは キリエ ね」



 安直だけど、キリッっとしたメイドだからキリエと名付けた。キリエは水色の髪をポニーテールにしていて、金色の瞳をしたスタイル抜群の美人さんだ。



「お名前を頂けるとは…… ナナミ様ありがとうございます! これからもしっかりとお仕えします!!」

「うん。これからも よろしくねぇ」



 折角キッチンに居るのだから、冷蔵庫も開けて中を確認する。本当に卵が入ってる! 試しに1個取って冷蔵庫の扉を開け閉めした。


 おお、ちゃんとまた復活してる。食料が無い時は、これを『ゆで卵』にして凌げって事なのかな?これ’’インスタントの袋麵’’を出して、’’育てた野菜’’と一緒に調理すれば十分満足な’’美味しい食事’’になるのでは!? 創造神である女神アスライア様には感謝しきれないよ……



「あっ、そうだ! ぶそう くれる って めがみさま いってた!」

「ナナミ様、武装の確認ですか?」


 なんか、特別な武装をなんちゃらって言ってた気がするんだよね……家の外に出て確認する。


「女神アスライア様より伺っております。ナナミ様の武装は、ナナミ様の’’魂に紐づけ’’されているので、念じれば出現します」

「そうなの? ねんじてみる」


 何て念じればいいのだろうか?まぁ適当に念じてみよう。


「(武装顕現…前世で読んだ漫画にこんなセリフあったなぁ…)」


 すると私の両腕に、二の腕まで覆う白色の厳ついグローブと、背中には白色フレームの翼らしきものが生えていた。


「ふぇ? なにこれ! しゅごい」

「’’ホワイトドラゴン’’の力を内包した武装で、グローブの方は’’ドラゴンフィスト’’、翼の方は’’ドラゴンウィング’’ですね」


 …これ、アスライア様のネーミングセンスは、私とあんまり変わらない感じだわ…。まぁ、確かにグローブの手首あたりから先はドラゴンの頭部っぽい感じのデザインだね…。翼の方は…外側は白いフレームだけど、内側の羽の部分は、光の羽?が5枚生えていて、左右合わせて10枚の羽がある。 ほぇ~っと見ていると、『武装』から使い方と能力が伝わってきた。



 ……えっ? これマジで!? 何してんのさ、アスライア様!!



「えっ、これ やばくない? つよすぎない?」

「そうですね。個人的な感想で言えば、’’ヤバい’’と思います。特に、翼の’’戦技’’の’’2つ目’’は使用を控えた方が良いと思われます」

「だよねぇ……」



 この世界には、魔法・スキル以外に’’戦技’’と言うものがある。所謂、「必殺技」。一般的には、戦闘を熟す者達が研鑽を積み重ねていくと、自然と覚えるらしい。

 でも、一部’’例外’’があって、’’戦技’’を覚えている’’武具’’は希少だけど存在するんだってさ。私が持つ武装は’’武装自身’’が’’戦技’’を覚えているタイプみたい。


 私の’’専用武装’’の’’戦技’’は、’’グローブに1つ’’と’’翼に2つ’’あるんだけど、’’翼の2つ目’’の戦技がヤバいので、使用する機会が訪れない事を祈ろう。


 アスライア様、これはやりすぎです!! 転生の時に確認すれば良かったよ……



「取りあえず、’’通常状態’’の能力確認をしてみてはいかがですか?」

「うん」



 自分の右腕に意識を向けると、シャキン!と音を立て、私の体のサイズに合わせたブレードが出た。ブレードは右手の手甲部分から出ており、見ただけでも良く切れそうだ。剣身は基本青色で、刃の部分は綺麗な白だね。不思議な色合いだ。



「よくきれそう」

「そうですね。とても良く切れる上に、頑丈な金属で出来ておりますので」



 うん、その’’金属名’’は聞かないでおくから、言わないでね…。

今度は左腕に意識を向けると、左腕手甲表面の一部が六角形にせり上がり、そこから’’ビームの膜’’が現れた。



 こ、こりぇは!!!!!



「びーむ〇ーるど!!!」

「はい。この武装は、アスライア様がナナミ様の’’記憶’’を頼りに性能を決めたので、馴染み深いかと」

「ぶく の でざいんは?」

「…アスライア様の’’趣味’’になります」

「やっぱりかぁ……」

「一応、消費量は極僅かですが、魔力を使用しておりますのでご注意を」

「あい」



 私の中にあった『漫画やアニメ』の記憶から『性能』を決めた事は良くわかる。だけど、『ドラゴン』はあんまり馴染みないから違和感あったんだよね。


 でも、ビーム〇ールドがあるならビーム〇イフルが欲しかった。…魔法があるからあんまり意味ないか。だけど、翼で空飛べるのは嬉しい!光の翼だから光翼で良いね。


 戦技のお披露目は、機会があったらその時にでも…。





「ナナミ様、武装の確認はまだされますか?」

「もう じゅうぶん かくにんしたから おわろう」

「それが宜しいかと」



 あと確認してない事は何かあったかな?

あー、あれだ。拠点に居ながら’’亜空間の外の様子を確認出来る’’やつ。


 念じると、私の周囲180度に画面が表示された。これは、公爵家にある私の部屋だ。へー、こうやって見えるのかぁ。



「亜空間の外を監視するのは、サポートメイドでも可能ですので何かあればお知らせ致します」

「ありがとう。おねがいね」



 キリエにお礼を言った私はこれから最終目的を達成する為に動き出す。最終目的、そう、それは「お風呂に入る」事だ!

 いや、公爵家にもお風呂はあるみたいだけど、あの家の関係者とは極力誰とも関わりたく無いので、お風呂も大きな桶を用意してもらって、そこで行水してた。トイレだけは部屋に無いので仕方ないけど。



 ’’拠点スキル’’で自分の’’拠点(家)’’を持った今なら、もう公爵家のトイレも桶も用済みだ!いや、ぶっちゃけもう’’公爵家’’に居なくても問題無いとは思うけどね。



 拠点のお風呂は、現代日本の最新式(2020年当時)で、とても広く綺麗で快適だ。それにジェットバスがついている!一度でいいから使ってみたかったんだよねー。


 前世で住んでいたマンションのお風呂には、そんなものついてなかったし。3歳の体では上手く洗えず、キリエに洗って貰い、そのまま無理を言って一緒に浴槽に入って貰った。


 お風呂に入ってみると、ホントに快適で、ジェットバスが気持ちいい……あぁぁ~~…… 勿論、メイドと遊んでいたコタロウを強制連行して洗ったよ。犬臭いからね。


「あぅあぅあぅ~……」


嫌がるコタロウの悲し気な声が響いていた。







お読みいただきありがとうございます。

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